フランスにおける不動産売買と隠れた欠陥について

フランスで不動産の売買を検討されている方もいらっしゃると思います。不動産の隠れた欠陥をめぐってはトラブルも起こりやすいので、説明いたします。

 

  • 隠れた欠陥があった場合
  • 不動産の購入者は購入後に隠れた欠陥を発見した場合には売買を取り消すかあるいは購買価格の一部を払い戻すように要求することができます。  

    裁判所はまず実際に隠れた欠陥があるかどうかを確認して、次に不動産を譲渡したものが悪意であったかどうかを確定するように努めます。  

    例えば工事をしたことにより、買った家にシロアリがいることが分かった場合には譲渡者に補償を求めることができます。  

    譲渡者は売買の時に隠れていた欠陥については補償をする義務があります。

    欠陥が売買の時に明瞭であった場合には譲渡者には原則として責任がありません。

    いずれにせよ、隠れた欠陥がそれ相応に重大なものであることが必要です。

    例えば、

    *シロアリやアスベストの存在。

    *家の基礎がないこと。

    *採石場があり土地の不安定を引き起こす。

    *下水道の接続口が欠けていること。

    *家の地下室が浸水すること。

    *壁の厚さが不十分なために、騒音がひどいこと。  

     

    これに反して、2回にわたる浸水の被害の結果による水漏れは隠れた欠陥とは認められない判例が一般的です。  

     

    これらの隠れた欠陥かどうかということは、売買のコンテクストによって変わってきます。

    例えば、お城の屋根がいたんでいるものについて隠れた欠陥であるという判決が出ています。これは通常、売買の時にはお城の屋根に上って調べたりしませんし、そのためのエキスパートを同行したりしないからです。  

    ところが、売買の成立する1か月前からそのお城に住んでいた住人がお城を買った場合には、屋根の状態を自分で調べる時間が十分にあったということで、隠れた欠陥とは言えないという判決が出ています。  

    また、譲渡者が不動産のプロでない場合には、譲渡者は故意ではなく責任がないという判決も多く出ています。  

     

  • 隠れた欠陥と責任の所在
  • たとえ譲渡者が知らなかった場合でも隠れた欠陥について譲渡者は購入者に対して責任がありますが、一般的には売買契約書に隠れた欠陥について譲渡者は責任がないものとみなすという条項を付け加えますから、譲渡者が善意の場合には、責任がないものとみなすという判決が出ることが通常です。  

    例えば菌類の存在を知らなかった人が、存在しないという証明書をエキスパートに作ってもらい、それを示して譲渡した場合には、原則としてこの「責任がない」という条項が有効に働いて、譲渡者には責任がないという判決が出るのが通常です。

    これは売買の時に示された証明書が間違っていたということが証明されても、譲渡者が善意であれば責任はないということになります。  

     

  • 隠れた欠陥と「悪意」判決
  • 次に意識的な譲渡者の場合、つまり悪意の譲渡者の場合には、たとえ売買契約書に「責任はない」という条項があっても責任ありという判決が出ることが多いようです。  

    例えばシロアリの存在を隠すために壁面下部の幅木と床の一部を塗りなおした譲渡者については、売買契約書の「責任はない」という条項にかかわらず、譲渡者は隠れた欠陥(シロアリの存在)に対して責任があるという判決が出ています。  

    不動産のプロの場合には、自動的に「悪意」であるとみなされることが通常です。なぜなら不動産のプロは建築の欠陥を原則として知り尽くしていることになっているからです。  

    そして、場合によっては、個人でも不動産のプロとみなされることがあります。  

     

    ケース1

    譲渡者は93歳になる人で、彼は現役の時には土木工事の技術者でした。彼はお城を譲渡したのですが、その骨組みがシロアリにやられていました。そのお城を改修するときに木材を供給した会社を経営していたのが彼だったのです。したがって彼は不動産のプロとして行動したものとみなされ、売買契約にある「責任はない」という条項は認められませんでした。  

     

    ケース2

    女性が一つの建物の中にある数件のアパートを買い息子と二人でそれらのアパートの改修をして売りました。この場合にもあとから欠陥が分かった時に、彼女は不動産のプロとみなされて、売買契約の「責任はない」という条項は認められませんでした。  

     

  • 隠れた欠陥のある不動産を購入してしまったら

    隠れた欠陥のある不動産を購入してしまった人は、売買契約の解消あるいは値段の減少のどちらかの選択ができます。売買の契約の解消を選んだ場合には、購入者は不動産を返却して、譲渡者は売買金額と Notaire の費用を購入者に返還します。  

    購入者が価格の減額を望む場合には、エキスパートに依頼してその額を決めてもらいます。  

    譲渡者の悪意が見える場合には売買契約の解消のほかに損害賠償を請求することも可能です。  

    例えば上記の例では、譲渡者がシロアリの存在を隠すために故意に壁面下部の幅木と床の一部を塗りごまかそうとしたわけですから、譲渡者は悪意があったとみなされて、不動産価値の減少と用益権の障害に対して補償せよという判決が出ています。  

    すでに述べましたが、不動産のプロが売り手の場合には、よほど特殊な事情がない限りほとんど自動的に悪意であったとみなされます。なぜならば不動産のプロは当然建築物の欠陥を知っているものとみなされるからです。  

    こんな例もあります。

    基礎のかけていた家を売った不動産業者は、基礎を補修するための工事(134200ユーロ)、用益権の損害(3800ユーロ)、心理的損害(5000ユーロ)を補修工事中に仮住まいをしなくてはいけなかった購入者に支払うようにという判決が出ています。  

    これらの隠れた欠陥について訴訟を起こすためには、欠陥を発見してから2年以内に行う必要があります。この場合、購入者は欠陥を発見してから2年以内であるという証明をする必要はありません。譲渡者が異論のある場合には、譲渡者の方で欠陥が発見されてから2年以上たっていることを証明する必要があります。  

     

  • 検査書
  • 売り手が提出した検査書が誤っていた場合にはどうなるか?

     売り手が売買の時に義務である検査書の提出を怠った場合には、隠れた欠陥について責任はないという売買契約書の条項は適用されません。  

    ではきちんと検査書を提出した場合にはどうなるか?

     この場合には検査書が誤っていても、原則として売り手は善意であったとみなされます。  

    こんな例があります。

    買い手が壁の中と部屋の構えの中にアスベストを発見したために売り手を訴えました。しかし裁判所は売り手に責任はないと判決しました。買い手は検査を実施したエキスパートをも訴えました。しかし裁判所は、エキスパートは決められた検査を決められた通りに実施していて責任はないとしました。規定では視覚による検査を行って検査書を作ることになっていて、建物や建材の内部の検査は義務つけられていないからです。  

    いずれにせよ、エキスパート相手に訴えるということは、あまり望んだ結果が得られるということはありません。  

    これに反して、不正な売り手は、検査書の誤りをもとに自分には責任はないという主張をしても認められません。

    シロアリの穴をふさいでわからなくしておいてエキスパートに検査を依頼して検査書を作らせた譲渡者は、その後シロアリの存在が発覚して訴えられました。

    売り手は裁判所に損害賠償まで払うように命じられました。

    ところが売り手は検査書を作ったエキスパートを訴えて自分が払わされた賠償金を払い戻すように要求しました。

    この要求は退けられました。

     

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


    --フランスでの成功のコツ:生活編TOPへ--

     






    © 1990-2018 KOKUBO Communication all rights reserved.