フランスにおける経営者(自営業・自由業・会社等々)の経費について

フランスにおける経営者の経費についてご説明します。

 

  • Micro-entrepriseの課税方式の場合の経営者の経費
  • 税務上の経費で一番簡単なのは、 micro-entreprise の課税方式を選んだ場合です。この課税方式は商工業 (BIC) あるいは非商工業・自由業 (BNC) いずれの場合も個人営業の場合に限られます。したがって事業の早急な発展と共に会社組織にしようという計画がある場合には、micro-entreprise でスタートすることはあまり勧められません。

     

    またこの課税方式を選択するためには売り上げの上限があります。商品の売買あるいは住宅関係の場合は税抜きで170000ユーロ以下です。BNCに属するサービス業あるいは自由業では税抜きで70000ユーロ以下です。この金額は2018年1月から施行されているものです。

     

    TVAの免除が認められるのは今までの上限の82800ユーロと33200ユーロ以内です。

     

    この課税方式を選んだ場合には特に職業上の税務申告をする必要はなく、売り上げだけを申告することによって税務署が査定で利益を決めて課税してきます。

     

    Micro-entreprise の課税方式を選んだ場合には自動的にTVAが免除されます。時々誤解する人がいますが、このTVAが免除されるということは、自分が集めたTVAを税務署に支払わなくても良いということではなくて、TVAを集めなくても良いということです。

     

    したがって、税抜きで100ユーロのものを競争相手は120ユーロで売るものを自分は100ユーロで売れますから、そういう意味では競争力があるわけです。ただし、税抜きで50ユーロのものをTVA付きで60ユーロで仕入れる点は競争相手と同じですが、今度は逆に実質経費で税務会計をしている方はTVAの払い戻しがありますから、micro-entreprise の人が60ユーロで仕入れるものを、50ユーロで仕入れることが出来ることになります。

     

    したがって、どういう方式を選ぶかは大局的に物を見て決める必要があります。

     

    自分が使った経費のTVAを回収したい場合には、自発的にTVAの支払い方式を選択すればよいのですが、この場合には自動的に micro-entreprise からはずされます。

     

    さて micro-entreprise の場合の査定による経費の計算ですが、

    *商品等の売買の場合は売り上げの71%

    *サービス業の場合は売り上げの50%

    *BNCに属する自由業の場合には売り上げの34%

    この経費の査定で社会保障費の支払いから、財務上の費用や償却費なども含んでいるものとされます。 したがって、利益という点から見ると査定による利益は

    *商品等の売買の場合は売り上げの29%

    *サービス業の場合は売り上げの50%

    *BNCに属する自由業の場合は売り上げの66%

     

    Micro-entreprsie は所得税とTVAに関するものですから、これとは別に taxe professionnelle の替わりに出来た CET (Contribution économique territoriale) の支払い義務はあります。

     

    また、micro-entreprise でも人を雇っていれば、それに付随する社会保障費等の支払い義務はあります。

     

    あるいは職業上の資産を売買する事により生じた利潤は普通の課税方式で課税されます。ただし、小企業に有利な免税制度が適用されます。

     

    Micro-entreprise の場合には会計帳簿等の義務も、商品の売買の場合には仕入れ台帳、いずれの場合にも日付どおりに収支を記帳するだけで済みます。勿論決算書の作成などは必要ありません。

     

    Micro-entreprise はこうして大変簡単な反面、経費のたくさんかかる商売やスタート時で赤字になる時などは、査定で経費や利益が決められてしまいますから不利になります。

     

     

  • Régime réel simplifié あるいはnormalの課税方式の場合の経営者の経費
  • RRégime réel あるいは normal の課税方式ですと、赤字の場合には損失をその年の自分のほかの所得から差し引き出来ますし、それでも赤字の場合にはその後5年間にわたって総所得から損失分を差し引くことが出来ます。

     

    あるいは認可された経理センターの加入者 (adhérent d'un centre de gestion agréé) の場合には利益の25%が上増しされるのを免除されるのですが、 micro-entreprise の場合にはこの特典を受けられません。

     

    あるいは地域整備の地区に指定されたところでの利益に対する課税の軽減の特典も micro-entreprise は受けられません。

     

