フランスの税務調査について

一昔前の紙の時代には国民の一人一人をチェックすることは不可能でしたから、税務署は所得税、不動産税、住民税等の個々の税申告についてチェックしてそこに疑惑があるときにはその人物の申告の全体について精細にチェックすると言うやり方でした。結果として、個々の税申告について整合性に注意していればよかったのですが、我々の時代ではコンピューターの発達で国民全体がマイナンバー制になり、税務署で自動的に各個人についてその税申告の整合性がチェツクされますから、整合性がなければ税務署手持ちの資料を基に精細なチェックがなされ疑惑が深まれば税務調査へと発展します。

 

ここで注意したいのは、各申告間の非整合性ばかりではなく、常識外の状況もより注意深いチェックの対象になるということです。

 

例えば次のような場合です。

(1)非常に少ない所得の人が大きな資産を保持している。

(2)大きな所得があるのに、資産の全くない人。

(3)複数の不動産所有税を払っているのに、不動産所得のない人。

(4)不動産所得或いは動産所得が大きいのに、ISF(富裕税)の申告がない人。

 

(1)の場合、最近遺産相続があったことが税務署内の資料で分かれば疑惑が解けることにな ります。(3)の場合なら、この人物が空き家にかかる税を払っていれば疑惑が解けることになり ます。 同じように、不動産の登記の変更はチェックの対象になっていることを忘れてはなりません。従って相続の時は必ず税務署のチェックの対象になっていると思った方が良いでしょう。

 

次に注意しなくてはならないのは、動産所得をもとに、税務署は前年度のCAC40の平均値を元に所有動産のチェックをしているということです。

例えば、あなたの動産所得が20000ユーロで、CAC40の前年度の平均が4パーセントならば、あなたの所有動産が500000ユーロよりも大きく離れていれば、税務署の注意深いチェックの対象にされていると思った方が良いでしょう。

同じようにあなたが、SOFICA或いはFCPRの持ち株を100000ユーロ買ったとすると、税務署は、あなたの資産は少なくとも200万ユーロあると考えます。

なぜでしょう? これは、資産運用のプロがSOFICAやFCPRへの投資は総資産の5パーセント以下に抑えた方が良いと助言していることが多いからです。

 

生活レベルもチェックの対象になり、高級車を買ったり、宝石や家具に保険を掛けたりすれば確実にチェックの対象になります。

 

スイスやルクセンブルグ等の外国に口座を持って、ニューヨークなどの外国の市場で投資をすればこの部分についてはほとんど完全に秘密が守られると考えてよいでしょう。 但し、税務調査の対象になったときに、多額の現金がフランスの口座から引き出されていると、その理由を求められた時に納得の行く説明をする「義務」があります。あなたが、「僕の彼女は贅沢に出来ているのでね」と答えれば、税務署はあなたが彼女のためにした贅沢な無駄使いのレシートを要求してきます。 この点、外国で稼いだ金をスイスやルクセンブルグ等の外国の口座に入れておいてニューヨークなどの外国の株式市場で運用していれば今度はほとんど完璧に秘密が保たれます。 但し、この場合儲かったのでフランスに別荘か城でも買おうとすると問題が出てきます・・・不動産を購入すれば税務署に金の出所を追及されるからです。

 

フランスの銀行は、口座の開設や閉鎖その他のいくつかの情報については銀行口座票(Ficoba Fichier des comptes bancaires)を通して自動的に税務署に通知する義務があります。残高や口座の金の動きについては通知されませんが、これについては税務署が税務調査の枠内であなたに提出を求めた時、あなたが自発的に提出しなければ、税務署は銀行に直接そして強制的に提出させることが出来ます。 従って、フランス国内では、銀行の秘密保守と言うものは存在しません。但し、金の売買と大蔵省証券の匿名性については税務署と言えど犯せないことになっています。

 

保険会社も、1991年以来保険契約の開設があれば税務署に通知することが義務付けられています。

 

その他注意しなくてはいけないのは、上記のSoficaやFCPR或いは不動産投資のMalraux, Besson,Borlooなどの税制上の特典のあるものを利用する時は必ず税務署がその特典を受けるための条件を満たしているかチェックしていることです。そのチェックがもとでいろんなことが発覚するということが時として起こります。 特典が有利であればあるほど税務署の目が光っているということです。

 

しかし必要以上に神経質になる必要はなく、こちらがきちんと条件を満たしていれば、税務署の書面による問い合わせがあったときに、必要な回答或いは書類が提示できれば、そこまでで、税務調査に発展することはありません。

 

税務署への告発(密告・・・たれこみ)ですが、2004年以前は、この告発が申告更正から追徴金の徴収という結果にたどり着いた時は、本当に、公式に、それも非課税の報奨金が出たのです。まあ、普通は8000ユーロにも満たない程度のものらしいのですが、中には60000ユーロ以上も受け取った例があるということです。 しかし、現在はこうした報奨金制度は公式にはなくなりました。 それでも、密告・告発の数は減っていないと言うことです。大部分は、クビになった社員、ふられた恋人や情婦(夫)、嫉妬に狂った友人や家族等等と言うことです。

これらの告発の手紙は、税務署員も真剣には受け取っていないようですが、正確な情報を含んでいる手紙についてはチェックしているようです。

あと怖いのは投資関係の会社やエージェンシーに勤めている社員の中にも「告発屋」が居ると言うことです。もちろんこれは社員としての背信行為ですが、彼らに対しても大物の脱税検挙に につながれば、非公式の報奨金が出されているようです。

 

※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

 

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