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フランスにおける遺産の不分割 (l'indivision successorale) の問題

終活が話題になってから、日本では遺産相続の処理も大きな注目を集めています。フランスにおける遺産問題も勉強してみましょう。

 

  • 遺産の不分割(l'indivision successorale)
  • 両親が亡くなった時には、子供達をはじめとする遺産の相続人は、時として集合的に遺産の所有者となります。これが遺産の不分割 (l'indivision successorale) ですが、この状況を処理するのは必ずしも簡単ではありません。

    まずあなたがこの遺産の不分割の状態にある時、この状態から抜け出すために、その財産を共有している他の相続人にあなたはあなたの相続分を移譲 (licitation) することが出来ます。移譲後はあなたはその共有財産からは無縁となります。

    あなた以外のその財産の共同所有者である相続人がまだ複数である場合は、その共有財産について遺産の不分割の状態が続きますが、相手が一人だけの場合は、あなたの相続分を移譲することによってその遺産の不分割の状態は終了になります。

     

  • 遺産の不分割が不動産である場合
  • さて、この不分割の遺産が不動産である場合、公証人を通すことになります。この移譲はまず抵当権登記所 (Bureau des hypothèques) に公示されなくてはいけません。このときの公証人の費用 (émoluments proportionnels, émoluments de formalités, taxe de 1,1% au profit du Trésor, salaire du conservateur des hypothèques) は、この移譲を買い取る側の負担になります。

    この遺産の不分割の持分の移譲の方が、普通の不動産の売買よりも税制上は有利です。 移譲の場合には分配の税として1,1%かかりますが、これが普通の不動産の売買ですと5,09%です。 遺産の不分割の自分の持分を共同所有者であるほかの遺産相続人以外に移譲する場合も、5,09%の普通の税がかかります。

     

  • 遺産相続人以外への移譲
  • 遺産の不分割の自分の持分を遺産相続人以外に譲るということは、稀ですが法的には可能です。この場合は、それを買い取った遺産の相続とは関係のない人が、遺産の不分割に関与することになるために、遺産の相続人の保護の為に、法で細かい規定が設けられています。

    あなたが、不分割の遺産の自分の持分を遺産の相続人ではない第三者に移譲しようという時は、遺産相続人であるほかの共同所有者に、執達吏を通して、予定する移譲相手の姓名・住所・職業と共に移譲の条件を通知することが義務つけられています。この手続きを踏まないと、移譲は無効にされることがあります。この通知から一ヶ月以内に他の相続人は先買い (Péemmption) の権利を行使する意思がある場合には、その旨をあなたに通知してきます。

    この場合この意思表示から2ヶ月以内に売買契約が公証人の下で終了します。

    売買契約がなされない場合には、買取の意思を通知した遺産相続人に対して、督促状をだして、その督促状の通知後15日間何の効果もない場合には、他の遺産相続人たちの先買いの権利は消滅します。そしてあなたは好きなように移譲が出来ます。

    この先買いを数人の遺産相続人が通知してきた場合には、この数人が、その分割の割合に比例して先買いをします。

     

  • 移譲に必要な権限
  • 2009年の5月以前はこの不分割の遺産の自分の持分を移譲するためには、他の遺産相続人の全員の同意を必要としました。 2009年5月12日の法以後は、相続が独立した不動産であり、あなたが3分の2以上の相続権を持っている場合は、他の遺産相続人の意思にかかわらず勝手にその不動産の売買を決めてしまうことが出来ます。 これは相続権の3分の2で、相続人の数ではありません。

    例えば子供が二人であったとき、遺留分 (réservataire) が3分の2ですから、残りの3分の1は遺言で、どちらか一人の子供に与えることが出来ます。この遺言による遺産をもらった子供は遺留分と合わせると3分の2になりますから、関係する遺産全体の売買を勝手に決めることが出来ます。

    この売買は、遺産相続人のうちに財産管理あるいは後見の元にある人がいる場合には法的に不可能となります。この場合には合議あるいは法的な手段によって分配することだけが可能です。

     

