フランスにおける葬儀保険 (Assurance obsèque) について

フランスにおける葬儀と葬儀保険についてご説明します。

 

  • フランスの葬儀保険について
  • INSEEの統計によると、インフレの2倍以上のリズムで葬儀代が値上がりしているということです。

    平均してフランス人が葬儀に使う費用は2500から4000ユーロです。住所から墓地まで遠かったり、あるいは残った人が立派な墓碑を立てたりすればこの費用は一気に上昇します。そんなこともあって最近フランスでは残った人に不要な金銭的苦労をかけないようにと葬儀保険をかける人が多くなっています。約230万人の人が契約しているということです。

    問題は、多くの葬儀保険がきちんとしたスライド制になっていないため、死亡した時には契約した時のような葬儀を行うのには不十分な金額になっていることが多いのです。そういった点を改善するためになされた立法も、地方自治体に関する立法の中に組み込まれたりしているため、ほとんどの保険会社が適用しておらず、まだまだ不十分なようです。

    約77%の葬儀保険が、葬儀保険とは名ばかりで、契約者の死亡時に1000から10000ユーロの契約金額が支給されるだけというものです。逆に言えば残った人が自由に葬儀をオーガナイズできるということです。

    この手の保険は、契約時の条件がうるさくなく、医師の診断等の必要もなく、80歳あるいは85歳でも簡単に契約できることが多いといえます。そして死亡後、48から72時間で支払いがなされることが多いものです。支払いも柔軟で、一括払いから、5から20年にわたる延払いあるいは終身年金の形で受け取れます。

    契約の支払金は、例えば3000ユーロを死亡時に受け取る契約の場合、65歳の人が契約時に一括払いにすれば、2500ユーロ(75歳の人だと2900ユーロ)。分割払いにすると、65歳の人が、400ユーロを10年間の割で払い続けるような計算になります。終身年金を受け取る契約ですと、年に300ユーロを10年間払い続けるような計算になります。

    これらの保険では、資金はでますが実質的には葬儀に関しては殆ど何もしてくれません。死亡したところと自宅が50キロ以上離れている時はその死体の回収、死亡時の手続きに必要なことの電話による相談くらいはしてくれます。

    逆に言えばこれらの葬儀保険とは名ばかりの保険では受け取った人はそのお金を何に使おうと自由です。 この程度の葬儀保険に契約するくらいでしたら、最初から普通の生命保険に契約したほうがずっと有利です。あるいはごく単純に定期預金や普通預金に預けておいても、そのほうが有利です。

    死亡と同時に死亡した人の口座等は手続きが終わるまですべてブロックされてしまいますが、葬儀会社は5000ユーロの枠内で、死亡届を持参すれば金融機関に必要な金額を下ろさせることができます。 上記の葬儀保険の計算で、死亡時に3000ユーロ受け取るためには、65歳で2500ユーロ支払うという計算になりました。スライド制が適用されたとして(一般には一年に1・2%です)、75歳の死亡で3300ユーロ、88歳の死亡で3700ユーロです。

    これを例えば、ユーロ建ての投資信託にすると(管理費と税を引いた率を4%ととして)、70歳で3000ユーロ、75歳で3700ユーロ、88歳では6200ユーロになります。従って、死亡時に不意のための金額を受け取るためでしたら、葬儀保険よりも生命保険や投資信託あるいは定期預金の方が明らかに有利です。 その上葬儀保険の場合は、不履行期間が契約後一年から二年あるのが普通です。 生命保険の場合は、契約者が死亡したとき、支払いがなされるまでに数週間かかりますから、残った人は葬儀の費用を生命保険の支払いがなされるまで立て替える必要が出てきます。

     

  • フランスにおいて葬儀を行う費用をカバーする保険
  • 次に葬儀をあげることを葬儀会社と組んで保障している葬儀保険について説明します。 この保険の場合は、保険金は残った人に支払われず、直接に葬儀会社のほうへ支払われます。いくつか例をあげますと、

    (1)La Banque Postale Résolys Obsèques Prestations

    (2)Mutac Librosèques

    (3)Société Générale Garanties obsèques -- Formule Réalisation

    (4)Prévoir vie Protections Obsèques

    (5)Macif-Mutualité Services plus Obsèques -- Option intégrale

    この場合には契約の時に葬儀の進行を正確に決めておくことが出来ます。

    保険会社の提携している葬儀屋でしたら自由に選べます。以下にいくつか例をあげておきます。

    (1)Groupe OGF BNP Paribas, Banque Postale, Crédit Mutuel, Maaf

    (2)Union funéraire de France Mutac

    この契約の場合も、契約後変更して単なる資金を受け取るだけのものにすることも出来ます。その場合は勿論残された人が葬儀をオーガナイズすることになります。

    この契約も葬儀の種類で3種類くらいあり、棺おけの種類(材質、形、装飾等々)から、死体のお化粧等に至るまで色々と選べます。 このときに、「死者の家」に死体を保存するというのがたいていありますが、自宅で死んだ時を除いて、病院等で死んだ時には、病院側が3日間の死体の保存に必要な措置をすることになっていますから、その契約は殆どの場合不要です。

