フランスボランティア事情

フランスのボランティア事情についてご説明します。

 

  • フランスにおけるボランティアの現状
  • フランスは世界でもNPOの数が多い国です。130万の組織があるといわれています。

    その中でボランティアとして働いているフランス人の数が1300万人です。ボランティアとは別に被雇用者として働いている人もいるわけですが、そうして被雇用者を雇っているNOPは全体の12%にすぎません。

    多くの人をボランティアとして使っているNPOのトップ4は下記のものです。

    *Secours Populaire 8万人のボランティア

    *Restaurant de coeur 71000人のボランティア

    *Secours catholique 67000人のボランティア

    *Croix Rouge française 57567人のボランティア

    ボランティアの人は報酬なしで働いていますし、もちろんNPOとの間には労働契約は存在しません。しかし、そこには義務と権利が生じますから注意が必要です。

    またNPOの会員であるかどうかということも微妙な問題で、会員はもちろんボランティアで働くことができます。しかし、ボランティアが必然的にNPOの会員かというと必ずしもそうではありません。また、法的にその必要もありません。

     

  • フランスにおける"ボランティア"の定義
  • フランスの場合原則として次の条件が満たされていない場合にはボランティアとは呼びません。

    *組織の命令系統の枠の中にはめ込まれていないこと。

    *上司・部下の関係がないこと。

    *決められた役職(受付、監督、会計等々)についていないこと。

    *報酬を受けていないこと。

    これらの条件がすべて満たされていない場合には、労働監督局が隠された雇用であるとして摘発の対象にすることもあります。

    あるいはボランティア自身が労使裁判所に訴えて、隠された雇用であるとして、正規雇用にせよと申し出ることも起こりえます。

    こうした問題を避けるためにも、ボランティアを使う時にはボランティア憲章を作っておいて双方で署名するとよいでしょう。

     

  • ボランティアと費用の立て替え
  • さてこうしてボランティアでNPOのために働き始めた時に、活動中に各種の費用を立て替えることはよくあることです。 これが払い戻しの対象になるかということですが、もちろんNPOの活動に必要な枠内の費用の場合には払い戻しの対象になります。

    電車の費用やホテルの宿泊費などですね。自分の車で活動のために動く場合も払い戻しの対象になります。

    この場合も後で税務署等と問題が起こらないように、NPOの枠内で動いた時にはそのキロメーターを記録しておくとよいでしょう。

    これが何の証拠もない見積もりの払い戻しですとのちにと税務署と問題が起こることがあります。仮装された報酬だといわれる可能性が出てきます。

    例えば、一律15ユーロの食事代を払い戻すというような場合です。 この場合も、朝から夕方まで一日働いているボランティアの場合には、昼食代を払い戻すのは認められています。 こうした払い戻しは、税務署の一覧基準がありますからそれに従うとよいでしょう。もちろん、これは単なる目安ですから、それに従わなければいけないというものではありません。

    ただこうした基準から甚だしく逸脱した金額の場合には、税務署や社会保障局から仮装された収入であるとして追徴金などの対象とされる可能性が出てきます。

    こうした問題を避けるためには、NPO自身の基準を作っておいて、その枠内に入らないものについては払い戻しされないなどの規則をはっきりとしておくことです。

    この場合に、では立て替えておいたものが払い戻しされないとなると、その金額はNPOに対する寄付として処理しても良いのか?という問題が出てきます。 この場合NPOの領収書があれば寄付扱いにすることも可能ですが、そのためには、NPOの活動が寄付を受けることが可能である枠内のものであることが必要です。そうすればボランティアは所得申告の時にそれらの寄付を申告して税控除を受けることができます。

    もちろん税務署の枠があり、2017年では、寄付された金額の75%で、530ユーロまでの控除が認められるということになっています。ただしこれは社会運動的なNPOの場合でカルチュアー関係などの場合には、66%の控除しか認められていません。

    いずれの場合にも、この控除の金額は、寄付者の年間所得の20%を超えてはならないとされています。

     

  • ボランティアと研修費用
  • では、NPOはボランティアの研修費用を負担することができるか? という問題ですが、これに関しては研修内容がNPOの活動内容に必要なものである場合には認められています。

    例えばシングルマザーを援助するNPOがボランティアの心理療法士の研修費用を出す場合などですね。 この場合もNPOの全体の予算に比べて研修費用が以上に大きいと、これは仮装された報酬であるとされる可能性が大きくなります。

    またこうした研修をNPOが負担する場合にはボランティアは平等にそうした機会が与えられることが必要です。

     

  • 失業中のボランティア活動
  • 失業保険をもらっている人が、あるいは失職中の人がボランティアをすることができるか?ということについては、労働法に失業中でもボランティアをすることができるとしてありますから、問題はないのですが、失業保険をもらうためには、求職活動をしなくてはいけませんが、このボランティアの活動があれば求職活動をしなくてもよいかというと、そうは行きません。 ボランティアとは別に求職活動をしないと、失業保険を打ち切られます。

     

  • 被雇用者とボランティア
  • では、NPOの被雇用者がボランティアをそのNPOの中ですることができるかということについてはどうでしょうか? これは可能です。ただし、その被雇用者がNPOの中で被雇用者としているのと同じ仕事をボランティアでもするとなると問題が起こります。

    例えばカルチャー教室のようなところで被雇用者としてソルフェージュの教室をしている人が、そのNPOの中で夕方ボランティアとしてコンサートをオーガナイズしても良いのですが、その同じ人が週末はボランティアとしてソルフェージュを教えるとなると問題が起こります。仮装された雇用とされる可能性が高くなります。

    同じ思考の論理で、ボランティアが被雇用者がしているのと同じ仕事をするとなると、これも仮装された雇用とされることが多いのです。

     

  • ボランティア中の事故
  • ボランティア中の事故等については社会保障の枠内に入るかということですが、これについては、NPOの活動が公益性のあるものである場合には、社会保障の組織の自発的な加入が許されていますから、それでカバーすることができます。

    この場合もボランティアであるということからともすると自分のプライベートな行動との区別がつきにくくなりますから、使う車にせよ何にせよ、できるだけボランティア活動と私生活の活動の区別がわかるようにしておいた方が、事故の時の保険の問題がわかりやすくなります。

     

  • 「学識能力のメセナ」
  • 次に自分の勤めている会社が「学識能力のメセナ」活動をしている場合には、この枠内でボランティアをすることも可能です。 この場合には、被雇用者は自分の会社から出向のような形になり、給与・バカンス等は自社で働いているときと同じように受け取ることができます。

    この「学識能力のメセナ」の期間は決まっていませんから、自分の会社の人事部と話し合うとよいでしょう。 この場合会社はこうして出向した社員の給与の60%が税から控除されます。ただし売り上げの0.5%を超えてはならないとなっています。 こうしてボランティアが働く場合には直接の権能はNPOにありますから、何か事故を起こせば当然NPOの責任が問われます。ただしボランティアが、自分のミッションとは関係のないところで事故を起こした場合には、NPOには責任はなく、ボランティアのみが責任を問われ、彼が入っている市民としての責任の保険の枠内でカバーされることになります。

     

  • NPOとボランティアの紛争
  • さて最後にNPOとボランティアの間に紛争が起きてしまった場合ですが、この場合には大審裁判所で争うことになります。ただし、労働契約等に関することは、労使裁判所で争います。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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