フランスにおける贈り物について

友人への誕生日祝い、恋人へのプレゼント、子供達への贈り物など、私達は日常多くの場面でプレゼントをする機会があります。大抵は幸福な気持ちを生み出す贈り物ですが、次のようなことは大まかに覚えておいた方が厄介な問題を避けるためによいと思います。

 

  • 無償譲与かそうでないか
  • あまりに多額な贈り物をすると、無償譲与として課税の対象となることがあります。この無償譲与になるか、あるいは課税の対象とならない慣習上の贈り物になるか、これをどうやって判断するかということですが、1つはプレゼントがいつされたか。誕生日・入社記念・結婚記念などの何かの機会でなされているかどうか、ということです。そしてもう1つは金額です。金額は絶対基準ではなくて、贈る人の資産状況から見て妥当かどうかで決まります。

     

    いくつか例をご紹介します。

    ケース1

    お父さんから, Pierre-Joseph Redouté の水彩画をプレゼントされた娘さんが10年後にそれを売ったのです。プレゼントされた時点ですでに10671ユーロでした。それが10年後に売った時には856763ユーロです。

    税務署はこれを無償贈与として課税しようとした事件です。最高裁の判決は、次の2点に集約されます。

    まず贈り物の金額は贈った時点での価値で決まります。したがって、10年後の売買価格の856763ユーロは妥当なプレゼントかどうかということは検討の対象にはなりません。 また、プレゼントされた当時の10671ユーロ、これもすでに普通の人にとっては高額で課税の対象となりかねませんが、彼女のお父さんは各地に城や土地を持っている資産家でした。

    この2点から、最高裁は課税の対象とならないプレゼントの枠内と判断しました。

     

    ケース2

    お母さんが息子に29000ユーロを贈りました。このお母さんの資産がおおむね71000ユーロで月収が約1200ユーロであったのです。

    これに対し、最高裁は、これは課税の対象とならない贈り物の枠を逸脱していると判断しました。

     

    ケース3

    お母さんが自分が資産として持っているただ一つの一軒家を娘に住まわせて貸し与えていた件では、やはり、資産状況から見て課税の対象とはならないプレゼントの枠を外れていると判断されています。

     

    ケース4

    2439ユーロの月収のある夫婦が息子に20000ユーロ与えた件も妥当なプレゼントとはみなされませんでした。

     

    ケース5

    お父さんが娘が婚約するというので21396ユーロプレゼントしたのですが、その後娘は恋人と喧嘩別れをして婚約しなかったのです。そのため婚約の証拠が出せずに、裁判所は慣習上のプレゼントとは認めませんでした。

     

    ケース6

    クリスマスに娘と孫にそれぞれ7500ユーロの小切手を与えた例も課税の枠外の贈り物として認められています。

     

    ケース7

    男性が自分達の結婚30年記念に奥さんに車を一台贈ったものについても課税の枠外の贈り物として認められています。

     

    まとめてみますと、贈り物が課税の対象外とみなされるためには、贈る人の資産状況に会っている金額であることと、誕生日などの贈り物をするのが慣習になっているときという二つの条件を満たしていることが必要です。

     

  • 贈り物と相続手続き
  • これらの贈り物を贈った主が亡くなったときですが、そのときに遺産相続者がそういった贈り物を生前に受けていても、それらの贈り物は遺産相続分の対象となったり課税の対象となったりすることはありません。

    例えばこんな例があります。

    母親がなくなる一年前に二人の息子にクリスマスプレゼントとしてそれぞれに15245ユーロを送ったのです。一年と立たないうちに母親がなくなって、遺産相続の手続きがなされた時に、税務署はこのプレゼントが申告から落ちていたとして追徴課税しました。 これに対して裁判所は、このクリスマスプレゼントは慣習の枠内であるとして、課税の対象にならないと判断しました。このお母さんの資産はなくなるときに、1250081ユーロでした。

     

    慣習上の贈り物と認められないものについては、相続の手続きの時に、生前に贈与を受けたものとして相続手続きの中に組み込まれます。

     

  • 贈り物と婚約破棄
  • 婚約が破棄された時にそれまでに受けた贈り物はどうなるのか?

    誕生祝とかその他慣習上の贈り物は返す必要がありませんが、結婚をするという前提で婚約の機会に送られたものは返す必要があります。

    また代々伝わってきた宝石などは、婚約が破棄された時には返す必要があります。家族の歴史が刻まれている宝石類ですから。

    親が買ってくれた宝石を相手にプレゼントしても、それは家族の宝石だから返せ、という論理は通用しません。

     

    こんな例もあります。

    若い男性が、婚約者に婚約指輪や、車、PC,プリンターなどを贈ったのです。その後しばらくして破談になり、男性はこれらの贈り物を返すように相手の女性に要求しました。裁判所は、その金額等を考慮して、指輪と車の返還を命じましたが、PCとプリンターについては、金額も小さく、男性の少ない収入で考えても、婚約の機会の贈り物ではなくて単純な贈り物として男性の返還要求を却下しました。

     

    この辺はなかなか微妙ですね。

     

    例えば結婚する計画がなくて同棲していたとします。その間に男性が指輪等を色々と贈っていたとします。そしてある日喧嘩別れしたとしますね。 このとき男性が、婚約破棄を持ち出して、指輪等の返還を求めても、結婚の計画が最初からないのですから、婚約破棄という事実は認められずに、同棲している相手に対する単純な贈り物として返還の必要なしという判断がされることが多いようです。

     

  • 贈り物と離婚
  • それではさらに一歩進めて、結婚していた場合に結婚中の贈り物を離婚の時にどうするかということです。 原則として結婚中のなされた贈り物については、翻意することは不可能です。

     

    こんな例もあります。

    結婚中に男性が30歳になる奥さんに車をプレゼントしたいというので、月賦で車を買ってプレゼントしました。この月賦が払い終わらないうちに二人は離婚したのです。それでも、裁判所は奥さんが車を返す必要はないという判断を示しました。旦那は泣く泣く月賦を払い続けているということです !

     上記の婚約の破棄と違いますから、離婚したからといって婚約指輪を返還するということもありません。ただしこの場合も、家族の代々の歴史があるような宝石類は別です。これらについては、代々の歴史が刻まれているものであるということが証明できれば返還要求が認められます。

     

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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