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フランスにおける扶養義務について

子供の親に対する扶養義務あるいは夫婦の扶養義務は当たり前ですが、兄弟やおじいちゃんおばあちゃんあるいは孫の間でも扶養義務はありますから、その辺りのフランスの事情を以下に説明します。

 

  • 扶養義務のさまざまなケース
  • 親の援助を内内にしていればよいのですが、そうすると援助している子どもの方で税の控除が得られないというので公にすると、今度は親の方で生活保護の枠からはみ出たために、医療の無料その他の国からの援助が切られてしまったなどと言うこともありますから、全体を考えて判断することが必要です。

    この扶養義務のある関係でも、過去の感情のもつれ等から自発的に援助しないということはよくあることです。そんな時、例えば困っている親が子供に対して裁判所を通じて援助を求めてくることがあります。この場合、扶養義務のある人たちの間に義務階級というものはありませんから、親が直接金持ちの孫に対して(つまり他の子供達の援助の依頼をせずに)援助を裁判所を通じてすることも可能です。 あるいは、数人の子供がいるときに、任意にその中の一人に対して裁判所を通じて援助を依頼することも可能です。

    例えばあなたの親が、実業家として成功している金持ちのお兄さんがいるのに、親が直接あなたに対して援助するように裁判所を通じていってきた時、親の生活状態が援助を必要とし、あなたに援助できる資力があれば、金持ちのお兄さんがいるとかいないということは、審理の時考慮の対象にしてくれません。あなたの資力と親の必要度を考慮して判決が出ますから、それが不公平でお金持ちのお兄さんに払わせるべきだと、あなたが考える時は、今度はあなた自身が、お兄さん相手に裁判を起こして、お兄さんの分担分をあなたに払い戻すように求めることになります。

    扶養義務を持ち出して援助を求めるほうも援助が必要だということをきちんと証明する書類をそろえることが必要です。例えば月に900ユーロ前後で生活している場合は、援助が必要だと裁判所は考えてくれますが、こんな例もあります。

     月に933ユーロしか収入のない女性が、825ユーロの支出の領収書を提出して、裁判所にその子供に対して援助の命令を出すように求めた時に、裁判所はそれを却下しました。2007年の話ですが、その女性は2004年度の課税証明書しか裁判所へ提出しなかったのです。 常識で考えたら、1・2年でそんなに収入が変化することはないのだから、裁判所もなんと愚かな判決をするものだと思えますが、そこは、提出された書類だけを元に審理するというのが原則ですから、提出する書類はきちんと整えるべきです。(この提出された書類だけを元に審理するのが原則というのは民事の話で、刑事裁判は、この限りではありません・・・念のため。)

    この生活の援助を必要としているかどうかということの判断はなかなかシビアで、こんな例もあります。

    自分の持ち家に住んでいるおばあちゃんが、月々の収入758ユーロ、各種支払い121ユーロで、家の工事等で工事費をたくさん使ったので、子供達に援助するように裁判所へ訴えた時、637=758-121ユーロで生活している人はたくさんいるとして、おばあちゃんの要求を却下しました。

    またこんな例もあります。

    717ユーロの収入で、支払いが551ユーロですから残りは、166ユーロです。とても生活できない金額ですが、裁判所は要求を却下しました。なぜか?扶養義務を持ち出された子供が、そのおばあちゃんが、その月々166ユーロの生活費でお手伝いさんを雇っていることを証明したからです・・・

    またこの扶養義務による支払うべき金額は親等等によるカテゴリーによっては決められずに、必要な金額と援助を要請された人たちの資金力によって決められます。こんな例もあります。

    おじいちゃんとおばあちゃんが入院治療費が全額払いきれなくて、月々1536ユーロの支払いが残った時、その5人の子供達に援助を裁判所を通じて依頼しました。裁判所は、次のように決めました。

    現在生活保護 (RMI) を受けている息子は支払い義務なし。それに反して、すでに定年退職して、老齢年金を3800ユーロ受け取りそれに付け足してアパートの賃貸収入のある息子に月々768ユーロ支払うように命令しました。

    裁判所が常に言っていることは、親族の親等等で支払い義務が決まるのではなくて、生活援助の必要のある人が誰に要求をしたかということと、要求された人の収入によって決められるということです。

    こんな例もあります。

    実業家として成功してお金持ちの男性と結婚している女性のお母さんが生活に困って援助を娘に要求しました。このときお母さんは、この義理の息子である実業家には要求しませんでした(法的には、この義理の息子にも要求できます)。この場合支払額を決めるのに、裁判所は、この娘個人の収入を考慮して支払額を決めます。従って、この娘の夫の収入は考慮に入れません。

    少し分かりにくいのですが、例えば3人の子供がいるときに、親がそのうちの一人に生活援助の要求をした時は、その要求をされた息子の収入だけを考慮して支払額を裁判所は決めます。ですから、子供たち3人の収入の総額を考慮して支払額を決めて(3人分ですから多くなります)子供のうちの一人に支払い命令を出し後はその子供が他の子供達に支払い分を請求するといった形では判決は出ません。

     また、生活援助を必要としている人の金額を、例えば子供の人数で割って、一人ひとりにその金額を支払えといった形の判決も出ません。かならず支払い命令を受ける人の収入を考慮して支払い金額が決められます。従って、子供達の収入が十分ではない時は、支払い命令の出された金額が必要な金額に満たないこともあります。

    逆に自発的に親の援助の為に生活費や病院の治療費を払った息子が他の兄弟に支払いを求めることは可能です。この場合、例えば、一人の兄が遺産放棄をしていて10年以上も親とは連絡がなかったのに、その兄に対しても自分の持分の支払い命令を裁判所は出しています。

    またこんな例もあります。

    おばあちゃんが入院治療費を払えなくて困っていましたがあいにくその子供も生活が不自由であった時、おばあちやんが子供や孫に援助を要求した時、裁判所は孫に支払い命令を出しその親であるおばあちゃんの子供は支払い義務からはずしました。

    また姻戚関係にあるものも援助の義務があります。この場合、同棲しているものは援助の義務がありません。

    また継親に対しては援助の義務がありません。したがって、母親がなくなって、父親が新しく結婚して、そして子供が新しくできた時、老後にその母親が生活援助を要求できるのは、自分が生んだ子供だけで、前の母親が産んだ子供には要求できません。

     また親としての義務に重大に欠けた場合には、裁判所は子供には援助の義務がないという判決をすることもあります。

     子供のころに暴行を受けた37歳の娘に対して、裁判所は父親に対する援助の義務はないと判決しています。

    夫と子供を捨てて新しい男と出て行ってしまった母親が老後に昔の子供達に生活援助を要求した時も裁判所は子供達に支払い義務はないとしています。

    こんな例もあります。

    16歳で将来床屋さんになろうと考えてその研修に出ようとした娘に、家のローンの支払いがあるからという理由で勤めに出させてその給料をローンの支払いに当て、その後は娘が自活するに任せて17年後に生活援助の要求をした母親に対して、娘には援助の義務はないと判決しています。

    この場合親が意図的に親の義務を欠いたということが必要で、例えば、親が精神異常で親としての義務を果たせなかった場合には、子供達はその親に対して扶養の義務があります。

    こんな例もあります。

    軍人の父親が、母親が死んでしまったため、長期にわたって仕事で国を離れる時に子供をおばあちゃんに預けたという例では、裁判所は子供達はこの父親に対して扶養の義務があるとしています。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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