フランスにおいて夫婦で企業経営をする場合の注意点

起業ということが真剣に考えられるようになった私たちの時代では、夫婦で営業をするということもめずらしくありません。どんな形で夫婦が補佐しあうかということは、社会保障上、夫婦の資産上、税務上等に大きく影響してきます。以下でそういったことに対する注意点を説明します。

文章が煩雑になるのを避けるために、以下では夫が経営をして妻が補佐をするという形で記述して行きますが、妻が経営をして夫が補佐をしても同様です。

 

  • Collaboratriceとは?
  • 配偶者の補佐をする者の権利を保護するために2007年7月1日以来、定期的に夫を補佐する妻は、collaboratrice, associée, salariée のいずれかを選択することが義務つけられました。

    Collaboratrice というのは報酬なしで夫の補佐をする場合です。この選択をした場合には、CFE (Centre de formalités des entreprises) に通知をすると同時に、会社組織に、この場合にはこの選択がなされた後最初の総会で通知をすることが必要です。 Collaboratrice は PACS のパートナーの場合にも制度的に選択できますが、同棲の場合にはこの選択は出来ません。

    Collaboratrice の場合には、社会保障については夫の ayant droit として特に社会保障費等を支払うことなくても、産休その他は独立自営している女性と同じ権利が出来ます。

    たとえば産休手当 (allocation forfaitaire de repos maternel) や 産休補償費 (indemnité journalière de remplacement) の権利が出来ます。 また老齢年金についても、妻は独立して加入できます。これは基礎年金、補足年金、不具・死亡の積み立てのすべてに適用されます。

    こうして独立して積み立てが出来ますから、離婚した場合にもこの積み立ては影響されませんし、あるいは夫が死亡した場合にも夫の年金の移譲年金とは別に自分の年金を受け取ることが出来ます。 積み立てに当たっては、次の3つの方法が選べます。

    (1)査定でSSの上限の三分の一の収入に当たるとして積み立てる。2018年では 13244ユーロにあたります。この場合には1年で4四半期の積み立てが認められます。

    (2)夫の収入の3分の一あるいは半分の収入に対応する積み立てをする。

    (3)夫の収入の3分の一あるいは半分の収入に当たる積み立てをし、夫の積み立てに関してはその妻に収入とした分を差し引いたものを収入と考えて積み立てる。この場合には老齢年金の積み立てという会社への負担が増えないという利点がありますが、夫の積み立て金額が減るということになります。 この積み立てでは、1年に4四半期を認められるには、年収が最低賃金 (SMIC) の時間給の800倍以上であることが必要です。これは2018年現在で7903ユーロです。

    Collaboratrice は企業の経営に参加しますから、日常の企業の経営管理業務をすることが出来ます。手紙をサインしたりすることから、役所と会社の名で交渉することが出来ます。また商工会議所等の組織の委員に経営者と同等に選任されることが出来ます。 ただし、これらはいずれも夫である経営者の代理としてこれらの経営管理行為をするということで、妻はこうした経営管理行為に対して原則として責任はありません。

    夫がなくなったときには、妻は collaboratrice として働いてきた報酬を要求する権利があります。これは最低賃金の年収の3倍以内あるいは会社の相続資産の4分の一以下となっています。 結婚契約等で企業が夫の個人の資産になっている場合には、夫の死亡に当たって、collaboratrice であった妻はは商業権等の優先付与を主張できます。

     

  • Associéとは?
  • 次に conjoint associé の選択です。

    これはカップルが二人で合わせると会社への投資が過半数を超える場合です。この場合は、妻が会社の営業に参加する場合には、妻が個人的に独立自営 (travailleur indépendant) として扱われます。従って社会保障費等の扱いは travailleur indépendant 扱いになります。

    夫がなくなった場合には、二人で会社をやっていた場合には、会社をEURLに変更することで一人で会社営業を続けることが出来ます。

    個人営業の場合には仕事がうまく行かなくて借金が出来るとカップルが時として個人的に無限責任を負わされますが、この場合には原則として出資の範囲内でだけ責任を負います。

    二人の投資額が会社の資本の過半数に至らない場合には、被雇用者の社会保障制度へ加入します。

     

  • Salariéとは?
  • 最後は conjoint salarié です。これは妻の社会保障の面では一番よく保障がされています。 ただし社会保障費等の支払いということに関しては、一番会社に負担の大きい選択です。 この場合にはカップルの間に問題が起きても、妻は被雇用者の契約を保存することが出来ます。

    上記の conjoint associé あるいは conjoint salarié はPACSや同棲の場合にも成り立ちます。

     

  • 社会保障等について
  • 税制や社会保障等の支払いの関係は結構複雑ですので詳しいことは相談に来ていただくなりすることにしてここでは簡単に説明します。

    たとえば、妻が conjoint salarié で会社が法人税を納めているときには、妻に対する報酬や社会保障費等の支払いはすべて会社の経費に出来ます。

    妻が conjoint salarié でも個人営業であったり、会社の利益を個人所得として計上しているときには、資産分離の制度で結婚しているときあるいは公認されている会計管理組織 (centre de gestion agréé) に加入しているときには、給与の全額を会社の経費に出来ます。

    共有財産制度で結婚していて且つ centre de gestion agréé に加入していない場合には、経費として認められる給与には上限があります。2018年では年に17500ユーロです。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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