    次に個人営業の一般的な場合の経費について説明します。 Micro-entreprise (概算課税)ではなくて実質課税 (régime réel simplifié ou noarmal) の場合です。この場合には営業に必要な出費は原則として経費として差し引くことが出来ます。

     

    個人営業の場合には現在説明しているような形で営業活動の利益を算出して、課税そのものは、例えばあなたが親の遺産として不動産を持っていてその賃貸収入があったりするわけですが、そういった営業活動とは関係のない所得と営業活動から来る所得の総所得に課税がされます。

     

    さて、経費の説明に戻ります。

     

    営業活動に必要なものは原則としてすべて経費として認められますが、次の条件を満たしていることが必要です。

    (1)常識的な営業活動に必要であり、営業活動の利益になるものであること。

    (2)営業の資産の減少になるものであること。

    (3)領収書などの支払いの証拠のあること。

    ((4)政令等の特例で経費からはずされているものではないこと。

     

    いずれにせよ個人的な出費は経費としては認められません。こんな例があります。

     

    銀行からお金を借りて事務所あるいは商業用の場所を買っても、それを個人の所有として営業資産として計上してない場合には、その借金の返済の金利は経費として認められません。

     

    また、営業用でもあり私用でもある出費の場合には、適当に配分を考えて経費とします。

     

    現代ではカードによる支払いが一般的ですが、カードの場合には、出費の内容が明確でない場合には、経費として認められない場合がありますので、金額の大きい場合には別に領収書を作ってもらっておいたほうがよいでしょう。

     

    実質課税には売り上げの金額に応じて2種類あります。

    (1)単純実質課税 (régime réel simplifié)    

    年間売り上げが micro-entreprise の上限よりも大きく、商品の売買の場合には869000ユーロを超えない。サービス業の場合には269000ユーロを超えない場合。

    (2)通常実質課税 (régime réel normal)    

    年年間売り上げが上記の上限を超える場合。

     

    上記の単純実質課税 (régime réel simplifié) の場合には、さらに会計処理を超単純制 (super-simplifié) を選ぶことにより、指定された経費については概算で済ませることが出来ます。これらの経費の中には、ガソリン代、現金で支払われた少額の一般経費(チップ、少額の接待費、贈り物、駐車場代金、資料代等々)などです。この場合には経費は売り上げの1000分の一以内で概算で出すことが許されます。最小限度も決められていて、430ユーロ以上です。また、ガソリン代については毎年税務署が概算のための計算表を発表します。

     

    この概算票が使えるのは、営業用・私用混合の車で、貨物等の営業専用車には適用できません。あるいは営業用の人の運搬用の車にも使えません。

     

    食事を自宅ではなくて仕事場などで取る場合には、経費として差し引けますが、上限があります。2018年度では、上限が18.60ユーロ、そのうち4.80ユーロは当然かかる金額として経費にはなりませんから、経費として差し引ける上限は、13.80ユーロとなります。

     

    分かりやすいように例をあげます。

    例えば、30ユーロのお昼代としますと、上限が18.60ユーロですから、経費として引けるのは13.80ユーロです。

    12ユーロのお昼代の時は、この12ユーロから当然かかる4.80ユーロを引いて、 12-4.80=7.20ユーロ

    これが経費として引いてもよい金額となります。

     

  • 配偶者の給料と経費
  • 次に配偶者の給料です。社会保障費等の支払いもあり高くつきます。その上、財産分離のシステムではっきりと結婚しているかあるいは認可された会計センターに加入していない場合には、全額を経費として差し引くことが出来ません。

     

    その場合には配偶者の給料は、年額17500ユーロ以内でしか経費として差し引くことが出来ません。

     

    マドラン法 (contrat d'assurance Madelin) の保険に加入した場合には、下記の条件で保険の掛け金を課税対象利益から差し引くことが出来ます。この保険は老齢年金補完と疾病保険の両方があります。収益が多いほど有利なようになっていますから利用するべきです。

     

    掛け金は課税対象からはずされますが、年金あるいは疾病等の日割り手当ては課税対象になります。

     

    この課税対象から差し引くことの出来る金額の上限は、営業利益の社会保障費計算の上限の8倍以内の金額については10%、社会保障費計算の上限の1から8倍以内の金額の利益についてはさらに15%を付け足します。

     

