フランスにおけるカップルの間の金銭・資産管理の注意点

私達の文化文明ではお金の問題は厄介です。愛し合う二人の間でもお金の問題が元で紛争の起こることもまれではありません。不動産の購入、銀行からの借り入れ、二人の間での貸借あるいは投資などすべてが二人の間の紛争の原因となりかねません。

フランスにおけるカップルの間の金銭・資産管理の注意点についてご説明します。

 

  • 法的保護や補償の有無を確認しよう
  • 結婚あるいはPACSで関係を公式にしている場合は比較的に法的な保護がありますが、同棲している場合はいったん問題がおきると法的な保護は殆どありません。愛し合っているから大丈夫と言うのは楽観で、どちらかが事故などで先に亡くなり、その後先妻の子供との間で遺産相続争いとなり酷い目にあったという例もあります。

    結婚あるいはPACSでは、特別な取り決めをしない限り、カップルはそれぞれの資金能力に応じてお互いに助け合う義務があります。

    また、生活上必要な出費に関する借金はカップルは連帯で返済の責任があります。生活上必要な出費ですから、ロールスロイスを勝手に買ってその借金の支払いは連帯責任などといっても通用しません。

    住んでいるアパートがどちらか片方のものである時に、その修理改修に二人で負担する時あるいは持ち主でないほうが負担する時には注意が必要です。

    こんな例もあります。

    ジャックとベルナデットが同棲しているとします。幸いベルナデットが親の遺産として土地を持っていたのでその土地へ二人で共同で家を建てることにしました。家を建ててまもなく、不幸にもベルナデットは事故でなくなりました。 何が起こったか?ベルナデットの土地に建てられた家について、ジャックとベルナデットの共同出費で建てられた家にも関わらず、ジャックはこの家に対してなんら権利がないのです。なぜか?原則として、ベルナデットの土地に立てられた建造物については、ベルナデットの資産の一部とみなされるからです。

    これは同棲に限らずPACSでもこうした場合に相手の資産に投資したほうの権利は殆ど法的に保護されていませんから注意が必要です。

    法的に争う場合は、相手の資産が理由なく増えているのは、自分のほうの寄与があるからである、と言うことくらいです。

    この点結婚している場合にはかなりはっきりした法的保護がありますから、相手の資産に投資したほうは補償されることが多いです。従って離婚あるいは死亡の場合には、投資された資産の現在の付加価値も考慮して補償されます。

    といってもこの法的な補償もなかなか複雑ですから、離婚や死亡のことを考えておきたい場合には、相手の資産に投資する前に、NOTAIRE に相談してはっきりと取り決めをしておくとか、あるいは上記の場合でしたら、ベルナデットが自分の所有の土地の一部を二人の共有財産として、登記しなおすなどの工夫をしておくと万一の場合に問題が少なくて済みます。

    特に相手がまだ生きている親から、取り決め上の返還 (Retour conventionnel) の約束の下で・・・すなわち、親よりも先に自分が死んだ場合には、受け取った土地などを返還するという約束です・・・土地をもらっている場合には、その土地の上に家を建てる場合などはよほどの注意が必要です。

    いずれにせよ数年一緒に生活していますと、共有財産、それぞれの財産が複雑に入りこんできますから、どうしても離婚や死亡の時に問題が起こりがちです。ですから、大きな投資をするときにはこまめにNOTAIREのもとでそれぞれの資産管理をしておくことです。それと同時に投資をするときに、自分は屋根、相手は暖房装置というようにはっきりと分担が分かるような寄与の仕方をしておくことです。 これらの寄与はその補償の時は、補償時の家の評価価格に従って比例配分されます。

    結婚しているカップルが、自分が固有に所有している家の修理に共有の貯金を使えば相手はその出費に対して補償を受ける権利があります。 結婚している場合でも同棲でもPACSでも、どちらか片方の不動産に共同で出費するときなどは、NOTAIREを通して、きちんとその出費の分配を記録しておくことです。そうすれば離婚の時や相手の死亡の時に無用な紛争をしなくて済みます。

    しかしこれも相対的なことで、裁判所の判決もかなり、まちまちです。

    こんな例があります。

    同棲しているカップルの話です。女性が遺産として持っていた家があったのでそこに二人で住もうと言うことに決めて、男性がその改修に129000ユーロつぎ込んだのです。ところが、実際にその家に住むことなくて、終わってしまったので、男性が女性に129000ユーロの返済を求めた件に関して、裁判所は二人で済もうという計画で投資したのだから、男性のほうは男女関係を初めとする人生の不確かさに対して責任を持つべきだから、女性は返済する義務はないとしました。 この件は最高裁まで言ったのですが、特に新しい理由がないため、最高裁は控訴院の判決は最終審であるとして却下しました。

