フランスでの会社設立・フリーランス・自営業・自由業

起業をするとなると、日本国内でも最近は、少し軌道に乗るまで登記せずに内々でやろうなどと考えても、社会保障費等の支払いなどの目が光っていて昔ほどのんきには出来まん。

外国の場合ですと、家庭教師のように個人対個人でやっている場合とか、あるいはアルバイト的に買い付けを頼まれて日本へ送る場合などは、出来ないわけではありません。それでも、いろんなところで不便が生じてきます。

私は個人的には、スタート時というのはなかなか難しいものですから、少々闇営業が出来るくらいなおっとりした社会のシステムのほうが、経済は活気づくのではないかと思ってはいるのですが・・・

外国人の場合は、何らかの形で営業登記をするとなると、その営業をしてもよいと言う許可のある滞在許可を持っていることが前提になります。以下ではそれらの許可の種類や、どのようにして取ったらよいのかということを説明してゆきます。

しかし、ここで書くのはあくまで一般論です。文化文明や社会をよく知ってやるのとそうでないのとでは、建前上でうまくいったり行かなかったりするのとは全然違いますから、ぜひ私どもの方へ相談にこられることをお勧めいたします。

 

  • 滞在許可一般について
  • 滞在許可一般についてまず説明します。この程度のことは頭に入れておくとその後の作戦が立てやすくなります。

    現在は何事も簡易化に向かっていて、原則として1枚のカードであったり紙であったりしますが、「滞在許可」と「労働許可・商業許可等々」各種の許可とは別のもので、別々に機能するのが本来の姿であると言うことを頭に入れておいてください。

    ここでは「起業」と言うことがテーマですから、「労働許可」は直接には関係がないのですが、全体を理解し混乱を避けるうえでは知っていたほうがよいので下記に概説します。また、起業家として外国人を雇う場合には必要な知識と言えます。

    外国人がフランスで「被雇用者」として働く場合には(給料をもらって働く・・・命令関係のある労働契約に従って働く場合です)「労働許可」を持っていることが必要です。 この「労働許可」を持っていない人を雇用した場合には、雇用者も罰せられることがありますから注意が必要です。雇用者が外国人の場合には、滞在許可の剥奪などと言うことも起こりえますから気をつけましょう。

    ヨーロッパ共同体内の他の国にある会社に雇用されていて、その会社から同種の仕事のためにフランスの会社へ出向してくる場合には「労働許可」の申請が免除されます。

    2009年6月の改正で次のビザを持っている人は、そのビザがフランス到着後移民局で validation の手続きを踏むことにより滞在許可の効果を持ちます。そして次のような条件で労働許可の代わりにもなりますから、前もって「労働許可」の申請をすることなく被雇用者として働くことが出来ます。

    *Etudiant のビザの場合を持っている場合。年間964時間の枠内で前もって「労働許可」申請をすることなく被雇用者として働けます。

    *Salarié のビザで Direccte(以前に DDTEFP と言われていた役所です)より承認された労働契約を持っている場合。

    *Travailleur temporaire のビザで Dreccte に承認された労働契約を持っている場合。(出向の場合には、社員を出す方の労働契約がありますから、この場合には労働契約ではなく、Direccte に出した労働許可申請書が承認されていることが必要です)

    *フランス人と結婚したことにより出された vie privée et familiale のビザの場合。

    次の滞在許可を持っている場合も前もって「労働許可」の申請をすることなく被雇用者として働くことが出来ます。

    *Carte de résident, de résident de longue durée -- CE

    *Carte de séjour "compétences et talents" ただし、原則としてカード取得時の計画に関係した職以外にはつけません。

    *Etudiant 年間964時間以下と言う制限があります。

    *Scientifique

    *Profession artistique et culturelle

    *Salarié

    *Travailleur temporaire

    *Travailleur saisonier

    *Vie privée et familiale ただし、取得時の条件によっては初年度は働けないことがあります。

    Direccte(以前のDDTEFPです)の承認のある労働契約書があれば、Préfecture から対応する滞在許可が出されるのを待っている間も正式に被雇用者として働くことが出来ます。

    また、すでに労働許可の効力のある滞在許可を持っていて、更新手続き中にレセピセ récépissé が出された場合には、それが「労働許可」として有効ですから、正規に働くことが出来ます。 大学のマスター master を取得した人が働きたい場合には滞在許可の変更 (changement de statut) を申請した場合に、審査期間中レセピセ récépissé がでますが、このレセピセは「労働許可」として有効です。

    特殊なケースとしては、マヌカンが3ヶ月以下働きに来る場合や芸術家が3ヶ月以下働きに来る場合には、滞在許可はなく Direccte が承認した労働契約書だけです。

    あるいは子どもの治療に付き添ってきている母親が一時的に働きたい場合などにも滞在許可の変更ではなく APT (autorisation provisoire de travail) を申請します。 

