ニュースを見たり聞いたりしながらフランス語を勉強しよう

夕飯を食べながらテレビのニュースを見ている人は多いと思います。フランス語の勉強のつもりで、次のようなことを考えながら見ているのも面白いと思います。

 

現在ではリアルタイムですべてが報道され、政治家達もリアルタイムで事件に反応して発言しています。じっくり物事を検討して報道したり発言したりしていては、視聴者の要望にこたえられなくなるというのでしようか? いずれにせよ、従来のメディアや政治家がリアルタイムで反応しなければ、一般の市民がインターネットを使ってニュースを流すと言う時代になってしまいました。 そんなリアルタイムの報道の時代とはいえ、報道関係者の芸は結構微妙なのです。

 

こんな例を考えてみましょう。

数年前の話ですが、デモ隊に加わっていた、Cyril Ferez と言う若者が重傷をおって病院に担ぎ込まれて昏睡状態に陥ると言う事件がありました。こんなのはデモ隊と機動隊の間で乱闘があり、機動隊にやられたと言うのが誰でもすぐに頭に浮かぶことですが、この機動隊の手落ちあるいは失敗を、嘘をつくことなく国民世論の中で薄めてしまい批判の対象から逃れさせるか?と言うのをやっている例といえましょう。

すべてのメディアが権力(政府や広告主等々)の手先だと言っているのではありませんから、念のため!第一、現代では、メディアもその権力のうちの一つと言えるでしょうから・・・

 

その日の夕方のニュースでテレビのアナウンサーの第一声は: Une enquête sur les circonstances qui ont abouti à l'hospitalisation d'un syndicaliste.

このアナウンサーの第一声で、警備の機動隊と衝突したデモ隊の中に重傷をおったものが出て病院で生死の境をさまよっていると言う事件は完全に抽象化されて、機動隊の失策による重傷者と言うイメージは完全に吹っ飛んでしまいました。

そしてアナウンサーの第二声が: Revenons sur le cas de ce manifestant toujours dans le coma après les manifestations de ce mercredi.

ここで視聴者ははじめて、第一声で抽象化されてしまった事件が実は生死をさまよう重大事件であることを知ります。

アナウンサーが、重傷者を Un homme a été bless...と言わずに常に manifestant あるいは syndicaliste と言っていることにも注意しましょう。こ

うして機動隊側のミスではなくて双方の暴力で起こった不幸な事故というイメージが視聴者の頭の中に形成されて行きます。

更にここまでではアナウンサーは、この男に重傷を負わせた相手に対しては、常に les circonstances と言う抽象的であいまいなものにすりかえてしまって、機動隊(CRS)と言う言葉は一度も発していません。

そして最後に、 après les manifestations (複数!)と言っている点にも注意しましょう。

こうして重傷をおった若者が一日のうちに各地の暴力デモの参加している暴力労働組合員であるというイメージが私達の頭の中に無意識のうちの形成されて行くのです。

これでこの事件が機動隊の失策ではなくて暴力デモ隊と機動他の間で起こった「単なる不幸な事件」にすりかえられてしまうのです。

 これが新聞になると更に芸が細かいのです。こう書いてあります。

Un CRS a affirmé à l'AFP que Cyril Ferez lui avait confié avant de s'évanouir que les coups reçus n'avaient pas été portés par les forces de l'ordre mais par d'autres manifestants qui l'auraient agressé.

 病院に担ぎ込まれて昏睡状態に陥る重傷者が、「おれを襲ったのは機動隊ではなくて他のデモ参加者だ」等と言ってから気絶するものでしょうか? 更に興味深いのは、CRSが affirmer (ですから、単にいったのではなくてはっきりと確言したのですぞ!)と言っているその中身が、実に旨く、 aurait agressé と仮定法になっているのです。

 これで見事に嘘をつくことなく、事件の真相を読者の頭の中で完全にぼやけさせてしまうのに成功すると言うわけです。 ここの文などは科学者が正確を期して書くならば次のようになるでしょうね。

 D'après les déclarations d'un CRS, Cyril Ferez lui aurait confié...

 

上記のような練習を参考にしながら、テレビを見ているときあるいは新聞を読んでいるときに同じような作業をしてみると、俄然フランス語が面白くなりますよ!!

 


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