フランスにおける自動車事故で自分の車が警察官等により重大な損傷を受けた車 (Véhicule gravement eondommagé - VGE) と指定された時

自動車事故のときに警察官あるいは車のエキスパートによって、あなたの車が重大な損傷を受けた車 (Véhicule gravement endommagé) と指定されることがあります。そのままでは、その車は運転することも第三者に売り払うことも出来ません。

この場合にどうするかということを以下に説明します。

 

  • フランスにおける重大な損傷を受けた車 (Véhicule gravement endommagé) 指定の概要
  • 昔は官憲だけがこの重大な損傷を受けた車の指定をしたのですが、2009年4月10日の政令で自動車のエキスパートもこの指定をすることが出来るようになりました。

    自動車が修理可能な時にも、各自の安全の為にこの重大な損傷を受けた車という指定を受けることがあります。

     

    事故の後、保険会社は事故車を検定するために自動車のエキスパートを派遣してきます。このエキスパートは車を分解することなく外観から検査をします。その報告書は3種で次の如くです。

    (1)技術的に修理不可能 (Le véhicule techniquement irréparable)    

    この検定がなされた時は、PREFECTUREは報告書を受け取ると、その車の自動車登録証を破棄し ます。従ってその車は運転することが不可能になります。しかし、あなたがどうしても修理して使いたい時には、まず修理をしてから、地区の工業・研究・環境庁 (Direction régionale de l'Industrie, de la Recherche et de l'Environnement - Drire) に申請して新しく自動車登録証を得ることも不可能ではありません。

    (2)経済的に修理不可能 (Le véhicule economiquement irréparable)    

    修理代の方が車の価値よりも高いと判断された時。この場合、保険会社は車の買取ということで提案してきます。

    (3)重大な損傷を受けた車 (Le véhicule gravement endommagé)    

    自動車のエキスパートは内務省と車の持ち主にその旨の報告書を送ってきます。 勿論車が修理可能と判断された場合には、車を修理屋さんへもって行くだけのことです。このとき自動車登録証がPREFECTUREに押収されていれば、これは返還されます。 事故の時に官憲が破損のため車を運転できる状態ではないと判断した時は自動車の登録証を押収してその旨を自動車の持ち主とPREFECTUREに通知します。この場合保険会社は車の検査の為に自動車のエキスパートを派遣します。この場合勿論あなた自身がエキスパートを派遣してもよいのですが、その場合その費用はあなた自身の負担になります。そして、このエキスパートが車を使用可能と判断すればPREFECTUREは自動車登録証を返還してくれます。

     

     次の場合には技術的に修理不可能と判断されます。

    (1)エンジン部分が燃えた時や車内が破壊された時

    (2)運転席の計器板の高さまで水浸があったとき

    (3)車の安全装置が修理することも取り替えることも不可能な時

    (4)安全構造がおかされて修理も取り替えも不可能な時(金属の老化、破裂の始まり、深い腐食等々)

    (5)修理のためにはエンジン・変速機あるいはシャーシーや車体自身の取替えを要する時

    (6)車のアイデンティティーの認識不可能な時

     

    保険会社から派遣された自動車のエキスパートが事故にあった車の損傷がひどくて安全な運転が不可能と判定した場合には、その旨がPREFECTUREへ通知されます。

    ついで内務省が車の持ち主に、車の使用の禁止 (Interdiction de circuler avec votre voiture) と自動車登録証の転送の禁止 (Opposition au transfert du certificat d'immatriculation - OTCI) を通知します。

     

    これによりあなたの車は運転できないばかりか、売ることも与えることも貸すことも出来ません。 この場合、自動車の登録証は必ずしも押収されません。ブロックされるだけです。この場合も、自動車の破壊専門業者あるいは部品の回収専門業者へ車を売ることは可能です。

     