    ところがこんな判決もあるのです。

    やはり同棲していたカップルです。こちらの場合はその家に住んでいました。家は彼女の持ち物です。男性が修繕の為に45000ユーロつぎ込みました。このカップルの場合は子供もいました。その上彼は自分の会社の登録もその家にしていました。 それなのに、VERSAILLESの控訴院は、これだけの金額は、男性が一緒にすんでいたからといって相殺されるものではないということで、女性に45000ユーロの払い戻しを命じました。 最高裁まで言ったのですが、今度は最高裁、この控訴院の判決を支持しています。

    どうですか?裁判の結果がいかにに当てにならないかお分かりになったでしょう。 ですから、問題が起こりそうな時は問題がおこるまえに片付けておくべきです。

     

  • 二人で借金をする場合
  • 次に二人で借金をする場合の問題を見てみましょう。

    家を買ったり車を買ったりするときに、たとえ共同名義の口座を持っていなくても銀行から借金をすることは簡単に出来ます。これはあなたたちが、資産共有の制度で結婚していようが、PACSであろうがあるいは同棲でも同じことです。

    資産共有の制度の下で結婚している場合には、その借金で買ったものも共有財産になりますから、物事は簡明です。 その他の場合には相手は購入されたものの不分割の制度の下での共有者となります。

    この借金の時二人の借金が必ずしも半々である必要は全くありません。銀行に話して二人の間の借金の比率を決めることが出来ますから、不動産などの場合にはNOTAIREが売買契約書にその旨を記録することになります。その場合、その後税金の控除などはその比率によってそれぞれが控除を受けます。 ただし、借金の返済については、二人が連帯責任がありますから、銀行はいつでも一方に二人分の支払いを要求することが出来ます。

    したがって、不幸にも二人が分かれることになると厄介な問題が生じます。分かれたが最後、恨んだほうが復讐の為に返済金を支払わないということはよくあることです。するとあなたのほうは二人分を支払うことを要求されます。 とうとう支払いが滞って銀行が差し押さえて競売になるという時も、自分は自分の返済分を支払っているから大丈夫だろうと思うと、そんなことはなくて家でも車でも差し押さえられて競売にかけられてしまいます。競売による売り上げはまず返済金として使われ、余りがあれば、二人の間で、その借金をした時の比率に従って分配されます。そのときに、自分の方が相手の分もかなり支払っていたりした場合には、それを証明できるものがないと裁判所は考慮の対象にしてくれません。

    注意しなくてはいけないのは、あなたが例えば相手が失業中に相手の支払い分を肩代わりしていたりすると、その支払い分を考慮の対象とするように裁判所に主張しても、裁判所は、それは二人が共同生活をしていた時に、あなたが相手を援助したのだから、補償の対象にはならないと言われることもよくあります。

    分かれた相手が大変なお金持ちであれば、銀行とうまく交渉すれば銀行があなたの返済分を帳消しにしてくれることもあります。

     

  • お金を相手に貸す場合はどうなるか?
  • 不景気のため失業者も多く、結婚にせよ同棲にせよPACSにせよ、相手にお金を融通する機会は多いはずです。単に物を買うばかりではなくて、相手が起業家として起業する時に、不景気ですから銀行も慎重になって簡単に融資してくれませんから、家族や友人に借りることはおおいにあります。あるいは相手が銀行から融資を受ける時に保証に立つこともありえます。

    二人の間で問題が起こった場合は勿論のこと、税務その他のためにも、利息や返済方法などをきちんと書いて借用証書をきちんと作っておくことは大切です。面倒な場合でも、税務署へだけでも届出をしておくと日付や金額が公式になります。一番よいのは、NOTAIREのところで借用証書を作ってもらうことです。

