フランスにおける健康上の理由による解雇について

被雇用者の健康状態はフランスでは原則として解雇の理由にはなりません。

被雇用者が受け持っている職業上の配置に適格ではないと労働医が判断した時のみ解雇の理由になります。

2017年以来この解雇の手続きが簡略化されました。しかし、この解雇の手続きは今でも厳格に規定されていて、雇用者はそれを文字通りに守る必要があります。特に雇用者は、現職に不適格と労働医に判断された被雇用者を、新しい配置で職場復帰をさせるための努力をすることが求められています。

概要をご説明します。

 

  • (1)解雇されるケース
  • 労働医が現職に不適格であると判断した場合には、被雇用者は解雇されることができます。

    採用の時の職に不適格と労働医が判断した場合には被雇用者は解雇の対象となります。

    労働医が不適格と判断することと、職業上の訓練が十分ではないあるいは繰り返して起きる修業停止とは全く別のことですから混同するべきではありません。この場合の解雇の手続きは全く違ったものです。

    労働医が不適格と判断するということは、被雇用者が健康上の理由で労働契約にある仕事を遂行することができないということです。この場合には、雇用者は彼を解雇することができるということになります。

    労働医が被雇用者が現職には不適格であるという証明書を出し、雇用者が職場復帰のための配置換えが不可能であることを証明するかあるいは被雇用者が提案された職を拒否する場合ですね。 被雇用者が修業停止後に労働医が不適格という判断をすることもあれば、被雇用者が通常通りに働いているときに労働医が不適格と判断することもあります。

    不適格性が病気であれ事故であれあるいは職業上の原因であれ、そういったことはこの場合には関係ありません。

    こんな例があります。

    ホテルで働いていたメイドさんが、病気による修業停止後、労働医に不適格と判断されました。要するに少し重いものも持つことを禁止されたのです。ホテルが提供できるそのほかの職については、彼女は十分な資格を持っていませんでした。したがって解雇が成立しました。

    労働医は病気や出産のときあるいは何か職業病の時あるいは何ら理由もなく30日以上欠勤の時、職業上の事故の時、そのほかの理由で欠勤の時には、その後の診断で不適格と判断することがあります。 あるいは通常の医療診断の時に労働医が不適格を判断することもあります。

     

  • (2)労働医のみ可能な判断
  • 被雇用者の不適格性を判断できるのは労働医だけで一般の医者はその資格がありません。

    被雇用者を不適格と判断するのはその手続きが甚だ複雑でその規則を守っていないとその判断は無効とされます。

    労働医ではなく一般医の証明する、被雇用者が現職には不適格であるという証明は、修業停止の理由にはなっても解雇の理由にはなりません。

    2017年1月1日以前は、二回の医療診断が必要でしたが、2017年1月1日以降は一回の診断で十分となりました。 もちろん労働医は二回目の診断を求めることもできますがその場合には15日以内ということになっています。

    労働医は一回の医療診断と、職業上の配置の検査、企業における仕事上の条件の検討といったことを済ませたのちに、不適格性を判定します。 労働医は不適格性を通知するときに、職場復帰をするのに適した配置換え等について意見を述べます。

    2017年1月1日以降は、この不適格性に異議がある時には労使裁判所へ異議申し立てができます。以前はこの異議申し立ては労働監督官へ申し出ました。

     

  • (3)雇用者の努力義務
  • 雇用者は被雇用者を配置換えするなどして職場復帰できるように努力することが義務付けられています。

    しかし、この雇用者の義務が解除される場合があります。それは、労働医が企業に残ることが被雇用者の健康に大きな害を与えるあるいはいかなる配置換えも被雇用者の健康上の理由でよろしくないと判断した場合です。

    雇用者は労働医の意見に従って、被雇用者の職場復帰のための配置換え等を考えます。

    労働医による不適格性の判断ののちあまりにも早急に解雇の手続きをする雇用者は十分に職場復帰のための努力をしなかったと判断されがちです。これは企業が小さな組織で配置換えなども見ればすぐにわかるというようなときにでも、このように判事は判断することが多いので注意が必要です。

    雇用者は提供する配置を変換したり労働時間を変えたりして不適格性のある被雇用者にも適するようなものを作り出す努力が要求されます。 これは現在空いている配置について考えなくてはいけないことで、現在働いている人の労働契約を変更してなされるべきことではありません。

     

  • (4)最後の手段としての解雇
  • 配置換え等による職場復帰が不可能な時には雇用者は不適格と判断された被雇用者を解雇することができます。

    被雇用者が提案された一つの職を拒否したというだけでは、解雇にはなりません。雇用者は不適格と判断された被雇用者にも適する職が企業内にはそのほかにはないかどうか示すことが必要です。

    労働医の不適格という判断の次の月に雇用者が新しい職を提供することもなくかつ解雇の手続きもしない場合には、雇用者は通常通りに給与を被雇用者に支払う義務があります。これは解雇の手続きが進んでいるときでも同じことです。 解雇の通知によってはじめて労働契約が終了します。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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