    これも滞在許可とは別に独立して「労働許可」が機能する場合ですね。

    最後に一つ注意です。

    学校へ通いながら働くアルテルナンスの制度になる contrat d'apprentissage 等々はその契約をもとにして、compétences et talents や salarié の滞在許可を申請することは原則として出来ません。(例外は常にありですが・・・) また、学生の滞在許可でこのアルテルナンスの契約をすることは出来ませんから、アルテルナンスを考えて留学する場合には、最初からアルテルナンスとしてビザの申請をすることが必要です。

     

  • 起業で使える滞在許可
  • 次に起業に使える滞在許可の説明をします。

    フランスでは職業の自由と言うことがありますから、医者や弁護士などの資格を必要とする職業を除いては何をしてもよいことになっています。 

    ただし、私たち外国人の場合にはいろんな規制があり許可の取得や申請・登録が必要なものがたくさんあります。 許可の取得が必要な場合と、単なる申請や登録で住む場合とでは困難の度合いが違いますから、その違いもよく頭の中へ入れて作戦を立てましょう。

    起業をする場合ですと、「会社を設立する」、「個人営業をする」、「フリーランス(自由業)でやる」と言う形のうちのどれかになります。

    詳しいことは順をおってご説明いたしますが、スタートするに当たって「外国人商人のID」など、何らかの形で許可の取得が必要になります。

    下記の滞在許可の保持者は許可の取得が免除されますから、前もって許可を取る必要はありません。

    * Carte de résident

    * Carte de résident "longue durée -- CE"

    * Vie privée et familiale

    *Compétences et talents

    最後の compétences et talents については、原則としてカード取得時の計画の枠内の商業行為と言うことになっていますが、あいまいです。

    そのほかの滞在許可、たとえば、étudiant や visiteur などの滞在許可の保持者は前もって、許可の取得をすることが必要です。

    会社設立や商工業関係の自営業でしたら、carte d'identité de commerçant étranger (以前の商業手帳の復活です)を préfecture (パリ市内の場合には Préfecture de Police de Paris) へ申請します。 これは滞在許可とは別のものです。もちろん商人としてフランスに滞在するだけの人は、滞在許可とこの商業手帳は一体です。 しかし、日本にいたままフランスの会社経営に携わる場合にもこの carte d'identité de commerçant étranger を申請して取得することが必要です。単なる株主あるいは出資者の場合には必要ありません。

    同様に現在 salarié 滞在許可を持っている人は、それを保持したまま、別に carte d'identié commerçant étranger を取得するようにしておかないと、労働許可のほうがなくなってしまいます。

    この辺は結構複雑ですから、きちんと考えて作戦を練ってやるべきですから、詳しいことはご相談においでください。

    フリーランス(自由業)の場合には、フランスで経済活動の出来る滞在許可の持ち主であれば前もって許可を取得する必要はありません。

    もちろん弁護士や医者のように職種により許可の必要なものは許可の取得が必要です。最近は日仏の二国間協定が多く結ばれて、かなりの職種について、日本の許可がそのまま通用する、あるいは単なる équivalence の申請ですむようになりました。

    しかし、今でも多くのものは面倒な審査を経ないと許可が下りなかったり、フランスで再び許可を取り直すと言うことが必要です。 この辺も結構複雑ですから、しっかりと作戦を立てて取り組む必要があります。詳しいことはご相談においでください。

     

  • 会社の設立あるいは自営業でスタートする場合の手続き
  • 次に商工業でスタートする場合の手続きについて説明します。

    会社の設立をするにせよ、自営業・自由業・フリーランス等で営業登録するにせよ、フランスで外国人が経済活動をする場合には許可が必要です。

     会社の設立のためには、会社の経営者が外国人の場合には(それがフランス国内に住んでいる場合にせよ、日本などのフランス国外に住んでいる場合にせよ) carte de commerçant étranger を申請することが必要です。それが免除されるケースは上記で述べました。

    少し話がそれますが、レストランや小規模の有限会社の場合には夫婦で経営すると言うことはよくあることです。この場合に、妻が経営を手伝っている場合、2007年以来、妻は collaboratrice, associée, salariée のいずれかを選択することが義務付けられました。そして、この場合に、collaboratrice を選択した場合には、妻も carte de commerçant étranger を所持していることが必要です。この辺のことについては、フランスでの成功のコツ:ビジネス編『夫婦で企業経営する場合の注意点』を参照してください。

    自分で会社を作って登記するためには、自分が経営者として登記することになりますから、carte de commerçant étranger が必要になります。上記の、carte de résident のようにそれが免除される滞在許可を持っている場合を除いては、会社設立登記の前に Préfecture にcarte de commerçant étranger の申請をすることになります。

