フランスにおける監視カメラについての注意点

最近はWEBCAMを使えば自宅のPCで簡単に監視カメラを作ることが出来ますから、留守中の子供の安全のために利用している人も多いと思います。

しかし、フランスの場合プライバシーの権利がきちんと守られていますので気をつけないととんでもない失敗をします。

以下に、監視カメラについて概説します。

 

  • 職場における監視カメラ設置とその判例
  • 監視カメラの使用については法的にかなり厳密な規制があります。これは公共の場所ばかりではなくてプライベートな場所でも同じです。

    会社で監視カメラを備え付ける時は従業員に彼らが監視カメラで監視されていることを従業員の一人ひとりにあるいは従業員組合のある場合には組合を通して知らせておく必要があります。そして監視カメラの設置されている場所にはその旨を伝える表示をしてあることが必要です。

    この規則を守らずに設置された監視カメラについては、その録画は解雇等の理由の証拠として使うことは出来ません。後述しますが、これが使えないというのは、解雇等の労働契約の枠内のことで、刑事事件の証拠としては有効な時もあります。

    こんな例もあります。

    女店員が店の金銭登録機からお金を盗んでいるところを録画されたのですが、店がこの監視カメラの規制をきちんと守っていなかったので、労使裁判所も最高裁も、この録画は証拠として使うことは許されないと判断しました。

    会社で監視カメラを設置した時、その録画を見ることが出来るのは、そうした役職に任命された人だけです。

    こんな例があります。

    主人が小さなお店を経営しているところで働いていた女の子が店の金銭登録機からお金を盗んだのを録画された場合です。

    この例の場合には、この女の子は主人から監視カメラが設置されていることを知らされていました。そして裁判でもそのように公言したのです。ところがその監視カメラを録画してみていたのが、主人の奥さんで、奥さんは会社では働いていなかったのです。したがって、会社とは関係のない人が、監視カメラに関わっていたということで、その監視カメラは従業員のプライバシーを侵すものであると判断されました。そして、女の子の窃盗の証拠としては認められませんでした。

     

    労使紛争とは別に、情報と自由に関する国家委員会 CNIL (Commission Nationale de l'Informatique et des Libertés) が独自にあるいは従業員等の告発で調査をして勧告あるいは判決を下すことがあります。

    会社の倉庫等に監視カメラを設置する場合には、普段そこで人が働いていない場合には、従業員に設置してあることを通知する必要はありませんから、その倉庫から物を盗んでいるところを録画された従業員がいても、監視カメラ設置規制違反だから証拠にならないとは主張できません。

    また労働法の解雇には使えなくても刑事事件には使えることもあります。

    こんな例もあります。

    薬屋で働いていた人が売る上げをごまかし続けていたものですが、これを内緒に監視カメラに写して証拠としたものです。これは解雇を正当化するための証拠としては、使えません。しかし、背任横領ということで警察に訴える時には使えるのです。

    頭の回転の早い人は気がつかれた事とも思いますが、こういう場合なら、録画は解雇の理由の証明に使えませんが、刑事事件として告訴して従業員が刑事罰になってから、今度はその刑事罰を理由に解雇するというのは、成り立つということですね。

     

  • プライベートにおける監視カメラ設置とその判例
  • 自宅の前の入り口を監視するために監視カメラを設置することは出来るでしょうか?

    この場合は監視カメラの対象が公共の場所あるいは公共に開かれた場所になりますから、PREFECTUREの許可なしには設置できません。

    こんな例もあります。

    監視カメラの会社に勤めていた定年退職者が、自宅の入り口の道路を監視するために無許可で監視カメラを設置した件については、なんと執行猶予付き懲役6ヶ月罰金3000ユーロの判決が出ています。もっとも彼の場合は、監視カメラの専門家でしたから、そう言った法を知らぬはずはないということで、罪が重かったのですが。

    商店のように公共の場所ではなくとも、一般に開かれた場所の場合には、表示によって監視カメラが設置されていることを示すことが義務づけられています。そしてこの監視カメラが録画できる場合には、情報と自由に関する国家委員会 (Commission Nationale de l'Informatique et des Libertés -- CNIL) へ申告することが義務付けられています。

    また、1995年の法により録画されたものは1ヶ月以内に破棄することが決められています。今度できる法 (La loi d'orientation et de programmation pour la performance de la sécurité intérieure -- Loppsi 2) では、PREFETがこの保存期間を決められることになっています。

    ただしこれは公共の場や公共に開かれた場所に関することで企業などのプライベートな場所での録画についてはなんら取り決めはありません。

    集合住宅の入り口のホールなどの共通部分については、これは全くプライベートな場所の区分に入りますから、この部分に監視カメラを設置するのにはPREFECTUREの許可は要りません。ただしデジタルな機器で録画をする場合には、CNILへ登録することが義務つけられています。

    これらの設置は家主の組合の集会で原則として半数以上の家主の同意で決められますが、そのときには監視カメラが設置されていることを住人及び訪ねてきた人に分かるように表示することが義務付けられています。

    集合住宅の入り口のホールや地下のパーキングはあくまでもプライベートな場所ですから、たとえ家主の組合の許可があっても、判事の許可なくして警察が監視カメラをつけることは違法です。

    こんな例があります。

    車の窃盗のグループの逮捕のために警察が集合住宅のパーキングに家主組合の許可を得て、監視カメラをつけた件では、裁判所は、判事の許可なくして監視カメラを警察がつけたのは違法ということで、その録画による証拠を認めませんでした。

    あなたの家に遊びに来ている人たちでも、内緒に録画することはすでに法に触れます。

    こんな例があります。

    3歳の子供をベビーシッターに留守中任せていた両親が、心配のためWEBCAMを使ってベビーシッターに内緒で録画していた件では、プライバシーの侵害ということで執行猶予付き1000ユーロの罰金になっています。

    こんな例もあります。

    共通の小道の端に2軒の家があって、そのうちの1件の住人が、自分達の家の安全のために、その共通の小道に監視カメラをつけたのです。これはプライバシーの侵害ということで、執行猶予付き懲役3ヶ月、762ユーロの罰金となっています。

    会社がその建物の壁に監視カメラをつけたら隣家が丸見えになった件では、裁判所はその監視カメラの取り外しを命じています。

    こんな例もあります。

    サントロペの別荘の庭に監視カメラをつけたのですが、カメラの高さから当然隣家が丸見えになるのですが、プログラムで隣家の方向が見えないようにしてあることが証明されたために、裁判所は問題がないという判断を下しました。

    こんな例もあります。

    田舎屋等ですと、時に誰かの私道を通らないと自分の家へ行けないということがあります。この場合には、法でその私道を使うことは許されるようになっています。そうなった時にこの私道の持ち主は、自分の私道でありながら、勝手に監視カメラをつけることは許されません。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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