フランスの学校・教育・研究制度

フランスの学校・教育・研究制度は、日本の制度とは異なる点が多く挙げられます。日本の学校・教育・研究制度は、戦後アメリカの学校制度をモデルとして作られた為、ヨーロッパの制度とは異なるのです。また、翻訳名が同じでも、きちんと対応していないことが多くあります。 フランスに留学される方、フランスで学びたいという意欲のある方、またフランスで生活される方でお子さんの教育を考えておられる方には、基本的な知識としてフランスの学校・教育・研究制度を理解しておくことをお勧めします。  

 

●保育所・託児所・幼稚園

フランスでは、女性が出産後も働くことが多く、出産直後に保育所・託児所へ幼児を預ける人が多い。保育所・託児所は労働・社会問題・連帯省の管轄であり、有料となっている。 3歳~5歳になると、幼稚園へ行く子供が多い。幼稚園は義務教育ではないが、教育庁の管轄下にあり、無料である。

*2019年からフランスでは3歳から義務教育になる可能性が出ています。

 

●初等教育(小学校)

フランスの小学校は、5年制である。日本と同様に、公立と私立がある。 基本的に学校は勉強するところという考え方のため、運動会や学芸会の類はほとんどない。また、日本のようにみんなでお掃除をしたり、家庭科等の主要科目以外の授業は行われない。要するに、日本に比べてフランスでは、基本的な社会的訓練は家庭教育でなされるべきだという考え方が強い。 小学生の送り迎えは親の責任で、子供だけが通学しているということはありえない。また、学校も登下校時以外は門が閉められており、関係者以外は勝手に出入りできないようになっている。  

 

●中等教育(中学校+高校)

フランスの中等教育(中学校+高校)は、7年制になっている。 日本の中学校にあたるコレージュは4年制である。前半の2年間で本人の適性を判断し、生徒は職業教育か普通教育のどちらかを選択する。

○職業教育

職業教育を受けて就職しようという選択をすれば、コレージュの後半の2年間は職業教育を受けることになる。その後、職業高校(2年・3年・4年・6年の修業年限)へ進学することになる。職業高校を卒業する時に、国家資格のCAPやBEPを受験して取得を目指す。

○普通教育

普通教育を選択した場合、コレージュの後半の2年間は普通教育を受ける。コレージュの卒業後、3年間の後期中等教育(普通高校)に進学する。後期中等教育の3年間のうち、2年目にコースが理数系、経済系、文科系にわかれ、卒業時にはそれぞれのコースに対応したバカロレアの試験を受ける。  

*小学校から中等教育(16歳)までは、フランスでは義務教育となっている。ただし、教育が義務付けられているだけで、学校に行くことが義務付けられているわけではない。したがって、子供を学校へ送らずに親が教育を施すということも可能性としてはありうる。その場合には、各地区の教育庁の定期的な監督がある。幼稚園・初等教育・中等教育に関しては、特に難しい卒業証書等の審査があるわけではなく、受け入れ学校の個別の判断で入学が許可される。したがって問題となるのは、ほとんどの場合はフランス語力となる。そして、上述の年数は一般的なものであり、能力によって飛び級や落第が可能である。

 

●高等教育(大学・大学院、グランド・エコール)

○大学・大学院

大学は、バカロレアを取得していれば誰でも登録が可能である。2006年度以降の制度により、現在は学士(4年の修業)、修士(2年の修業)、博士(3年の修業)となっている。授業料は国立大学の場合、年間174ユーロ(学士)、237ユーロ(修士)、359ユーロ(博士)がそれぞれかかるのみで受講できる。国立大学の代表格は、パリ大学。日本と同様、フランスの私立大学の場合には、国立大学よりも授業料が高い。

○グランド・エコール /グランゼコール

大学と並行して、フランスにはいわゆるグランド・エコールがある。グランド・エコールに入学する為には、厳しい入学試験に合格する必要がある。 グランド・エコールに行く為には、後期中等教育の中ですでに優秀な学生として選抜される必要がある。それらの学生は、バカロレア取得後にグランド・エコール準備級(後期中等教育に残る)で2年間受験準備をし、試験を受けることが多い。または、大学卒業後あるいは大学2年間終了後に試験を受けて合格すれば、グランド・エコールへ入学できる。 グランド・エコールは、一般的にアメリカの有名大学ほど知られていない。理由は、グランド・エコールは一学年数百人の学生数という少数精鋭主義の学校が多く、大学ランキングなどの一流会社の社長人数やノーベル賞・フィールズ賞の人数で比較すると上位にあがらないからであろう。しかしながら、例えば数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞などには、卒業生総人数が数百人単位であるにも関わらず、受賞者を10人以上も輩出しているというグランド・エコール(高等師範学校)もある。このことを見ても、グランド・エコールの優秀さを理解できるだろう。 グランド・エコールの中には、入学すると公務員とみなされ、学生時から給与を受け取ることのできる制度をとっているところもある。ただし、そのような制度を取っているグランド・エコールは、学生を準公務員として認める為、フランス国籍をもっていないと受験することができない。 しかしながら、近年の国際化に伴い、これらのグランド・エコールも外国人の学生を受け入れるために外国人学生枠を設けていることが多くなっている。外国人学生枠の場合、受験する学生は選考によって選抜される。外国人学生枠で合格した外国人には、フランス人学生に支払われる給与はないものの、代りに外国人学生の為の奨学金があることが多い。

* フランスでは、大学、グランド・エコール双方において、在学時の企業研修が義務付けられていることが日本に比べて多い。日本の場合、転職率が上がってきたとはいえ、現在でも入社したら落ち着いて長い期間同じ会社で働く意識が強い。そのため、日本の場合は社内研修/社内教育が当たり前のように行われており、新卒の学生が使いものにならなくても当たり前であるという考え方が一般的である。一方フランスでは、社員が報酬や自分のキャリアにとって有利な職場があれば次々と転職するのが一般的である。短期間で会社を変える風潮において、社内研究/社員教 育というのは非常に効率が悪いため、就職したら即戦力となる人材を求める考えが強い。そのため、高等教育においても、卒業後に即戦力となる人材育成を重視した教育方法を導入している。

 

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