フランスにおける後見人の指定について

日本でも70歳以上の人口が20%を超えたと発表されていました。

メディアも介護の問題を毎日のように報道していますし私たちも身近なところで高齢者の問題を見ないわけにはゆかない時代になってきました。

現実問題として後見人の問題は高齢者本人はもちろんのこと、家族にとっても大切な問題となっています。

フランスにこれから移住しようという高齢者は少ないのかもしれませんが、各国のカルチャーの制度の違うところを知っておくということは、自国の制度を改善するうえで大変有益なことだと思います。

現在フランスに住んでいる人にとっては身近な問題ですね。

 

法的には、高齢者に限らず知的障害者の人などの場合もそうですが、健全な日常生活を送るために、その人の健康等の状態を理由に常時代理人が必要であり、後見人を立てる以外にほかに方法がないという場合に限り判事により後見人が指定されます。

判事はまず後見人を立てることが必須であるかどうかを検討します。次に後見人を指定するわけですが、この時判事は、まず当人の利益ということを第一に考えます。そのためには時として、家族の中ではなく、職業としての後見人を選ぶこともあります。

 

  • 常時代理を立てる必要があるかどうか
  • 後見に置かれる人が常時代理を立てる必要があるということが前提です。当人が自分だけでは、自分の利益に備えることができないという状況にある時に後見人が立てられます。メンタルや肉体が衰えて自分ではその意思を表明できないと医学的に検診された時などです。

    本人が将来の保護委任によって後見人を指定していない場合には、家族や親戚が判事に申請することができます。

    本人の状況次第で、法的保護、財産管理、後見と次第に重さを増した判断がなされます。 これを見てもわかるように後見というのは一番重い状況ですから、次の二つの要件が満たされていないと後見という判断は下されません。

    まず本人が日常生活するうえで、常に代理人が必要となっていること。 つぎに、そのほかの保護施策では不十分なこと。

    社会的にひ弱な人の保護ということに関して、家族や親戚が判事にその法的保護を申請するのですが、判事の判断は必ずしも申請されたものあるいはそれ以下のものになるとは限りません。

    父親が読み書きもできなくて自分の意思も十分に判断できない子供を財産管理の法的措置に置くことを申請した時に、判事は子供の尋問ののちに、財産管理では不十分と判断して子供を後見のもとに置きました。

    逆の例もあります。

    昏睡状態にある父親を後見に置くように申請した息子の例です。 この場合には、妻が元気で正常であり、共有財産制度の下で結婚しているために、夫の財産が浪費や横領に会うことは考えられないとして、息子の申請を却下しました。

     

  • 医師の診断書
  • 後見に置くための申請には原則として医師の診断書が添付されていることが必要です。本人が将来の保護委任の中で後見人を指定していない場合には、判事が後見人を指定します。

    この申請は家族、親戚あるいは職権により検事、場合によっては第三者が行います。 申請には詳しい医師の診断書を添付します。この医師は検察が決めた医師のリストの中から選ぶことが必要です。

    この医師は場合によっては、本人の日常の担当医の意見を聞くこともできます。 この診断書には、後見が必要とされる原因の症状の詳しい記述、予見される今後の変化、その変化が今後の後見に及ぼす結果、そして本人の尋問が可能かどうか、が書いてあることが必要です。

    医師の診断書がない場合には原則として申請が却下されますが、今日では、診断書に代わるものがあれば判事も応じることが多くなっているようです。 本人が頑強に医師の診断を受けることを拒否している場合などですね。

     

  • 直接保護すべき人の尋問
  • 多くの場合判事は直接保護すべき人を尋問します。こうした申請があった時には、判事は尋問が本人の健康を害する場合と、本人が意思を表明する能力のない場合を除いては直接尋問することになっています。尋問は裁判所でもあるいは本人が収容されている施設でも行われます。

    もしも本人が直接尋問に応じることができない場合には、この後見の手続きについて知らされることが義務付けられています。 判事は近親の人に会うことを求めることもあります。また、判事は後見人になることを求めている人がいる場合に、その人が判事との謁見を求めた場合には合わなければいけないことになっています。

    尋問が行われるときには判事は本人に受領書付きの書留で呼び出しをかけます。本人は判事に将来の後見人について自分の気持ちを述べることが必要です。さもないとこの手続きは正規のものとは認められません。

    本人は弁護士の立ち合いを求めることもできますし一人で尋問に応じても構いません。 ただし一人で尋問に応じたのちに、その後その点について不服申し立てをすることは認められていません。

    判事は関係者が対審的に議論できるようにということを関係者に伝えます。 本人はこの尋問の前に提出された書類を裁判所の書記局で閲覧することができます。

     

  • 後見人は原則として近親の人の中から
  • 判事は原則として、可能である限り、近親の人の中から後見人を選びます。特に家族の中で選ぶことができる場合には判事はそれを優先します。もちろんその場合も判事の主眼はあくまでも本人の利益を守るという点です。

    まず本人が表明した気持ちを大事にして、本人の関係や、近親の意見やすすめることを注意深く聞きます。 判事は保護されなければならない人の状況に従って判断をして、決して家族の状況では判断しません。

    こんな例もあります。

    女性が後見に置かれる必要が出てきた時に、この女性の同棲者の反対にもかかわらず、判事はその女性の息子を後見者としました。家族のつながりのほうが強いという判断ですね。 本人も自分の息子によって代理されることを判事の前で表明したのです。

    別の例では、対立と紛争の中にある人の後見の場合では、判事は家族の外に後見人を指定しています。 しかしこの判決は最高裁でひっくり返っています。 判事はまず家族の中から、それができない時には近親の中から、それもできない時には専門の後見人を指定します。

    こんな例もありました。

    知的障害のある息子の後見人として名乗り出た父親が、実は息子を結婚させようとしていることを知り判事は父親の申し出を退けて専門の後見人を指定しました。

    こんな例もあります。

    病院に収容されている女性が後見の必要ありと判断されたのですが、女性の子供たちの無関心を見た判事は、病院の管理者を後見人に指定しています。

     

  • 期間の限定
  • 後見人は期間を限定して指定されます。原則として後見人は5年ということで指定されます。特別な措置としてもっと長い期間を指定することもあります。

    医師の診察でその後の状況の変化の予見に従って期間が決まります。

    最初の期間が過ぎると、その後の状況を判断して更新するか打ち切るかが決められます。 更新するときには現在の科学では改善の余地はないということをきちんと理由づけて判事は結論を出します。 この期間中判事はいつでも状況次第で本人の保護のシステムを変えることができます。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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