フランスで和解によって労働契約を解消する場合の注意点

フランスで和解によって労働契約を解消する場合の注意点についてご説明します。

 

  • 概要
  • 2008年の8月より、フランスでは辞職することも解雇されることもなく職を去ることができるようになりました。La rupture conventionnelle de contrat de travail(協約による労働契約の破棄)と言われるものです。

    この制度によりあなたは雇用者と話し合いの上で労働契約の破棄をして同時に失業保険と退職金の両方を受け取ることが出きます。

    この la rupture conventionnelle de contrat de travail の制度は2008年6月25日の法 N2008-596 によって規定されています。 この制度が適用されるためにはCDI(contrat de travail à durée indétermiée)であり且つ既に試用期間が過ぎている必要があります。研修契約(contrat d'apprentissage)はCDIとはこの場合にはみなされません。

    外国の企業に雇用されている場合でもフランスの労働法が適用される場合にはこの制度による雇用契約の解消を要求することができます。 ただしあなたが現在休職中であったり産休中であるときにはこの制度は使えません。 また、あなたが離婚していて相手に扶養手当を支払っている場合、この制度を使って職を離れた場合には、判事は自発的に職を離れた場合と同じ扱いをすることが多く、必ずしも失職による扶養手当の支払いの減額を認めてくれるとは限りません。

    この制度は雇用者と被雇用者の同意のもとになされるもので一方がこれを押し付けることはできません。 会社が経営困難にあるときにはこの rupture conventionnelle de contrat de travail を提案することはできますが、これを押し付けることはできません。しかし、場合によっては、経済的理由による解雇を選んだ方が、その後のcontrat de sécurisation professionnelle の枠内で再就職の斡旋などがあり有利なこともあります。したがってどの制度で職を去るかはよく検討して選択の決定をするべきです。

    次に plan de sauvegarde de l'emploi (PSE) (雇用保全計画)あるいは gestion prévisionnelle des emplois et compétences (GPEC)(雇用及び資格能力の予備的管理運営の集団的協定)を発足した企業ではこの制度を使うことはできません。

    雇用者はこの制度を使うことにより労働組合への通知と協議を避けることはできません。

     

  • 協約による労働契約の破棄の流れと注意点
  • 相手がこの方式で労働契約を破棄することに同意している場合には、どのような条件で労働契約を破棄するかと言う具体的な話し合いに入ります。この話し合いに入る前に une rupture de contrat de travail を達成するために入った話し合いであることを書面で確認しておいたほうがよいでしょう。

    この話し合いについては法は細かい規定はしていません。しかし労働監督局は少なくとも一回の話し合いが行われることが必要だと考えています。それが唯一の規則と言えるでしょう。

    透明性と合意の自由を保つために毎回の話し合いの内容を書面によって確認しておいた方がよいでしょう。この手続きを進めている間、あなたはいつでも Direccte (Direction régionale des entreprises, de la concurrence, de la consommation, du travail et de l'emploi)あるいはその他の機関に相談することができます。

    又、もしこの話し合いが勤務時間中に行われればその時間は勤務時間の中に算入して給与が支払われなければなりません。

     話し合いの時にあなたはあなたの会社の人間に立ち会ってもらうことができます。

    会社に労働組合がない場合には、Préfet によって決められた県のリストの中より相談役を選ぶことができます。このリストは Direccte や Mairie で見ることもできます。こうして立ち会ってもらう場合にはその旨を前もって書面で通知する必要があります。

    雇用者の方も会社の人間に立ち会ってもらうか、社員50人以下の会社の場合には自分の属する経営者組合の代表あるいは同じ分野の会社を経営する雇用者に立ち会ってもらうことができます。これも前もってその旨を通知する必要があります。

    話し合いの目的は両者が合意に至ることです。特にあなたが受け取る補償金の額についてです。この額は労働法L1234-9によって決められている解雇の時の補償金の額を下回ることはできません。すなわち勤続年数1年につき総給与の5分の1。10年以上の勤続年数の場合には10年を超えた期間について15分の2の追加分を付け加えます。

    各部門の労働協約の方が被雇用者に有利な補償を決めている場合にはその協約に従うことになっています。また、基準とする給与は過去3か月と12か月の平均で被雇用者にとって有利な方を取ることになっています。 職を去るときに有給休暇を取り切っていないときには基準となる期間の報酬の10分の1の補償金の権利があります。これはもしも働いたら受け取れる報酬を下回ってはならないことになっています。

    雇用者はその他DIF(droits individuels à la formation・・・個別研修の権利)等についても十分な情報を被雇用者に伝え誤解のないように努める義務があります。

    こうして話し合いの後に合意に達した場合には、合意を書面にして Direccte で認可されるように手続きを取ります。 規定の用紙は Cerfa N14598*01 (労働組合員などの法的に保護されている被雇用者の場合には Cerfa N14599*01)。この用紙で合意の書面と認可の書面の両方にかえることができます。

    もしもあなたの状況が複雑な場合には合意を別の書面に書いて規定の用紙の第3部のみを書き込んでおけばそれで済みます。 この用紙に実際に破約となる日を書き込まなくてはなりませんが、撤回期間と認可に必要な期間を考慮して合意の日より2か月以上先にしておくのが理想的です。

     Direccte に認可を申請する前に15日の撤回期間があります。これは雇用者と被雇用者のどちらからも撤回することができ、特に理由をつける必要はありません。この撤回期間の15日はカレンダーの期間ですから休日や週末も含めて計算します。サインした翌日から計算します。そして15日目の夜の12時に終了します。 この撤回期間が過ぎたら Direccte に認可申請をします。

    申請書類が完備していれば Direccte は受領証を出してくれますから、その日より15日が審査期間となります。この15日は平日のみで日曜日と休日を除いて計算します。

    Direccte が認可を却下するときにはその理由を明記する必要があります。却下された場合には労働契約は常に有効です。このDireccte の決定に対しては労使裁判所に不服の申し立てをすることができます。 Direccte はこの審査期間中に認可を通知することができます。

    この審査期間を過ぎても Direccte より何の通知もない場合には自動的に認可されたことになります。こうして認可されれば労働契約は合意によって決められた日に終了することになります。

    この終了日に雇用者は Certificat de travail (DIFとして使っていない時間の記載されているものが必要です。)、Pôle emploi (ハローワーク)のための証明書、un reçu pour solde de tout compte を出すことになっています。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


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