フランスのキャリアにつながる社会人の学びなおし

日本でも何かと話題になる社会人の学びなおしや生涯学習。義務教育の後に、自ら学び発展し続けることは今後も課題と言えます。フランスにおける社会人の学びなおしの概要をご紹介します。

 

  • フランスのキャリアと社会人の学びなおし
  • フランスの場合もエリート校を出たエリートはいるのですが、普通の社員は色々な資格や知識あるいは技術を働きながら増やしていって階級を登ってゆきます。そのため、30歳になっても40歳になっても50歳になっても、1年から数年の研修期間を取って学校に通い始める人がかなりいます。そしてそのための金銭的な援助のシステムも結構完備しています。

    私がフランスへ留学したころはなかったのですが、しばらく前から、 le master と le mastère という免状ができました。 紛らわしいのですが、le master のほうはフランスの国家資格で、BAC後5年で得られる大学の資格です。年数から行くと、日本の大学卒と修士の間くらいですね。 Le mastère のほうは、いわゆるグランゼコールの連合が一般にはBAC後5年以上の人が許可される専門科資格です。

    フランスの場合には35歳から40歳になると、自分のキャリアを伸ばすために生涯学習の枠などで学校に入りなおす人が結構います。いずれにしても、すでに社会経験もある人がやり直す勉強ですから、グランゼコールや評価の高い大学を選ぶ人がほとんどです。

    こうして学校に入りなおす人には二つのタイプがあります。 一つは、現在とは違うことを何かしたい人。もう一つは、労働市場では年齢は差別的に働くからやがて来る困難に備えたいと言う人。

    こうしたいずれのタイプの場合にも大切なこととして、エリート校や評判の良い大学で、MBA, un master, un diplôme d'ingénieur等々を勝ち取ることが言われています。

    40歳から50歳の人が他から抜きんでてキャリアの階段を上ってゆくためには大志を抱くことが大事だといわれています。

    こうして免状を手に入れることは、単に研修の修了証を得ることとは価値が違います。

    フランスでは学歴と学校の価値が社会でのキァリアに重く効いてくるのです。

     

    こうした職業上の推移を一緒に考えて助言してくれる組織に、Fongecif と Apec があります。

    前者は研修等の金銭的な支援の組織で後者は管理職の職のための組織です。 何か現在の分野をさらに強化したほうが良いのかあるいは新しい分野を自分に付け加えたほうが良いのかといったようなことも相談に乗ってくれます。

    生涯学習の枠内で対応できる diplôme はずいぶんたくさんありますし、たとえ金銭的な支援が会社や各種の組織からあるとはいえ10000から50000ユーロくらいはかかりますし、実際に diplôme を勝ち取るためには相当の努力が必要です。その道の専門家に情報を聞いて誤った判断をしないように心がけるべきです。

    各種の雑誌に発表されるパルマレスを見たり卒業生に会ってみるのもよいでしょう。 あるいはあなたが夢見ているポジションにいる人に会って話を聞いてみることも大切です。

    フランス人の場合にはこうして新しく diplôme を獲得するために学校に通い始める時には、現在の会社の中で地位上昇を求める人ばかりではなく、獲得後には他社へ行こうと言う人がかなりいます。

    そう言う人の場合には狙っている会社のリクルート担当に会うと言う人も結構います。

    以下に大まかな分野と費用を掲載します。

     

  • 学びなおし具体例
  • 分野 diplôme 学校 期間とリズム 費用
    ヒューマン・リソース ヒューマン・リソース Executive master Science-Po Paris 12~24か月にわたって毎月2~3日、総計36日 25000ユーロ
    ヒューマン・リソース ヒューマン・リソース MBA Université Paris-Dauphine 17か月にわたって毎土日、それに付け加えて3週間の連続研修 19500ユーロ
    金融 Mastère 金融 ESCP Europe 1年の完全登校、6か月の学習、4か月の研修、論文 21300ユーロ
    金融 Executive Master 金融 Insead 18か月、2週間の現場研修が6回 83000ユーロ
    ロジスティクス Executive Master サプライチエン・購買 Audencia Business School 16か月間の間に48日の現場研修 18800ユーロ
    ロジスティクス Mastère マネージメント、サプライチエン、プロジェクト Centrale-Supélec 240日の完全登校 15500ユーロ
    データ管理 Mastère ビッグデータ、データ解析 Télécom Paris Tech 9か月の完全登校と4~6か月の研修 17000ユーロ
    データ管理 Mastère ビッグデータ Grenoble EM et Grenoble INP 15か月の完全登校 15700ユーロ
    マネージメント Executive MBA HEC Paris 13~16か月にわたって週1~2日のリズム 69450ユーロ
    マネージメント Executive MBA Essec Business School 18か月にわたって毎週土日 45500ユーロ

    このデータは2018年のものです。

    こうして何を目標にするかが決まったら、今度はファイナンスを考えます。

    大企業に勤めている場合には、これは比較的簡単で、人事部の担当者にきけばほとんど100%ファイナンスされる方法を教えてくれるはずですし、場合によっては会社の研修の枠内に組み込んでくれることもあります。

    変化の大きな時代ですから会社の方も会社が必要とする分野の専門的なものを身に着けようと言う人には援助を惜しみませんから、12~18か月の休職はよく認めてくれるようです。

    もちろん会社がファイナンスしてくれて休職も認めてくれると、いいことずくめのようですが、会社の方も、あなたが研修終了後数年は働くという契約を求めてくることが多いですね。従ってこれを機会に別の会社で新天地をと考えている場合には会社のファイナンスは使いにくいですね。

    その場合にはフランスには alternance というシステムがあります。 これは登校と会社で働くことを交互に行うことです。これによってある程度の給与を確保しながら勉学を続けられます。ただし全ての学校がこのシステムを受け入れていませんから、学校に問い合わせる必要があります。

     この alternance のシステムを使ったほうが働きながら夜間学校に通うよりも早く diplôme が手に入るようです。

    ここまではポジティブな話ばかりですが、現実には、せっかく diplôme 獲得してきても、上司はもちろん周りがあなたを見る目が変わらないということはフランスでも良くあることです。

    そんな時には新しい会社で新天地を求めるほうが、獲得した diplôme が有効に使えるのかもしれません。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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