フランスにおける高齢借家人の保護に関する法律

最近は日本人でもパリをはじめとするフランスの町や村に不動産投資をして家賃収入を得ている人も増えてきました。

しかし、 アパートを貸したが家賃の未払いが溜まって困ったということは残念ながら時々起こります。そんな時、相手が高齢者ですと、フランスでは簡単に立ち退いてもらうことができなくて困ることがあります。

以下において、フランスにおける高齢者の借家人の保護に関する法について説明します。

 

  • 高齢借家人の保護に関する法律
  • 基本は大家さんが65歳以上の所得の少ない借家人に賃貸契約を解約するときには、大家さんはこの高齢者の借家人の支払い可能性と生活に必要な条件に合った別のアパートを提示する義務があります。さもないと、賃貸契約の解約そのものが無効になります。

    この原則は借家人が65歳以上の高齢者を同じアパートの中で世話をして住んでいるときにも適用されます。

    借家人に別のアパートを提案するのは、解約の通知と同時である必要はなくて、解約の通知から実際の解約になる解約予告期間中になされればよいことになっています。

    ここで誤解が起こらないように注意しておきますが、これらの法は、更新時に、アパートを売ったり大家さんが自分で住むというような正当な理由がある場合には解約ができるという話ですから、アパートの中で大音響で音楽をやって周りに迷惑をかけるとか家賃を滞納する等して裁判所に立ち退き命令を受けた人の場合には、この高齢者保護の法の枠内ではありません。

    またこの法は主なる住居としている高齢者の話で、別荘として使っている場合などもこの法の枠内ではありません。

    実際にこんな例があります。

    高齢のお母さんが、8区の高級アパートを息子たちに住まわせて本人は17区のこじんまりとした公団住宅に住んでいたところ、大家さんから契約更新時に解約通知が来たので、お母さんは高齢を盾にとってこの解約は違法であるとしましたが、判事はこの高齢者保護の法は、主なる住居に適用されるものであるとして、お母さんの主張を退けました。

     

    高齢賃借者がこの法で保護されるためには、二つの条件が両方とも満たされることが必要です。

    *65歳以上であること。

    *ある決められた収入以下の収入しかないこと。

     

    細かいことですが、この年齢は、契約更新時の年齢で解約の通知を出す時の年齢ではありません。 一歳ずれることがありますから、裁判になった時にはそれがきいてくることもあるので、気を付ける必要があります。

     

     賃貸契約者が複数である場合(例えば夫婦で住んでいるとかPACSのパートナーが住んでいるという場合ですね)には、この複数の中の一人が年齢の条件を満たしていれば、法が適用されます。 この辺も結構厄介で、この契約更新の直前に、65歳以上であった旦那さんが死んでしまって奥さんは65歳よりも若いという時には、この法が適用されなくなってしまいます。

     

    所得については、一人で住んでいる人の場合には、23146ユーロがその限界です。(この数字はパリ及びその近郊の数字で、そのほかの地域では、20123ユーロです。)

    二人以上で住んでいる場合には、夫婦であるとか同棲しているという場合ですね、この場合には現在のところ、判事は所得の基準については、一人一人の所得が限界に達するかどうかを見て判断しているようです。

    デカルトといわれる合理性の国フランスでは、少しおかしな話なのですが、この所得が限界以下という条件の判定法が、高齢者を自分の家で世話している場合には、この所得の判定法がいささか違うのです。この場合には、そのアパートに住んでいる人全部の所得が人数分で決まっている限界を超えないという条件になっているのです。

    もう一つはこの所得としては規則的な収入のことで、宝くじを当てたとか、高級車を売ったとかいう収入は考慮の対象にはされません。

     

    もう一つ問題になるのは、所得といえば1月1日から12月31日までの税務申告の対象となる所得です。ところが、アパートの更新は、必ずしも12月31日にやってくるとは限りません。例えば6月15日に行進の場合には、それから12か月間さかのぼった期間の収入を取るかどうかということですね。 これは今のところ前年度の税務申告の時の数値ということになっていますから、その間に定年で所得ががくんと減った高齢者などには不利な話です。 これに関して最高裁まで争った高齢者がいましたが、更新時からさかのぼって12か月の所得という数値は受け入れられませんでした。

     

    さて大家さんが契約を解約するときには、高齢者にあった新しいアパートを提案することが義務付けられていますが、これもなかなか面倒で、まず現在のアパートから距離的に離れすぎていてはいけませんし、いくつか適当なものを提案して後は知らないという話では済まないのです。 新しい大家さんが現在の高齢者と契約してくれなければ、その提案は無効とみなされます。つまりきちんと最後まで面倒を見ろ、ということなのです。

     

    さて最後にもう一つニュアンスがあります。

    それは、大家さんも65歳以上であるとかあるいは収入が保護される高齢者の収入の限界以下である場合には、この大家さんは契約解約の時に高齢賃借者に新しいアパートの提案をする義務を免除されます。 この場合には賃借者と違って大家さんの場合には、二つの条件(年齢と所得ですね)のうちの一つを満たせばこうした免除が認められます。

    高齢賃借者の時のように、大家さんがグループで貸している場合には、そのうちの一人がこの条件を満たせが、新しいアパートの提案なくしても契約の解除ができます。 これは不分割の不動産を遺産で受け取った時に父親が無くなって生き残ったお母さんが65歳以上の時などにも適用されますから、息子たちはこの法の適用を主張できますね。

    これが不動産の民事会社が所有しているとしてあるアパートの場合ですと、この場合所有者が個人ではありませんからこの法が適用されません。これはこの民事会社の構成員が65歳以上の人を含んでいても同じことです。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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