  • 遺産相続と公証人
  • 不分割の遺産が動産にせよ不動産にせよ、公証人を通すことになりますから、公証人に依頼します。公証人は、以来を受けてから1ヶ月以内に他の相続人たちに通知をします。他の相続人たちは通知後3ヶ月以内に同意あるいは反対の旨を通知します。 3ヶ月の期間後公証人は、返事のなかった場合と反対のあった場合には、困難の記録調書 (procès-verbal de difficultés) にその事情を記録します。 なぜなら、他の遺産相続人たちの反対や無言にもかかわらず売買をする場合には、大審院 (Tribunal de Grande Instance) に許可を取ってからすることが必要だからです。大審院は、その売買が他の遺産相続人に著しい不利をもたらさないと判断した場合には、売買を許可します。この場合、売買は大審院が決めた条件の下で厳格に行われますから、勝手な合議で勝手な相手に売ることは許されません。大審院の決めた条件の下で、裁判所あるいは公証人のところで競売がなされます。

     

  • 不分割の遺産・遺産相続人がともに複数の場合
  • 不分割の遺産が複数の不動産で構成されていて、遺産相続人たちの間でその相続分に比例して合議で分配できる場合はそうすることも可能です。ただし、この分割をすべての遺産相続人を満足させるようにやるのは容易ではありません。

    この合議による分配をするためには不分割の遺産の共同所有者すべての出席が原則として必要ですが、財産管理・後見にある相続人、遠隔地で出席不可能、子供であるなどの理由のある場合はそれらの人の出席を必要としません。この場合は欠席者については後見の判事あるいは家族会議が同意を与えます。

    このようにして合議で適宜に不分割の遺産を分配した時に、自分の持分以上の評価額の遺産を受け取った遺産相続人は他の遺産相続人に相続の差異の不平等を清算するために差額を払います。 この様に合議で分配を決められる場合は、遺産が動産である場合は特に公証人を通す必要はありません。この分配については、遺産相続人の間で作った私文書だけで十分です。

    不動産が不分割で遺産相続人の合議等が得られずに借家人が入れられずに空いている場合は、空き家にかかる税は免除されます。

    不分割の遺産があってその評価額や分配方法で合議が得られずに紛糾している時は、裁判所で分配を決めてもらうより仕方がないでしょう。 これは遺産相続の始まる地区の大審院が管轄となり、この場合は弁護士へ依頼することが義務付けられています。

    裁判所による分配を申し立てる場合には、裁判所へ申し立てをすると共に他の遺産相続人たちへ執達吏を通して召喚状 (assignation) を届けます。この召喚状には分配するべき遺産と、何故合議による分配が不可能であったかを記述します。すると大審院は分配を担当する公証人を任命します。この公証人は遺産相続人たちが選ぶことも出来ます。 不分割の遺産が小さな不動産で遺産相続人たちに分配するためには不動産の売買が不可欠の場合には、公証人は不動産の買取をしてくれる人を探します。この場合遺産相続人が不動産を買い取ってくれる人を紹介することは可能です。あるいは遺産相続人のうちの一人が買い取ることも可能です。 この時点ではまだ不分割の遺産の共同所有者は売買をすることを拒否することが出来ます。この場合は公証人は、困難の記録調書 (procès-verbal de difficultés) にそれを記して、担当判事に送付します。判事はそれを元に報告書を作って、その報告書を基にして裁判所は、その不分割の遺産を誰か一人の相続人に相続させて、差額を支払って清算させるか、裁判所で競売に付すか決めます。

    この裁判による分配が始まっても遺産相続人たちはいつでも合議で裁判をやめて、合議により分配をすることは可能です。 これらの分配が行われようとしている時、相続人の一人が、次の理由で遺産の不分割を保持することを裁判所へ要求することは可能です。

    (1)その時点で分配することが、遺産の価格を著しく低下させて、相続者が大きな不利をこうむる時。

    (2)遺産が企業でその企業を引き受けようという気のある相続者が、時間の必要な時。

     以上の場合には最大2年の間不分割を要求することが出来ます。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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