    安い契約で、3000から4000ユーロですが、特に立派な棺おけを選びたい人を除いて高い葬儀保険の契約はあまり意味がありません。というのは、必要以上にお金がかかるとしたら、それは墓地や納骨堂がない場合で、高額の葬儀保険でも、そういった方面をカバーしているものは殆どありません。

    少々脱線になりますが・・・Banque Postale の葬儀保険ですと、墓所の埋葬の為に開くか閉じるか一方だけが保険になっていて、両方はカバーしていません。開かなければ埋葬できませんし、まさか墓所を開いたままにしておく人もいないと思うのですが・・・

     

     墓地もなく納骨堂もなく新しく準備しなくてはいけない時は、それらも含めたスタンダードな保険を見つけるよりも直接葬儀屋さんのほうへ相談に行ったほうが自分の条件にあったものが出来ます。葬儀屋さんと墓地や納骨堂も含めてすべて相談して、それをカバーするのに必要な保健を契約すればよいのです。それは葬儀屋さんが保険会社や銀行などと提携していますから必要な金額の「葬儀保険」を作ってくれます。 このとき、葬儀屋さんは払い込みの小切手を保険会社あるいは銀行宛に切るように言います。

    1995年の法が出来て葬儀屋さんは「本人よりその葬儀のための費用を受け取る権利」がなくなったのです。 この時、始めに説明しましたように一括払いで払ったほうが有利です。

    例えば、3000ユーロを死亡時に支払われるようにするために、一括払いでしたら、2900ユーロ、10年の延払いですと、月々32,31ユーロ、従って10年後の75歳の時には総計3900ユーロ払っていることになります。これが終身の延払いですと確かに月々の負担は減りますが、月々20,45ユーロですから、88歳(現在の65歳の人の平均寿命です)で死亡したとするとそれまでに、5600ユーロ払っていることになります。

    次にこれらの葬儀保険を途中で解約すると、各種の手数料をとっれますから戻ってくる金額が怖ろしく少ないので注意が必要です(一括払いで払い込んである金額の80から90%、延払いで60から70%、終身の延払いですと50%以下)。

     

     参考の為にいくつか葬儀屋さんの出しているスタンダードな保険をあげておきます。

    (1)Le Choix Funéraire (Esca) Le contrat obsèques -- option prévoyance

    (2)Le Voeux Funéraire (Groupama) VF Optimum Prestations

    (3)OGF (Auxia) Testament obsèques -- option vie entière

    (4)Roc-Eclerc (Generali vie) Pré-Obsèques II

    (5)Services Funéraires - Ville de Paris Assurance (CNP)

     

  • フランスにおける葬儀の諸々の費用
  • 以下に主な点についてかかる費用の目安を上げておきます。

    (1)遺体の化粧等    

    病院でなされなかった場合に遺体に必要な処置 (Toilette mortuaire et habillage) ・・・50から200ユーロ。

    (2)遺体の保管    

    保管室での遺体の保管は、3日間は病院が無料ですることになっています。 葬儀室(従って外部の人が訪ねることが可能)での遺体の保管は、150から350ユーロ 。

    (3)葬儀用の遺体の処置と化粧    

    200から400ユーロ 。

    (4)棺おけ    

    火葬用の物が、松あるいはポプラの18ミリの厚さで400ユーロから 。埋葬用が22ミリの厚さのオーク材で500ユーロから 。上限は材質・厚さ・デザインしだいで限りがありません。 かけ布・家紋等は100から300ユーロくらいでやってくれます。

    (5)霊柩車・運搬人(4人)・儀式

    300から2500ユーロ 。遠隔地への運送が必要な場合には、キロ当たり1ユーロで買え計算すれば大体当たります。たとえにパリから500キロ離れた地方の墓地へ行けば、500*2=1000 (往復になりますから注意してください) 。

    (6)納骨堂

    100から10000ユーロ 。パリ地区では、10年の使用権で408ユーロ、30年で1224ユーロ、50年で2040ユーロ、永久使用権はありません。

    (7)埋葬

    すでにある埋葬所の開閉は、200から1000ユーロ。 新しく地面を掘る場合は、50から400ユーロ 。埋葬所を作る場合は、1000から2500ユーロ 。墓碑等は1000から6000ユーロ 。

    (8)火葬    

    骨壷は、50から500ユーロ 。火葬の費用は、400から700ユーロ(パリのペールラシェーズでは、563ユーロです)。 それに伴う儀式は、50から300ユーロ。

    (9)その他の雑費    

    死亡から葬儀までの必要な役所の手続きの代行等は、100から400ユーロ 。死亡通知の手紙を100枚で、50から150ユーロ 。新聞に出す死亡通知は、100から800ユーロ なお、2008年12月19日の法で、遺灰を自宅に保存することは禁止されています。

    (勿論保存したからといって見つかることはまずありませんが・・・もっとも遺骨をどうしたか、納骨・散布等々を市長に届け出ることになっていますから、遺骨の全部を自宅に隠しておくことは不可能ですから、念のため・・・)

    遺灰は墓地の思い出の庭をはじめ海も殆どどこへでも撒き散らすことが可能です。禁止されているのは、公園と川です。 遺灰を納骨堂へ収めずに散布することにした場合には、その地の市長に届け出ることが必要です。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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