騒音による迷惑に関する紛争について

パリ市内などはほとんどが集合住宅ですから近隣との騒音に関する紛争は結構あります。

騒音については公共衛生の法典と市民法典で、騒音で人々の平安を乱すものは厳しく罰せられることになっています。

近隣に騒音で迷惑をかけることは、アパートの共有者組合の規則に反するばかりではなく、賃貸契約の規則にも反します。

裁判所はケースバイケースで訴えられた騒音が社会生活上やむを得ない範囲内のものかその範囲を大きく逸脱しているかを判断します。

場合によって裁判所は罰金を課したり、損害賠償を認めたり、賃貸契約を解除したり不動産の売買そのものを取り消したりもします。

 

  • 騒音の性質
  • 平安を乱す騒音の評価の仕方は騒音の性質に依存します。

    職業上の活動による騒音、スポーツによる騒音、カルチュアーやそのほかによる騒音などは、騒音を計測することが求められます。

    例えば、スーパーマーケットの近くの家の人が騒音を裁判所へ訴えた件では、朝の5時半からトラックが出入りし、ローラーが大きな騒音を出していました。 この場合でも、早朝から騒音迷惑は明らかということにはならずに、きちんと騒音のレベルの計測が求められました。 その結果騒音のレベルは許可された数値を越えているということで、アパートの共有者たちはかけられた迷惑に対して30000ユーロ、騒音防止用の窓と扉の工事の費用をスーパーが負担し、騒音のために不動産の価値が下がったことに対する損害賠償として45000ユーロを得ました。

    これに反して、日常生活の行動で起きる騒音、例えば足音とか子供の叫び声といったものですね、こういったものに関しては、執達吏の耳による調書を基にして裁判所は判断することが多いですね。

    例えば時々ピアノを弾く隣人がいても、それはピアノの音の大きさでは判断しないということですね。 常識的に判断して朝から晩までピアノを弾いている隣人がいれば、音の大きさとは関係なく判事は、近所迷惑だと判断することが多いということです。

     

  • 建物全体の平安への考慮
  • アパートの共有者たちは、建物全体の平安を乱してはなりません。

    騒音に悩まされる人々は公衆衛生法典、市民法典ばかりではなく、共有者規範にもよって、騒音対策をすることができます。

    共有者は、建物の他者の権利を侵すことなく、建物の平安を乱すことなくかつ建物の使用目的に反しないという範囲で自分の所有部分では自由にできるということですね。

    もしも共有者規範が禁じていることがあれば、共有者はそれを守る義務があります。

    こんな例があります。

    共有者規範が床の取り換えをするときには共有者組合の許可が必要であると決めてある時に、共有者の一人がモケットをすべてはがしてしまい寄木張りの床にしてそこに筋トレの機械を設置したのです。裁判所はすべての設備を取り払って元通りのモケットにすることを命じました。

    他の例では、共有者規範が床の張替について何ら規定していない時に、床をモケットから寄木張りにした隣人に対して、足音が大きすぎるとして裁判に訴えた隣人がいたのですが、これに関しては、寄木張りの床にしたために足音が大きくなったとは思えないとして裁判所は訴えを退けています。

    こんな例もあります。

    ここでは共有者規範が建物内での商業活動を禁じていなかったために、ガレージでバーを開店した人がいたのです。 この場合には深夜の騒音や人の出入りが、近所の人々の平安を乱すとして結局共有者規範の、隣人の平安を乱してはならないという点に反するとして、共有者規範に反すると判断しています。

    小名所用な例で、建物の中で語学の教室を開催した人については、共有者規範違反するとは判断しませんでした。ただし、子供の騒音や出入りが近隣の平安を乱さないようにするための用意が不十分であると判断しています。教室と大家は訴えた近隣に対して8000ユーロの損害賠償を払うように命じています。

     

  • 借家人の義務と権利
  • 騒音に関する迷惑に関しては借家人も義務と同時に権利があります。

    借家人がその騒音で近隣に迷惑をかける時には、大家さんは必要な措置を取る義務があります。 同時に大家さんは、借家人に対して、平安な生活ができるように保証する義務があります。

    借家人がその騒音で近隣に迷惑をかける時には、借家人は損害賠償の支払いを命じられたり、賃貸契約を解約されることもあります。賃貸契約にはたいてい書いてある、近隣の平安を脅かしてはならないという条項に反するからです。

    建物の中でレストランをしていた人が、近隣の平安を脅かすとして、損害賠償の支払いを命じられたばかりではなく、大家さんに対する賠償命令の支払いも負担するように命じられています。

    こんな例もあります。

    家を借りた賃借人に対して、近所の油絞りの水車の騒音がひどすぎるとして、大家が賃借人に対して損害賠償を支払うように命じられています。この場合には、大家が賃借人に家を見せる日を水車の休日に選んでいたのです。そしてもちろん大家さんは近所に水車がありかなりの騒音がするということを説明しなかったのです。

     

  • 騒音告知の義務
  • 不動産を売る人は近所に騒音の問題がある時には、それを買う人に伝える義務があります。 こうした不動産売買では注意が必要で、売ってしまえばあとは野となれ山となれ、という具合にはゆかなくて、こうした問題はきちんと話しておかないと、同意の瑕疵あるいは隠れた不備として、後々に損害賠償請求や売買の取り消しなどになることがあります。

    これに反して、何度も足を運んでいろんな時間帯にアパートを見に来た人が、売買後に地下鉄の音がうるさいとして訴えた件では、物件を見に来た時に十分地下鉄の騒音を知る機会があったとして、訴えを退けています。

     

  • 公共施設と騒音
  • 公共の施設の近隣の人々も必要以上の迷惑をこうむる義務はありません。

    スポーツセンターやカルチュアー教室などの公共の施設については、社会生活上少々の迷惑は仕方がないというのが裁判所の見解ですが、それも程度の問題で、必要以上の迷惑は被る義務はないとされています。

    原則は公共の利益が優先するということですね。

    この場合は相手が公共の施設ですから訴える時には行政裁判所へ訴えます。

    例えばスポーツセンターが騒音でうるさいとして訴えた例では、23時までやっているところでは、訴えが通りましたが、16時までしか開いていないところでは、訴えが退けられています。

     

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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