"Savoir vivre avec soi-même peut se résumeren un seul commandement : «Aime-toi toi-même."

(自分自身とうまく生きるための心得とは、次の一つの掟に要約される。「あなた自身を愛せよ」。)

ナディーヌ・ドゥ・ロスチャイルド|これ!このことば!!フランス語名言集|コクボコミュニケーション

-Nadine de Rothschild ナディーヌ・ドゥ・ロスチャイル (1932-)

 

このことばは、ロスチャイルド家のナディーヌ・ドゥ・ロスチャイルドのものです。

ロスチャイルド家は、世界中に勢力をもっている貴族ですが、ナディーヌは作家としての活動と、フランスにおけるロスチャイルド家の事業を夫と共に積極的に続けてきた人です。

 

もともと、ナディーヌはロスチャイルド家の出身ではありません。ロスチャイルド家は、ユダヤ人の一族ですが、ナディーヌはフランス人であり、夫のエドモンド・ドゥ・ロスチャイルドと結婚したことでロスチャイルド家の一員となりました。(ちなみに、ナディーヌは結婚後かなり経ってから、ユダヤ教に改宗しました。)

 

60年代、戦後のフランスでは希望に満ちた時代となりました。人々は活気に満ち、若者は夜になるとお酒を飲みに町に繰り出し、毎晩のように躍っており、「狂気の時代」とも呼ばれていた時代です。

女優をめざしてパリに出向いていたナディーヌも、同じ若者同士の集まりに参加し、よく飲み明かしていたそうです。そのような集まりで、彼女は偶然エドモンドと出会ったのでした。エドモンドは、ちょうどそのころ前妻との離婚を考えていた時期でした。時の流れもナディーヌに味方したようなものです。

その後結婚が決まり、まさに、ナディーヌはシンデレラストーリーを実現させた女性の一人であるといえるでしょう。 しかし、ただきらびやかな世界で安穏とできたわけではありませんでした。一般人から貴族の世界、しかもユダヤの世界に入り、うまくやっていくためには、多くのマナーやルールを身に着けなければなりませんでした。ナディーヌは、その著書で自身の失敗についても多く語っています。

例えば、一族の集まりの際に、招待状を出したにも関わらず、だれも返事もくれず、だれも参加してくれなかったというハプニングがありました。ナディーヌは、その招待状を手書きで書いたのです。フランスの上流社会の一般常識として、招待状は浮彫印刷をして出さなければ相手に失礼になるということを、ナディーヌは当時知らなかったのでした。

 

失敗を重ねた経験を基に、ナディーヌはマナーに関する数多くの著書を出版しています。難解で堅苦しいことばは一切使わず、テーブルマナーや冠婚葬祭などについて、実用的なルールと心構えを子どもに語りかけるように書いてくれています。内容の面でも、フランス語の面でも、とてもわかりやすく書かれているので、フランス社会でビジネスなりプライベートなりを充実させたい方には、読まれることをぜひお勧めします。

Le bonheur de seduire, l'art de reussir: Savoir vivre aujourd'hui (French Edition)

ロスチャイルド家の上流マナーブック―ナディーヌ夫人が教える幸せの秘訣 (光文社文庫)

 

ナディーヌ・ドゥ・ロスチャイルドは、テレビや新聞などのマスメディアにも積極的に出演し、マナー教室を運営する一方で、ロスチャイルド家のビジネスにも参与してきたわけですから、ものすごいエネルギッシュな女性だと思います。辛辣なことを言われても飄々と笑いながら自分の意見を述べている様子を見ていると、浮世離れした貴族というよりは、人生の酸いも甘いも経験して成功した女性実業家という印象が強く残ります。

 

そんな彼女の上のことばは、ナディーヌらしさそのものであるといえるでしょう。

あまり売れない若手女優としてのパリでの生活から、自分が憧れていた豪華できらびやかな世界よりもさらに上の世界に入ることになったナディーヌには、ロスチャイルド家に適応するまでに相当の努力が必要であったと思います。生きてきた社会も違ければ、宗教も違うのです。上述のように 失敗も多くしているようですし、きっと、言われようのない悔しい思いもたくさんしているでしょう。

物語のシンデレラのように、結婚後はメルヘン的なハッピーエンドで終わったわけではなく、現実世界と戦って、自分の世界を勝ち取ったしたたかさをも備えていた人であるのです。それは、ナディーヌ自身が、彼女自身を愛せたからこそ、成し遂げられたことでしょう。

わたしたちは、だれでもが長所と短所をあわせ持ち、完璧な人間などいないということを忘れがちです。何か失敗があると、自分の短所に目が向きますし、そこを直せばいいのだと考える傾向にあると思います。そんなときに、自分ができなくて思い悩んでいることを、他人がいとも簡単にこなしいてる姿を見てしまうと、どうして自分はだめなのだろうかと考え、落ち込んでしまうこともあるでしょう。 人は、弱さや悪を抱え持つ存在であり、それは欠点や短所につながりやすいものであると思います。しかし、成長とは、それをいかに消滅させるかではなく、いかにして自分の力で包み込めるようになるか、ということです。包み込むためには、自身のそういった弱さや悪をまず認めなければいけませんし、長い時間をかけて辛抱強く向き合わなければなりません。そういった現実から逃げずに、長い期間をかけて自分の弱さや悪を包み込むためには、相当な努力が必要です。そのときに、自分への愛がなければ、それは成し遂げられないでしょう。その苦痛に満ちた過程を経ることで、自分の中に人生への確固とした軸ができ、その揺るぎない軸があれば、他人の軸も尊敬することができるのです。

 

ナディーヌは、礼儀作法に必要なことは、相手を尊敬すること、そして相手を尊敬するということに必要なことは、まず自分自身を尊敬することであると述べています。ナディーヌが言っている「あなた自身を愛せよ」というメッセージの心はそこにあるといえるでしょう。

自分を愛することなく、他人を愛することはできない。自分を尊敬することなく、他人を尊敬することはできない。わたしたちの人生の基本は、すべて、己を大切にするというところから出発せずにはありえない、ということです。

 

最後に、他人の生き方を認め、尊敬することのできたナディーヌならではの名言をもう一つ。

"On ne change jamais personne, et surtout pas dans le sens dans lequel on le vourdrait !"

(わたしたちは他人を決して変えられはしないわ。特に自分の変えたい方向にはね!)

-Nadine de Rothschild ナディーヌ・ドゥ・ロスチャイル (1932-)

 

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