フランスにおける家賃の値上げについて

前回『フランスにおける家賃値上げの指数について』ご紹介しましたが、今回は家賃の値上げについての概要をご説明します。

家賃の値上げができる場合というのは次の3つの場合です。

●契約中に毎年値上げされるもの。

●賃貸契約更新時に大家さんが値上げを提示するもの。

●契約期間中にアパートの改修等がなされて、それに従って大家さんが値上げを提示するもの。

これらについて以下に説明します。

 

  • 契約中に毎年値上げされるもの
  • これは契約書のなかに毎年家賃の見直しをするという項目がある場合に一定の規則に従って値上げするものです。

    従って、契約書中に毎年家賃の見直しをするという項目がない場合には契約期間中家賃を値上げすることは出来ません。

    契約書中に家賃を見直す日付が指定されている場合には毎年その日に、さもない場合には、契約した日に毎年家賃の見直しをします。

    値上げ幅については、INSEEの指数 (Indice de référence des loyers -- IRL) の変化の幅以下でなければならないとされています。

    これについて時々誤解をしている人がいます。

    たとえば今年はこのINSEEの指数が下がりました。従って家賃も値下がりするだろう、と言うものです。残念ながら、家賃は値下がりしません。 要するに家賃の見直しをするときに、このINSEEの指数を上回ってはいけないと言うことです。 それ以下ならば、値上げ幅は自由なのです。ですからINSEEの指数が下がった年は、大家さんにとっては値上げできないと言うだけです。逆に、目一杯値上げしなくてもかまわないと言うことでもあります。そういう奇特な大家さんは少ないと思いますが・・・

    (前年度の家賃)*(家賃見直し前のINSEEのIRL/1年前の同じ日のIRL)

    これが値上げの許される幅です。この数値以下ならいくらに決めてもよいと言うことになります。

    ときどき大家さんで、契約書に家賃の見直しの条項があるにもかかわらず値上げを忘れる人がいます。この場合には、大家さんは5年間にさかのぼって家賃の値上げ分を請求してもよいことになっています。

     

  • 賃貸借契約更新時に大家さんが値上げを提示するもの
  • 賃貸契約更新時に、大家さんが今までの家賃が同じような条件のアパートに比べて家賃が安すぎたと判断した場合に、値上げを要求してくるものです。

    この場合には、大家さんは、値上げを通告するときに、人口100万人以上の町の地区の6つのケースについてとそのほかの地区の3つのケースについて、自分の値上げが妥当であることを示す例を挙げることが必要です。

    これらの例については、例のうちの3分の2について、借家人が過去3年以上の間変わっていないことが必要です。もちろん問題としているアパートと同じような条件のアパートでなければなりません。

    こうして提示された値上げを受け入れるか受け入れないかは、借家人の自由です。 値上げは受け入れたくないがアパートには残りたいと言うようなことになると契約更新ができませんから、紛争が生じます。

     

    *借家人が素直に値上げを受け入れた場合

    次のルールに従って値上げをします 。

    大家さんが個人で法人ではない場合で、値上げ幅が今までの家賃の10%を超えない場合:この場合には、3分の1ずつ3年間にわたって値上げします。

    大家さんが法人の場合:6分の1ずつ6年間にわたって値上げします。 値上げ幅が今までの家賃の10%を超える場合には、大家さんが個人であるか法人であるかにかかわらず、6分の1ずつ6年間にわたって値上げをします。    

     

    *借家人が値上げを受け入れずに、且そのまま残りたい場合

    紛争になります。 この場合には、大家さんあるいは借家人のどちらでもかまいませんから、県の調停委員会 (Commission départementale de conciliation) へ調停を申し出ます。

    この場合に大家さんとして注意しなくてはいけないのは、調停委員会でのろのろと調停が進んでいるときに賃貸契約の更新日が来てしまうと、今までの条件で自動的に更新がなされてしまうことです。

    これは借家人の側としては作戦に使えることですね。

    大家さんの側としては、そうなっては困りますから、そうなる前に期日を考えて裁判所へ訴えます。

    この場合に最初から裁判所へ訴えることは出来ません。前もって、調停委員会へ調停を申し出ていることが前提として必要です。

     

  • 契約期間中にアパートの改修等がなされて、それに従って大家さんが値上げを提示するもの
  • この値上げについて大家さんと借家人が合意に至らない場合には、借家人としては放置しておけば、大家さんは勝手に値上げできませんからそれですみます。

    ただしそれでは大家さんが納得出来ないでしょうから、大家さんは県の調停委員会や裁判所へ訴えて値上げの実行をしようとするでしょう。

    この場合には、大家さんは調停委員会へ前もって調停を申請することなく直接裁判にすることが出来ます。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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