  • 自動車のエキスパートとは?
  • 自動車のエキスパートの検査は下記の4点についてされます。

    (1)重大なる車体の変形    

    ポイントは、フレームサイドメンバー、床、車輪溝、シャーシ、横断枠などです。

    (2)舵取り装置の重大な変形    

    ポイントは、操縦装置、歯車装置、伝達装置軸などです。

    (3)地面との接触の大きな変形    

    ポイントは、エンジン部分の台座、サスペンション、車軸、ホイール・リムなどです。

    (4)車内の人に関する安全装置の問題    

    ポイントは、安全ベルト、エアバッグ、事故の場合の安全ベルトのブロック装置、これらの装置を調節するコントロールボックスなどです。

     

    注意しなくてはいけないのは、この制度は事故にあった車にだけ適用されますから、自然災害や、暴動で破壊された車あるいは盗難等の為に破壊された車には適用されません。

    また、普通の車やトラックあるいは牽引されている車には適用されますが、重車両や二輪車には適用されません。

    この重大な損傷を受けた車という判定にあなたが不服な場合には、自分で自動車のエキスパートに再度検査を依頼することが出来ます。

    普通の検査ですと大体数百ユーロくらいです。公認の自動車のエキスパートのリストは下記のサイトで見られます。エキスパートの金額は法的にも組合でも決まっていませんから、エキスパートは自由に決めます。

    www.securiteroutiere.gouv.fr

    あなたの依頼した自動車のエキスパートが保険会社のエキスパートの判断を否定した時は、エキスパートの組合 (Anea と Upeas) が構成している委員会で審査されます。

    なお、この重大な損傷を受けた車をそれにもかまわずに運転すると、第4類の交通違反になります。

     

    使用の禁止 (Interdiction de circuler) あるいは自動車登録証の転送の禁止 (Opposition au transfert du certificat d'immatriculation) を解除するには、車をエキスパートが指定した点について修理することが必要です。

    この修理は、あなたが頼んだ自動車のエキスパートに見守ってもらうことが必要です。あなたが交通事故の原因でなければ、これらのことは保険会社がその費用でやってくれます。さもないと、数百ユーロくらいかかります。

     修理の時に、自動車のエキスパートは修理すべき箇所の検査を再びします。そのときに、最初のエキスパートの検査で指定されていない箇所が出てくるとその箇所については、保険が下りるかどうか保証の限りではなくなります。 そして、修理の期間中少なくとも3回は車の検査に自動車のエキスパートは修理会社を訪れます。すなわち、車が分解された時、修理の最中、修理が終わった時。そして、この各過程でエキスパートは検査後報告書を作ってサインします。

     

    自動車のエキスパートについては下記の組合のサイトで調べられます。

    Alliance nationale des experts en automobile (Anea)

    Tél.01-45-40-40-40

    www.anea.fr

    Union professionnelle des experts en automobile salariés (Upeas)

    Tél.01-47-94-28-89

    www.upeas.net

     

    こうして、自動車のエキスパートが修理が全部済んだことを検査して報告書をサインし終わるとその旨をPREFECTUREと内務省へ通知します。 このときいくら車の修理が完全に出来ても、それによって、修理前の車の、従って自動車の登録証に記載されている自動車の特性が変わってしまっていると、PREFECTUREは使用の禁止あるいは自動車の登録証の転送の禁止を解除してくれません。

    こうしてエキスパートの通知を受け取ると、内務省で自動車の使用あるいは自動車の登録証の転送の禁止を解除してくれます。そしてこの解除を、内務省は車の持ち主に通知します。修理工はこの解除の通知をエキスパートより知らされますから、あなたは車を引き取りに行くことが出来ます。

     

  • 自動車登録証の発行
  • もしも事故のときに官憲により自動車の登録証が押収されている場合には、PREFECTUREの窓口で造ってもらえます。このときには次の書類を持ってゆくことが必要です。

    (1)身分証明書と住居証明書

    (2)官憲が事故のときに渡した自動車の登録証の押収証明書

     

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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