    起業する時に結婚・PACSなどの相手からお金を借りることには注意が必要です。お金を貸した相手は、その寄与の額に比例して会社の成功に対して補償を受ける権利が出てきます。例えば資本金100000ユーロの会社を設立するのに、伴侶が50000ユーロ貸してくれたとします。企業が成功・急成長して500000ユーロの価値が出てきたとすると、そのときにはお金を貸した伴侶は、50000対100000、すなわち半分の権利がありますから、250000ユーロの権利を主張できます。ところが急成長する企業と言うのは、現金などないのが普通ですから、この時点で二人の仲が険悪になったり、相手が死亡してその腹違いの子供が遺産の権利として、250000ユーロ支払えなどといってくると、成功して急成長している会社が、資金繰りに詰まって倒産などということが起こりえます。 こんな事態に備えて、借用証書をきちんとNOTAIREのもとでつくり、借金は企業の評価額にはスライドされないという取り決めをはっきりしておくことが大切です。

    同棲の場合には、相手の資産の増加に対してなんら権利がないというのが今までの見解でしたが、それも次第に変わって現在では同棲についても、家庭を維持していることなども相手の起業などによる資産の増加に貢献しているとして同棲者の権利を認める判決が出るようになっています。

    上記の場合と逆で、同棲者が相手に起業のためのお金を貸す場合には自分の保護の為に、貸したお金は起業の評価額にスライドされるという取り決めをはっきりさせておくことが大切です。

    金融機関から伴侶が借金をするときの保証に立つと、金融機関は連帯保証を要求しますから、この場合には金融機関はお金を借りた伴侶ではなくて連帯保証に立った人に直接返済を求めることが出来ます。その点を自覚して保証に立つことが必要です。また、保障期間に期限がついている場合は、その期間中は、保証契約の解除は出来ません。ですから期間中に離婚等の問題が起きても、連帯保証の契約はそのまま有効だということになります。

     

  • 金融投資とその管理
  • 金融投資貯金関係は原則としてカップルであってもそれらの投資や貯金に関しては名義者だけが権利を保存します。共有資産の制度の下で結婚しているカップルの場合は別です。

    例えばPACSのばあいですと、たとえ資産の共有や不分割の契約でPACSをしても、相手の貯金や投資に関してはなんら権利もありませんし口出しも出来ません。また、資産分離の制度の下で結婚しているカップルについても同じことが言えます。

    ですから、お互いに貯金等については関係ないだろうと思って安心していると、税務署は同じような見方をしません。

    たとえば資産税 (ISF) ですと、一緒に住んでいますとそれが資産分離の結婚であれ、PACSであれ、同棲であれ、税務署はこの資産税 (ISF) についてカップル全体としての資産について課税を考えてきますから、たとえ自分が少しの資産しかなくても、そして上記のように金融投資等については法的にお互いに独立していて関係ないと思っていると、相手が790000ユーロの資産税の課税ぎりぎりの資産をもっていたりすると、二人合わせると課税対象になりますから、気をつける必要があります。

    運が悪いと、申告しなかったということで過去6年間にさかのぼって調査されて追徴金やら罰金を払わされたりします。

    またこんなこともあります。

    共有財産の制度の下で結婚したカップルでも、おのおのが自分の資産から投資した場合には上記のようにその投資に関しては相手は何の権利もなく口出しすることも出来ません。

    ところが、この投資から生まれる配当その他の利益はこの場合二人の共有資産になります。

    それを避けるためには、投資する時に配当等が元本に自動的に組み込まれるものを選べばその問題を避けることは出来ます。

    住宅積立貯金や普通貯金についても、たとえその貯金への振込みが共有財産からなされていても、その貯金の権利は名義者だけです。

    株による積み立て口座 (Plan d'épargne en actions) 株式投資口座 (Compte-titres ordinaire) あるいは生命保険などは共同名義に出来ます。したがってその管理も共同ですることが出来ます。ただし相続上の問題が出てくるために、金融会社のほうでは、普遍的財産共有の制度で結婚しているカップルでその上手持ちの資産もすべて共有にしている場合に限って受け付けていることが多いようです。

    この制度以外ですと、高額の生命保険などは、腹違いの将来の遺産相続人たちから不服を持ち出されて遺産相続上の紛争に発展することがよくあります。 いずれにせよ、生命保険や株による積み立て口座を共同名義にすることはあまり利点がありません。

    それに反して、共同名義にしたために150000ユーロの控除が税務上二つ受けられたのが一つになってしまいます。 あるいは、PEA(株による積み立て口座)を共同名義にしたために、急にお金が必要になってそのPEAを崩した時、PEAはいったんお金を引き出すとその後新たにお金の振込みが出来なくなりますから、積み立てはそこでストップしてしまいます。これが二人が別々にPEAの口座を持っていれば、急遽お金が必要な時は、二つの口座のうちのひとつだけを崩せば、もう一つの口座のほうはPEAとして機能し続けます。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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