フランスにおいてアパートを引っ越すときの修理・修繕の負担金について

アパートを引っ越すときに大家がいろんな修理・修繕の費用を請求し、入居するときに渡した保証金を返してもらえず困ってしまう人は結構多くいます。

賃借者がアパートを出るときにしておかなくてはいけないことについて概説します。

 

  • 概要
  • 一番の原則は、賃借者は引っ越すときには入居したときの状態でアパートを返さなくてはならないということです。

    したがってアパートを保全するために必要な簡単な修理・修繕は住んでいるときには賃借者がします。これは簡単な修理修繕だけです。したがって床が古くて穴があいたなどというのは、当然大家さんが修理します。

    この大家と賃借人の負担の分類は loi du 6.7.89 と décret n°87-712 du 26.8.87 にかなり詳しく書いてあります。それで判断できないものは、裁判所の決定によります。

    もう一度まとめますと、日常生活をしているときに起こる簡単な修理・修繕の必要は賃借人の負担です。床・窓枠などの大きなものは大家さんの負担です。そして引っ越すときも、通常の生活で疲弊してきたものについては、賃借人は修理・修繕の責任を負いません。

    たとえば10年近く住んでいて引っ越すときに床のカーペットが痛んで磨り減っていても、それは大家の負担ですから、賃借人はなんら負担の義務はありません。 これが入居したときは新品のカーペットが1年後に引っ越すときに汚れ磨り減っていて使い物にならないとなると、賃借人の責任を問われても仕方がありませんね。

     

  • 領収書を保管しよう
  • パリの古いアパートですと、実際には使っていなくても暖炉の残っているところが結構あります。こんなところでは、暖炉とその煙突の定期的な掃除は賃借人がやるべきことです。したがって引っ越すときに暖炉や煙突が詰まってしまっていて工事が必要となると、責任を取らされます。煙突掃除を定期的にやっていたかどうかなどわかりませんから、裁判になれば、定期的にやっていたという証拠を提示する必要が出てきます。ですから、煙突掃除などの費用の領収書は保存しておく必要があります。

    同様に一軒家を借りている場合には、浄化槽の定期的な管理や庭の木の手入れなどをきちんとしているということを示せる領収書を保存しておくことが大切です。 壁の画鋲の穴や壁紙の破れなどは賃借者の負担です。或いは風呂場のタイルがかけたりコンセントが壊れたりしているものも賃借者の負担の枠内です。

    インターフォンや窓ガラス或いはラジエーターの取っ手や扉の取っ手などの破損も賃借者の負担の枠内です。

     

  • 鍵は”Etat des lieux”
  • 普通に住んでいて老朽化したものについては賃借人の負担ではありませんから、入居するときの Etat des lieux は大変重要です。入居時に新品同様であったか、前に10年くらい住んでいた人のあとをそのまま受け継いだかで、カーペット・床・壁などの損傷の修理・修繕を負担させられるかどうかが決まりますから。

    家具なしのアパートでも台所用品はついていることが多いから注意が必要です。家電などは5年もすればくたびれてくるものです。 Etat des lieux で新品とされているかどうかで、誰が負担するかどうかが変わってきます。

    次に驚くべきことで意外と知られていないことは、アパートの契約書に「引っ越すときには、壁のペンキを塗りなおすこととか壁紙を張り替えること」あるいは「引っ越すときには、台所のコンロや電化製品などに破損傷ができた場合には新品と置き換えること」という条項が認められているのです。これが乱用条項にならないのです。したがって、アパートの契約をするときには契約書をよく読むことです。 いくらかのニュアンスは、この契約条項を、破損傷があるときに自動的に賃借者に責任があるとすると、これは乱用条項になります。つまり、不可抗力などで破損傷が生じたことが証明されれば、賃借者はこの条項の適用から逃れられるわけです。 この条項がなければ、常識的に住んでいて老朽化等でいたんだものについては、大家は家賃を受け取ることによってその支払いを受けていると考えることになっていますから、特に引越しのときに賃借者が責任を負うことはないとなっています。 壁なども常識的に掃除をしておけば十分です。このときに絵などをかけるために釘や鋲をうった後の穴はうめておくようにします。

    Etat des lieux を入居のときにやらなかったという人が結構います。これは結構危険なことです。 ごく単純にトラブルになったとき、Etat des lieux がない場合には、入居時にすべてが良好な状態であったものと考えることになっています。つまりそれをベースにして、引越し時の賃借者の責任の負担等が決められてしまいます。

     更に厄介なことは、前に住んでいた人が引っ越すときには Etat des lieux がしてあって、何かの事情で、すべてが新品同様であるなどという Etat des lieux がしてあって、それを大家が持ち出してくれば、その Etat des lieux が入居時にも有効であったものとして認められます。もちろん前の賃借者と新しい入居との間に何ヶ月もの期間があれば、それは成り立ちませんが、たいていは数日から1・2週間ですから、有効とされます。

    さて賃借者の負担分を支払わなくてはなりません。このときに大家は Etat des lieux などをもとに賃借者の負担分を確定したら、その修理・修繕に必要な工事等の見積もりをすれば、支払いの請求ができます。つまり実際に工事を終了する必要がないのです。

    同時に次の点も注意しましよう。 

    あまりひどい住み方をしていて、壁や床を大修理しなくてはならなくなったりした場合、もちろんそれらの費用は賃借者の負担となります。しかしそれだけではありません。 

    大修理のため、何ヶ月もかかったりすると、その間アパートを貸すことはできませんから、その損害の補償もせよと言われることがあります。そして、この要求は、裁判所も認めることが多いのです。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     

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