フランスにおける賃貸住宅のまた貸しについて

フランスで賃貸住宅に住んでいると、夏休みの日本へ帰ったりしている期間中知り合いの人に住宅を貸そうと言う人は結構います。

フランスの場合には1989年7月6日の法で、自分の主なる住居として借りている賃貸住宅を大家の許可なくてまた貸しすることははっきりと禁じられています。

1948年の法によって規制されている賃貸住宅の場合でも、大家の許可なくしてまた貸しすることは禁じられています。

公団住宅の場合には、こうしたまた貸しは全く禁じられています。

以下そんな賃貸住宅のまた貸しについて説明します。

 

  • 大家の同意
  • また貸しは大家の同意なくしては不可能です。

    要するにいくら家賃を払っているからといっても、賃借人は住宅を自分の好きなように使うことができないということです。

    また貸しするときには大家の許可を得て、大家はこの時にまた貸しされる料金についても了承する必要があります。そして、このまた貸しの料金は、賃借者が払っている家賃を超えてはならないとされています。

    この規則はまた貸しの期間が長くても短くても同じように適用されます。

    契約書にはたいていまた貸しはしてはいけない、あるいは大家の同意が必要と書いてあることが多いのですが、こうした条項が契約書にないということは、また貸しを認めていることにはなりません。

    また貸しに関することは公共の秩序に関することですから、強行法規として成り立っているのです。

    また例えば、契約の時に、そうした条項を抹消しても、それがまた貸しを同意したことにはなりません。 第一大家がまた貸しを承認するということは、同時に賃借者の決めたまた貸し料金も同意するということですから、この2つの同意がない場合には、また貸しを大家が認めたことにはならないのです。

    また、大家が長い間、また貸しがされていることを知っていて何も言わなかったというのも、同意したことにはなりません。問題が起これば、無断でまた貸ししていたとみなされます。

    こんな例もあります。

    長い間住んでいたおばあちゃんが、老人ホームへ入ることになり、自分の住んでいた賃貸住宅をまた貸ししたのです。 ある日、大家がそれを訴えました。また貸しで借りた人が説明するには、大家は長い間何も言わずに私から家賃を受け取っていて、その上水漏れなどの時には、私からの連絡で、修理屋さんを送ってきている。 従ってこれは大家が同意したということだ。しかし判事はこの意見ではありませんでした。こうした状況でも、これが大家がまた貸しを同意したことにはならない、というのですね。

     

  • 借りて住んでいる人の支払う対価
  • また貸しの状況が生じるのは、借りて住んでいる人がその対価(現金とは限りません。)を払っているという場合です。

    従って大家が、賃借人が不法にまた貸しをしているとして問題にする場合には、大家はまた借りをしている人が対価を払っていいることを証明しなくてはなりません。

    こんな例もあります。

    借家人は電気代、住民税、保険等を支払っていましたが、自分はそこには住んでおらず、また借りしている人が賃貸料700ユーロとそれに付け加えて電気代や住民税等を支払っていたというケースです。 借家人は、また借りしている人は支払っていたのは借家の状態を保つためのメンテナンスの料金だと説明しましたが、判事は受け入れませんでした。

    対価として支払われるものは現金ばかりではありません。 部屋を使わせる代わりに、数時間の家事手伝いをさせるというのも、部屋代の対価となり、また貸しと考えられます。

    こうしたことを大家が証明するのは必ずしも簡単ではありません。そんな場合には、借家人がそこに住んでいないということが法律上問題になります。

     

  • 賃貸契約違反
  • 借家人がそこに住んでいないという事実だけで大家は賃貸契約違反を問題にできます。 契約に指定された目的のために借家人は賃貸住居に平和に生活しなくてはならない。つまり本人が済んでいないといけないということです。

    原則として賃借人は1年のうち8か月は借りた家に住んでいなくてはなりません。もちろんあなたは近親の人を泊めることはできます。これは、私生活に対する基本的な権利ですから、契約書の中で禁止することはできません。

    こんな例もあります。

    パリ市の保有する住宅に住んでいたおばあちゃんが孫にその住宅に住まわせていた件です。 おばあちゃんの説明では、定期的にそこに住みに来ているということだったのですが、おばあちゃんが住むための身の回りのものが何もないということで、おばあちゃんが電気代、ガス台、電話代等の請求書を提出したのにもかかわらず、判事は、おばあちゃんがそこには住んでいないと判断しました。

    大家が、賃借人がまた貸しをしているということを証明するには執達吏の調書を提出することも可能です。

    賃借人が住んでいる様子がないこと、賃借人以外の人が住んでいること、また借り人に対して書かれたと考えられる注意書きが壁に貼ってあること、といったことが執達吏による調書で証明されると、これは判事がまた貸しであると判断する大きな材料になります。

    こんな例もあります。

    5部屋の大きなアパートで屋根裏部屋付きのところを借りていたカップルが屋根裏部屋を誰かにまた貸ししているとして大家に訴えられた例です。 カップルは、屋根裏部屋には親戚の人が一時的に住みに来ているだけだと説明しました。 管理人がその人がすでに数年はそこに住んでいると証言し、世界的に部屋貸しをしているインターネットのプラットフォームからそのカップルの銀行口座に定期的に振り込みがあるなどの事実から判事はまた貸しをしていると判断しました。

    こうして管理人や隣人の証言を裁判の資料として提出する場合には、証人の身分証明書のコピーを添えることが必要です。

     

  • 損害賠償
  • 大家は賃貸契約の解除と損害賠償を請求することができます。 また貸しの事実が発覚すると大家は裁判所に賃貸契約の解除と損害賠償の請求ができます。

    レユニオン島に住んでいる人がパリにもアパートを借りていて、自分がパリへ来た時に使っていたのですが、留守中は、老いとそのガールフレンドに住まわせていた件で、大家がまた貸しによる契約違反として訴えた件では、判事はまた貸しは認めましたが、契約の解除の必要はないと判断しました。

    もう一つの例では、1948年の法で規制されているアパートを借りている人が、Airbnb に宣伝を出してまた貸ししようとしたところを、運悪く大家の目に止まって訴えられた例です。この例でも、大家にとがめられてすぐに宣伝を出すのをやめていたので、判事は賃貸契約を解除することはないと判断しました。

    もう一つの例では、賃借人が夏の間何年間にもわたり Airbnb に宣伝を出して週700ユーロで部屋をまた貸ししていた例では、判事は契約を解除して、賃借人にアパートを出るように命じました。この時大家は損害賠償を求めていたのですが、家賃はきちんと支払われていたというので物的な損害賠償は与えられませんでした。しかし、心理的な損害賠償として、5000ユーロが認められています。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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