フランスでの手紙・カードの書き方・使い方I

心のこもったカードを受け取るのは、贈り物そのものよりもうれしいことがありますね。

有名なバイオリニストのアイザック・スターンからの贈り物に添えられたこんなカードを読んだ生徒の感動は想像するまでもありません。力づけられて一生が変わったのではないでしょうか。

A mon élève bien-aimé

Puisse-t-il veiller chaque jour sur le trésor que la nature lui a donné.

Issac Stern

親愛なる私の生徒へ  

自然が彼に与えてくれた宝物を彼が毎日大切に育ててゆかれますよ うに   

アイザック・スターン

 

私たちも手紙やメッセージ・カードを送るときには、印刷されているものや型どおりの表現に止まるのではなく、自分と相手の人柄やそのときの状態を反映したこまやかな心遣いのあるものを書きたいですね。

また、この単語を使おう、いやあの表現を使おうと、いかに自分の気持ちや考えそして心をきちんと相手に伝えようかと、言葉と格闘することによって私たちも成長するのです。

 

少し話は脱線しますが、こんな話もあります。

フランスの詩人アンドレ・ブルトンがニューヨークに住んでいたときのことです。彼の自宅の近くの道路にいつも座っている乞食がいました。通行人たちは彼の首にかけられている「Je suis aveugle.(私はめくらです)」というプラカードをぼんやりと眺めて通り過ぎてゆきました。時々小銭を乞食に投げてやる人がいるくらいでした。 この乞食のあまりの惨めさに心を動かされたアンドレ・ブルトンはある日彼にプラカードの文章を変えていいかと聞きました。そして数日後、めくらの乞食の座っている前のお皿には山盛りの小銭が投げられていました。 そのめくらの乞食がぶら下げているプラカードにはこう書いてありました。

「Le printemps arrive et je ne le verrai pas.(もうすぐ春がやってきますね,でも私はそれを見ることはないでしょう)」

メッセージや言葉がいかに人を動かす力があるのかを学ばせてくれるエピソードですね。

 

 さて、そういった内容に入る前に、まず、器であるカード・便箋・印刷等々について説明してゆきます。

エレガントに自分の人柄をそういった器に託すということは、少しも軽薄なことではなく、楽しくも大切なことです。

 

便箋・カード

①便箋

〇便箋の大きさ・色・厚み

公式の文書の便箋は現在A-4を使うことになっています。紙は良質な厚さも十分な白い色のものを選びます。 私文書の場合には、大きさは自由に選びます。そして封筒はその大きさにあったものを使います。紙の質は十分な厚さがあり、色は白かあるいは少々灰色がかったもの、灰青色がかったもの、クリーム色がかったものくらいまでなら上品ですね。封筒は同じ紙質のものを使います。

〇印刷の様式

私信用の便箋は住所を印刷することもできます。この場合には、名前は印刷せずに住所だけ(場合によっては電話番号も)を左上に印刷します。 田舎家に住んでいて家に名前がついている場合には、その名前を右側上部に書くこともできます。 印刷は普通の印刷でもかまいませんが、銅板印刷にしたほうがエレガントです。印刷の色は黒、好みによってはダークブルーくらいにします。 こうして印刷がしてある便箋を使う場合の注意です。何枚にもわたって手紙を書く場合には、最初の便箋には印刷のある紙を使いますが、二枚目以降は同質の印刷のない紙を使います。従って、印刷屋さんに注文するときに、印刷のない同質の紙を注文しておく必要があります。 封筒は私信用には印刷をしません。

〇手紙の書き方・使い方

私信は手書きにするのが原則です。そうは言っても、暗号を解読するよりも時間のかかるような手書きよりもワードで得ってもらったほうが有難いという人も多いですね。 インクは黒、ブルー・ブラック、ブルーを使います。手書きの公式文書の場合には黒を使います。

公私ともども、身近な人、社会的地位の高い人、上司、年配の人などには手書きにするのが礼儀です。

私たち外国人ばかりではなくフランス人どうしでも手書きは読みにくいためワードを使って書く人も多くなりました。しかし、その場合でも、書き出しと最後の挨拶は手書きで言葉を添えるのを忘れないようにします。

 

シラクが大統領当時に大臣のドゥニヨーに出した手紙の例がありますのでのせておきます。

 

一時は電話が発達して、手紙文化というものは消滅してゆくかに思われました。その後、電子メールが私たちの日常生活に不可欠のものとなりました。それにしたがって、書くということによって自分の心や品性やカラーというものを如何に伝えるかということが再び大切になってきました。

次回はカードの使い方をご紹介します。

 

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