    したがって2018年度の社会保障費計算の上限は39732ユーロですから、営業の利益をxとすると、xが317856ユーロ(=社会保障費計算の8倍)以下の場合は次のようになります。

    x*(10%)+(x-39732)*(15%)

     

    これが差し引いても良い掛け金の上限となります。最高金額をこれで計算すると、年間73503ユーロまで課税対象利益から差し引くことが出来ます。

     

  • 営業用・私用兼用の車の経費
  • 次の営業用・私用兼用の車の経費ですが、これは費用配分をするには、営業用と私用で走った距離を下にして配分します。仕事場と自宅の間も経費となります。ただし原則としてこの距離は40キロメーター以下で、それを超える場合には家庭の事情などの特殊な理由がない場合には経費としては計上できません。

     

    これらの車に関する経費は実際にかかった費用で、税務署の発表する計算表を使うことは出来ません。この計算表はサラリーマンあるいはサラリーマン社長に適用されるものです。例外的に、会計処理を超単純制(super-simplifié) にした場合には、ガソリン代に限って税務署の発表する計算表を適用できます。

     

  • 社員積立貯金および社員への利益配分と経費
  • 社員積立貯金及び社員への利益配分も経費として認められます。 社員積立貯金の雇用者補完分は社員自身の積み立ての300%以内については経費として認められます。ただし上限があって社会保障費計算の8%以内、したがって2018年度では、3178ユーロ以内となります。社員への利益配分のついては経費として認められる上限は、社会保障費計算の上限の半分となりますから、2018年度で19866ユーロとなります。

     

    次に事業に関係のある研修等については本人及び家族の研修の費用は経費として認められます。ただし事業に参加していることが必要です。

     

    配偶者が自営業者の老齢年金制度に加入している場合には、その掛け金は制限なく課税対象利益から差し引けます。それに対して補完的な積み立てや保険に加入している場合には、マドラン法などを適用する場合には、夫婦両方の総合計が決められた上限を超えてはならないことになります。

     

  • 会社組織での経営者の経費
  • 最後に会社組織での経営者の経費について述べます。

     

    会社が法人税を納めている場合には原則として経営者の経費の扱いはサラリーマンのそれと同じです。経費の払い戻しについていささかサラリーマンより不利になる点がありますが。

     

    これらは株式会社 (société anonyme -- SA) あるいは簡易株式会社 (société anonyme simplifiée -- SAS) の経営者、有限会社 (SARL) の少数出資 (minoritaire) あるいは同数出資 (égalitaire) の取締役 (gérant) に当てはまります。

     

    有限会社の多数出資の取締役の場合、社会保障費等の扱いに差がありますが、法改正により所得についてはサラリーマンと同じ扱いになりました。この点については、唯一出資者であるEURLの場合も、法人税の支払いを選んだ場合には、給与所得扱いになります。

     

    したがって概算経費扱いの場合には、所得の10%が経費として自動的に認められます。2009年の所得ではこの経費のリミットは12305ユーロですからこれは年収123050ユーロにあたります。この概算経費扱いを選んだ場合にはなんら領収書等の提示の必要がありません。この計算のベースとなる給与は社会保障費等を引いた後の金額です。

     

    この概算経費は、職業活動に必要な基本的な経費をすべて含むものと考えます。すなわち、自宅から仕事場までの交通費、仕事場で食事代、資料代、職業上必要な勉強代などです。

     

    自分が使う経費が10%よりも多い場合には、いつでも実質経費の制度を選択することが出来ます。この選択は毎年自分にとって有利なものを選ぶことが出来ます。

     

    この実質経費の制度を選ぶ場合には、勿論会社から経費の払い戻しを受けていてはいけません。あるいは実質経費の制度を選びかつ会社から経費の払い戻しを受けた場合には、その払い戻しを受けた金額を所得として組み込めば合法的ですが、利点はなくなりますし、社会保障費等の支払い計算が変わってきますから、あまり意味のない選択です。

     

  • 実質経費の制度を選ぶ場合の経費
  • この実質経費の制度を選ぶ場合には経費として出費したものについて、領収書等を必ず保存することが必要です。これらの領収書等は4年間は保存します。

     

    実質経費の制度を選んだ場合には、税務署はあなたの申告書を普通よりは注意して検討することを忘れないことです。

     

