フランスでの会話・スピーチのマナー

ベートーベンはその楽譜の上に「心から心へ伝わらんことを」と書きました。 

星の王子様に狐は言いました。「本当に大切なことは心の眼で見ないと見えないんだよ。」

しかし、私たちが生きてゆく社会の中で、他人を傷つけることなくかつ自分の意志を誤解なく伝えるべく努力してゆくことは大切なことです。

概説を始める前に、話し方・スピーチ・人間関係の歴史的名著を上げておきます。必読の名著ですね。

(1)デール・カーネギー著 「人を動かす」    

Dale Carnegie "How to win friends and influence people"

人を動かす 新装版

(2)デール・カーネギー著 「話し方入門」    

Dale Carnegie "How to develop self-confidence and influence people by public speaking"

カーネギー話し方入門 文庫版

 

  • フランス社会で役立つスピーチ・会話のマナー
  • ここでは、主にフランスの社会で役に立つようなことに主眼を置いて説明してゆきます。 私もフランスへついた当時は、言葉の問題もありましたが、それ以上に日本の文化文明にどっぷり使って生きてきたために、なかなか話がうまく出来なくて困りました。 

    次第にフランス人の友人が出来てきてディナーに招待されるようになり、テーブルで招待者が気を使って「日本では今頃桜が美しいのですよね?」などとわざわざ話を向けてくれるのに、「はい、そうです (Oui)」の一言で済ませてしまって後が続かないものだから、テーブルの周りの人は、まだ先があるだろうと思って、皆こちらを見て待っているので困るということがよくありました。

    おしゃべりというのは決して勧められたものではありませんし、ましてや話をずっと独り占めするなどは完全にマナー違反です。

    しかし、せっかく主人側がディナーが和気藹々と行くようにと気を使って話を皆に向けるという努力をしているのに、いつも、Oui と Non のモノシラブルで済ませるのもマナー違反ですね。

    ガリバー旅行記をかいた Jonathan Swift が会話に於いて避けるべき落とし穴について次のように書いています。

     "l'inatteintion, l'habitude d'interrompre et de parler à plusieurs à la fois, l'étalage trop rapide et trop important de son esprit quand on en a, l'égoisme, le despotisme, c'est-à-dire l'esprit de domination, le pédantisme, le défaut de suite dans la conversation, l'esprit de plaisanterie, l'esprit de contradiction, la tendance à la dispute, la conversation particulière substituée à la conversation générale."

    (注意散漫、相手の話をさえぎる癖、同時に何人もで話す癖、知性があるときにあまりにも早く大仰にそれをひけらかすこと、利己的なこと、独裁的なこと、つまり支配欲の強いこと、衒学的なこと、人の会話を受けて続けないこと、揶揄的なこと、常に反論すること、論争好きなこと、一般論を自分の好きな特殊な話にすりかえること。)

    これは話すほうも聞くほうも注意すべき点ですね。 言葉や礼儀作法も時代と共に変化してゆきますから、それに対してどう対応してゆくかは私たちの一人ひとりが感性に従って臨機応変にやればよいことだと思います。

    もちろん公式の行事等に関しては政令が出ていますからそれにしたがって考えればよいことになります。

    最近はラジオやテレビで政治家や大学教授が話をするのを聞いていても、否定の ne を省いて話す人の方が数が多くなってしまいました。昔だったら、テレビの議論などでも、Je n'ai pas dit cela. というのが当たり前だったのが今では J'ai pas dit ça. という人のほうが多いでしょうね。耳障りから言えば、 Je n'ai pas dit cela. のほうが聞きやすい気はするのですが。

     

  • 呼びかけマナー
  • 同様に、グループで議論をしていて、「Xさんあなたの言うことは・・・」などというときに、フランス語では Monsieur X とは言わないで Monsieur と呼びかけるのが礼儀です。

    これは「こんにちは」というときも、Bonjour, monsieur X. というのは家に出入りしている八百屋さんや魚屋さんには言いますが、それ以外は礼儀に反します。

    とはいえ、テレビなどを見ていると、最近は呼びかけるときには、 Monsieur X とアナウンサーも参加している政治家も平気で言っていますね。「こんにちは」についても同様で、Bonjour, monsieur X という人がたくさんいます。

    したがって、自分が現在話をしている状況に従って臨機応変に対応するという原則に従えばよいのですが、常に基本だけはしっかりと承知しているうえで、規則を破るという姿勢が大切ですね。

    自分の伴侶についても、monsieur X とか madame X とは言わずに mon mari, ma femme というのが礼儀です。

    また王族と公爵以外は貴族の称号を使いません。 

    ただし、Mon cher marquis, Mon cher comte, Mon cher baron という言い方は可能です。

    政治家・官僚・宗教関係の人の場合にはタイトルを使います。従って次のように言います。

    *王権にある人には Sire

    *王族の人には Monseigneur

    *枢機卿には Eminence

    *大統領には Monsieur le Président de la République

    *キリスト教徒は司教・大司教に対して Monseigneur と言いますが 国権にある人(大臣・県令・市長等々)は   Monsieur l'Evêque あるいは Monsieur l'Archvêque と言います。

    *国権にある人に対しては、Monsieur le Ministre, Monsieur le Préfet, Monsieur le sous-Préfet, Madame le Maire   等々と言います。

     

    Monsieur le Professeur という言い方は、本来は高等教育の先生のみに使います。

    作家、芸術家、弁護士、あるいは調教師や馬術師などの特殊な技術に通じている人たちには Maître を使います。

    これらは手紙のときの呼びかけと同じですから詳しくは手紙の項を参照してください。

     

    --フランスマナー教室:冠婚葬祭の基礎知識TOPへ--

     






    © 1990-2018 KOKUBO Communication all rights reserved.