フランスにおいて敷地に木を植えるときの注意点

最近は郊外や地方の一軒家に住んでいる人も多くなりましたので、ここでは敷地に木を植えるときに守らなければならないお隣さんの境界からの距離について説明します。

 

  • 木の高さによって変わる境界までの距離
  • 木の高さが2メートルより高いときには、境界からの距離は2メートル以上としなくてはいけません。木の高さが2メートル以下の場合には境界からの距離は50センチ以上となっています。

     

    たとえばあなたの隣人の木がこの距離を守っていない場合には、相手に木を切ってきて規定の高さにするか、あるいは植え替えて規定の距離以上にするように要求できます。

    この時にあなたが勝手に木を切ることはもちろん違法です。

    相手が要求に応じてくれない場合には裁判所に訴えて木を切るなり植え替えるなりするように要求します。この時には、相手が実行しない時には一日の遅れにつきいくらという罰金を科してもらうようにすると効果的です。

     

    この木と境界との距離ですが、たとえば小さな苗木を境界から2メートルのところに植えておいたら、やがて木が大きく成長して、半径1メートルの大木になれば、木の樹皮から境界までの距離は1メートルになってしまいます。この場合はどうなるか?

    木から境界までの距離は木の中心から測ることになっていますから、この場合は規定を満たしていることになります。

     

    あるいはあなたが崖を境界とするところでがけ下に住んでいて相手が崖の上に住んでいる場合です。この崖が2メートルあったとしましょう。 この場合には、あなたが植えた木が2メートル50センチに育っても、相手の家から見たら、50センチの高さしかありません。

    あなたが崖の上からあなたの敷地が丸見えになるのを避けるために境界に木を植えたとすると、どうなるかということですね。 敷地が丸見えにならないように境界に2メートル以下の木なら植えられるということなのですが、崖の高さがあるために相手の目線を避けるために、崖の上からぎりぎり2メートルになるようにして4メートルの木を植えるということが可能か?ということになります。

    これがなんと不可能なのです。 木の高さはお隣さんの敷地から測るのではなく、木の植えられている敷地から測ったものが常に採用されます。ですからこの場合ですとお隣さんの崖の上の敷地に頭を出す木を植えることは不可能ということになります。 また大きな木ですと一年のうちに葉が付いたりして高さにかなりの変化がありますが、これももちろん一年中規定の条件を満たすことが必要です。

     

  • 優先されるものとは?
  • 次に地方自治体等の都市計画 (POS -- Plan d'occupation des sols あるいは PLU – Plan local d'urbanisme ) で木の植え方が規定されることがあります。

    その場合にこの地方自治体の都市計画と市民法典の規定が矛盾する場合には、都市計画の方の規定が優先されます。

    たとえば樹木の保護のために切ってはいけないと決められていれば、たとえそれが境界から2メートル以内で高さが2メートル以上でも、木はそのまま残されます。

    逆に言えば上記のPOS あるいは PLU で保護されている地域では勝手に木を切り倒すことができないということです。 このPOS あるいは PLU の規則はあなたの敷地の中の木々についても適用されますから、あなたの敷地の中の木々がそのPOS あるいは PLUで保護されていればたとえあなたの敷地の中でも勝手に切り倒すことはできません。

     

    同様に各地方の長い間の習慣等があればそれが市民法典の法よりも優先されます。田舎へ行くと小川に沿って植林がされている習慣のところがありますが、この場合も敷地の境界であっても、習慣に従って境界線に植林がなされたままです。

    逆にパリあるいはその近郊ですと土地不足のため昔から隣接地域に木々がたくさん植えられていましたから、それが習慣として認められ、境界からの距離は全然守られていません。 市民法典で決められた境界からの距離が守られていない木がそこに30年以上前から存在している場合には時効ということで木を切ることも植え替えることも拒否することができます。この場合には、あなたが苗木を植えてから30年たっていると言うことでは不十分で、その木が市民法典の条件を破ってから(つまり2メートルを超えているのに境界からは2メートル離れていない等々の条件)30年以上たっていることが必要です。したがってあなたが29年間は木の頭を切り取って2メートルを超えないようにしておいて、その後剪定をやめて木が2メートルを超えて隣人からクレームが付いた時に30年の時効を主張しても認められません。

    30年以上規則を破った状態であったことは古いころの写真等を使ったりして証明します。 前には一人の持ち主の敷地であったものが譲渡や相続で分割された場合にも、特に譲渡契約で境界近くの木々について特別な取り決めがない場合には、それらの木々について市民法典の規則を破っていても木を切ることも植え替えることも要求はできません。

     

    この辺はなかなか面白いことがあって、たとえば境界からの距離や高さについて木が規則の範囲内であっても、枝が相手の敷地内へ延び出していれば相手はその枝を切るように要求できます。この場合も相手はその自分の敷地内へ入り込んできている枝でも勝手に切ることは許されません。持ち主に切らせるかあるいはどうして身自分で切りたければ裁判所の許可を取ります。

     

    しかし、枝については上記のようにたとえ枝が自分に敷地に侵入してきても勝手に切り取れないのですが、これが根になると別です。根が自分の敷地に侵入してきた場合には自分の敷地内にある部分については勝手に切り取ってもよいことになっています。もちろん自分でやるのは面倒だということでしたら、相手に切り取ることを要求できます。

     

    上記で30年の時効を説明しましたが、この枝が敷地の境界を超えるということについてはこの30年の時効は成り立ちません。これは勝手に切り取れる根についても同じことでやはり30年の時効は成り立ちません。 上記の枝が境界を超えた場合や根が境界を超えた場合にそれを切られることにより損害を生じるということを主張して損害賠償を求めることは認められていません。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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