    主な経費となるもの。

    自宅と仕事場の交通費は経費ですが、これは40キロ以内とされています。40キロを超える場合には、奥さんの仕事場が離れたところにあるとか、子供が離れた学校に通っているとか、何か特殊な家庭の事情が必要です。そしてその場合には、その理由を申告の時に明記する必要があります。さもないと、税務署は40キロ分の経費しか認めてくれません。またこの交通費は一回の往復に対応するものですから、2回3回と往復する場合にはその理由が必要です。

     

    仕事場での食事代は個人的な食事のことで、仕事のうえでの交際による食事は会社から払い戻しを受けることが必要です。

     

    仕事上で出張した場合の交通費・宿泊費・食事代等々は会社から払い戻しがない場合には、当然経費として認められます。

     

    自分で買った携帯電話やPCを仕事で使っている場合には、購入費は経費となります。金額が500ユーロ以下の場合には、一度に経費として計上できますが、それ以上の場合には、減価償却のやり方で経費として計上して行きます。

    例えば、PCですと3年で償却しますから、3年間の間毎年購入価格の三分の一ずつ経費として計上して行きます。

    この場合にもこれらの機材を私用にも使っている場合には、仕事・私用の配分を時間的に決めて計算します。 携帯電話の使用料についても同様に処理します。

     

    交通等に自分の車を使っている場合には、経費の計算は次の二つの方法があります。

    (1)税務署が毎年発表するキロメーターを下にした計算表を使う。    

    この場合計算表は、車の減価償却、修理維持費用、タイヤ・ガソリン代、保険代、ヘルメット代などを含みます。ガレージ代とか、高速道路代、購入時の借金の金利費用等は含まれていませんから付け加えること が出来ます。その場合にはそれらの事実の証明書が必要です。この計算の場合にも、私用で使った部分に当たるものを差し引く必要があります。

    (2)実質経費の制度を選ぶ場合には、減価償却、購入時の金利費用、修理維持費、ガソリン代、駐車場代、保険代等々すべて経費として計上できます。リースで車を借りている場合には、その費用等はすべて経費として計上できます。   

    いずれにせよ、領収書等はすべて保存することが必要です。

    この場合にも仕事・私用の配分をそれぞれの距離にしたがって計算することが必要です。

    ガソリン代については、税務署が発表する計算表で概算することが許されます。

     

     

  • 借金の金利費用と経費
  • 新しく出来た会社あるいは創立後2年以内に、その会社に出資する場合には、借金をして出資した場合にはその金利費用は経費として計上できます。

     

    さらに2009年1月以来は、自分の働いている会社の株式を借金をして購入した場合にはその金利費用は経費として計上できます。ただしその購入金額があなたの所得に比べて常識的な枠内であることが必要です。具体的には年間所得の3倍以内です。

     

    この計算が少し微妙で、株式購入のためにした借金と所得の3倍の金額で比例配分されません。借金+自費で購入している場合には、購入金額と所得の3倍で比例配分計算しますから少し不利になります。

     

    分かりやすいように例をあげます。

    株式を700000ユーロ買ったとします。そのうちの500000ユーロを銀行からの借金、200000ユーロを手持ちのお金で出したとします。金利を80000ユーロとします。そしてあなたの年収を100000ユーロとしましょう。

    この場合の経費として計上可能な金利費用は、年収の3倍の300000ユーロと借金の金額の500000ユーロにしたがって比例配分した、

    80000*(300000/500000)=48000 ユーロ

    にはならずに、

    80000*(300000/700000)=34286 ユーロ

    です。

     

  • 経費の払い戻しについて
  • 会社からの経費の払い戻しには、概算による払い戻しと実質経費による払い戻しの二つの方法があります。 実質経費の払い戻しは、上記の経費として計上されていない限り当然非課税です。

     

    概算による経費の払い戻しは常に課税の対象となるばかりか、社会保障費計算の枠にも組み込まれますから不利です。この原則の例外は、税務署の発表する計算表による概算で払い戻されたガソリン代です。これは実質経費による払い戻しと考えられて、非課税であり社会保障費等の計算の枠にも組み込まれません。

     

    車に関する払い戻しの場合に、その走行距離が年間15000キロメーターを超える場合には、会社の車にかかる税 (taxe sur les véhicules de société -- TVS) がかけられます。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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