フランスにおける子供の扶養料 (Pension alimentaire) の見直しについて

前回の記事『フランスにおける扶養について』では、フランスにおける扶養義務のさまざまなケースをご説明しましたが、今回は扶養料の見直しについてご説明します。

 

  • 概要
  • 離婚の時に判事は子供の扶養料の金額を決めます。その後子供が大きくなり子供の状況が変わったり、扶養料を支払っている親の経済状況が変わったり、扶養料を受け取っている親の経済状況が変わったりしますから、その場合には扶養料の見直しをすることが出来ます。

    あなたが扶養料を受け取っている側の時に、扶養料を支払っている親の経済状況が大幅に改善されたとしても、それだけで扶養料の見直しを請求しても判事はまず認めてくれません。あなたの経済状態が悪くなったとか(例えば失業したとか)あるいは子供が成長して費用が増えたとか、そういった事情がないと相手が経済的に裕福になったから自分達もその分け前を、といってもそれはなかなか判事は認めてくれません。逆に言えば、あなたの経済状況が悪化したり子供が成長して費用が増えた時には見直しの対象になります。

    あなたが扶養料を支払っている時に、あなたの経済状況が悪化した時には扶養料を減らすように見直しを請求することが可能です。場合によっては扶養料の免除もありえます。 例えば、失業した時とか、あるいは病気のために長期の欠勤をしている時とか、あるいは定年になったときなどです。

    この場合もこの扶養料を支払っている親の生活の選択に子供の扶養料は依存してはならないということになっていますから、あなたが新しく結婚したから自分のために費用がいるとか、子供が出来たから費用がいるとか、家を買ったから費用がいるとか、そういった理由で減額のために扶養料の見直しを請求しても判事は認めてくれません。

    扶養料を払ってやっている子供が見習いあるいは就職等で独立しつつある時は、扶養料の減額あるいは免除を請求することは可能です。逆に子供が自分の意思で学業を中断した時なども扶養料の減額あるいは免除の請求の対象に出来ます。

     

  • 扶養料を滞納すると・・・
  • 少し話がそれますが、この扶養料を2ヶ月以上滞納すると家族の放棄と言うことで、2年以下の禁固と15000ユーロ以下の罰金と言う刑事罰の対象になりえますから注意が必要です。

    また、扶養料を減らすために、資産状況や収入を偽ったり、借金を偽って増やしたりすると、やはり3年以下の禁固45000ユーロ以下の罰金と言う刑事罰の対象となることがあります。

    必要に応じて扶養料の増加を求めることは大切なことですが、それとは別に最初に判事が決めた扶養料のスライドどおりに増額されているか毎年確認することが必要です。判事が扶養料を決める時、最低賃金の増加率、給与平均の増加率、一般の物価の増加率などの指数にしたがって、扶養料の増加額を決めます。一般には消費者物価の増加率を使うことが多いのですが、それを使うことが決まっているわけではありません。 例えば不景気な時などで判事が指定した指数だと扶養料が減額してしまうということも起こります。そんな時は判事にスライドに使う指数を変えるように申請することが出来ます。

    スライドの指数が消費者物価指数の場合には次の政府のサイトで計算できるようになっています。

    ●Calculer la réévaluation d'une pension alimentaire

    https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/R1259

     

  • 当人同士の話し合い
  • さて、上記のような毎年の扶養料のスライドによる自動的な増額とは別に、子供の入学等で増額が望まれる時は、相手と話し合います。

    この場合に最初から書留で増額要求を送ると、相手がびっくりしてまとまる話もまとまらなくなることがありますから、直接会うなりそれが出来ない場合には電話なりで話し合うとよいでしょう。

    入学などで一時的な場合には、一時的に費用の負担を頼むのがよいでしょう。継続的な増額よりも話がつきやすいはずです。

    こうして話し合いが当人どうしの間でついた場合でも、判事に通知してその合意事項を確認しておいてもらったほうがよいでしょう。そうすれば相手が気が変わって支払いをストップした時には強制手段に訴えられます。これは相手と二人で判事に申請書 (Requête conjointe) を出します。これには裁判所の書記課にある用紙に書き込んで出すだけで済みます。

     

     

  • 当人同士で話し合いがつかない場合
  • 当人同士で話し合いがつかない場合には判事に訴えることになります。

    この場合にはそれに必要な各種の書類を準備することが必要です。あなたが失業、病気による長期の欠勤、病気等によるパートタイムへの変更などによる経済状態が変わったことが理由の場合にはそれらに関するすべての書類を準備します。

    これに反して、相手の経済状態がよくなったので扶養料の増額を求めるための書類を準備するのはそれほど簡単ではありません。相手の給与の明細等を不法に手に入れて提出しても判事は考慮の対象にしてくれません。相手が不動産を買ったとか、高級車を買ったとか、社長に就任したとか、合法的に手に入る情報なら使ってもかまいません。

    こういった裁判では勿論、子供に証人として証言させることは出来ません。 子供が大学に入って費用が増えたとか言う場合には、子供が遠隔地の大学の下宿にいる費用とか、学業に必要な費用の証明書をすべて準備します。

    さて裁判にする場合、子供が一緒に住んでいない場合には子供の居住地の大審裁判所 (Tribunal de Grande Instance) に訴えます。 話し合いがつかない場合には、必要な書類をそろえて裁判所へ提出します。これは直接書記課へもっていっても書留で送ってもかまいません。この場合には書記課が相手への召喚状を送ってくれますから費用がかかりません。

    ただしこれですと、公判が6ヶ月くらい先になることが多いので、急いでいる場合には執達吏を通して裁判の日程を決めて召喚状を相手に届けさせます。この方が公判の日程はだいぶ早くなります。ただし執達吏の費用等はあなたもちになりますから、少し費用がかかります。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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