    これから会社を作る計画であると言う前提で carte de commerçant étranger を Préfecture に申請しますと、果たして会社はやって行けるのか等々と、このスピードの速い世界で、数年にわたるビジネスプランを出せとか言われ、審査に時間がかかりがちです。 誰か既に carte de commerçant étranger あるいはそれが免除される滞在許可を持っている人に協力してもらって会社を設立してしまって、その会社の経営者に就任すると言う形で carte de commerçant étranger を申請したほうが審査は早いようです。

    レストランを始める場合にも同じような問題が起きます。よい物件が見つかったのでいよいよ自分の気に入ったレストランを買って自分の店を始めようというときに、自分のほうに商人の資格があるかあるいは会社の名前で買うなどしないと売買が出来ません。商業権の買収には、購入者が Registre de Commerce et des Sociétés に登記されていることが必要となるからです。

    カードの取得、会社設立、商人登記、レストラン等の買収の前後関係を整理して手際よくやるのはなかなか大変です。うまく成功させるためにぜひご相談においでください。

     

  • 自由業・フリーランス等でスタートする場合
  • この場合には手続きは比較的簡単です。

    学生であったり visiteur であったりする場合には、まず滞在許可の身分の変更をする必要があります。

    Visiteur のビザを申請するときに「許可の必要な仕事をしない」と言う誓約書を書かされますが、あれは許可の必要な仕事(被雇用者等々)ですから気にすることはありません。 この場合も前記の商業手帳と同じで、将来計画をもとに身分の変更を申請すると審査に時間がかかったり却下されやすいので、実績をもとに身分の変更申請をしたほうが効果的です。

    その辺をうまく一工夫できるかどうかが成否の分かれ道ですから、ぜひご相談においでください。

    自由業やフリーランスの手続きはURSSAFでします。滞在許可が自由業やフリーランスで働いてもよいものでないと受け付けてくれませんが、そこはフランスですから、時々学生のままあるいは visiteur のカードのままで登録が出来ているケースもあります。 担当の窓口できちんとチェックしない場合もあると言うことですね・・・ そういうこちらにとって有利なミスは、「運のいいのも実力のうち」と考えておおいに利用するべきですね。 (ただし、そうじゃない場合もありますので注意が必要です。)

     

  • 画家・グラフィックデザイナー等々の芸術家の場合
  • これらは起業の枠から少し外れますが、何らかの形で独立すると言う意味で説明しておきます。

    この場合は、Maison des Artistes に登録することになります。 自分の芸術活動を示す資料(ブック)などを作って、既に作品を売った実績があることを示す、領収書等を一緒に持っていって手続きをします。

    この場合も他の場合と同様に、手続きをするためにはまず身分変更をする必要があるのですが、既に実績があると言うことを既成事実にしたほうが身分変更もスムースに行くと言う傾向はあります。

     

  • Auto-entrepreneur としてスタートする場合
  • これは失業者対策も考えて政府が独立自営を振興するために起業や起業後のいろんな手続きを簡易化したものです。従って商業の場合も Registre de Commerce et des Sociétés に登記することなく商業活動が出来るようになります。

    ただしこれは逆に言うと、商売をしていても、Registre de Commerce et des Sociétés に登記していないために、レストランを買収すればRegistre de Commerce et des Sociétés へその事実の登記をしませんと買収が完了しませんから、事実上通常の Auto-entrepreneur の形ではレストランの買収は不可能です。

    もちろん Auto-entrepreneur が Registre de Commerce et des Sociétés へ自発的に登記することは可能です。

    同様に、事務所や店舗の賃貸契約も Auto-entrepreneur として商業をしているだけで Registre de Comerce et des Sociétés に登記していない場合には商業契約の有利な点(9年契約等々)は自動的には適用されません。

    いずれにせよ、Auto-entrepreneur は大変簡易化され社会保障費等の支払いも確かに有利ですが、売り上げに上限があり、本格的にビジネスをはじめるのには向いていません。

    詳細については、フランスでの成功のコツ:ビジネス編 『フランスにおけるAuto-Entrepreneurのお話』『フランスでの雇用者・被雇用者と Auto-entrepreneur』を参照してください。

    上記で起業をする手段としてはすべてです。

     

  • いずれも難しい場合
  • 学生の人や visiteur の人で、会社も作れない、独立自営もできない、フリーランスも無理だ、でも何とかしたい。こんなときにはどうするか?

    Association を作ってそこで学生アルバイトをするという手もあります。 Association の作り方については、フランスでの成功のコツ:ビジネス編『Association の作り方』を参照してください。

     

    少々技術的ですから、詳細については興味のある方はご相談においでください。 スタートのときも滞在許可の取得や会社の設立形態という目の前の制約に心を奪われて長期的な展望を忘れると、事業がうまくいき始めてから、いろんな支障が出てきて、その改変のために多くのエネルギー・時間・お金を使わざるを得なくなって泣くこともあります。そういった後悔をしないためにも、スタートのときからしっかりと専門家に相談してスタートすることは、後々のエネルギー・時間・お金の節約になります。ぜひご相談においでください。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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