フランスでの貿易の仕組みおよび貿易取引に必要な知識

⑫貿易保険

 

海上保険と貿易保険

少額の単発的なものでしたら保険をかけないこともありえますが、一般的には保険をかけて仕事を進めます。

この保険には、貨物の損傷や滅失のリスクをカバーするための海上保険と国がやっている貿易保険があります。

この貿易保険については、日本側では経済産業省、フランス側ではCOFACEが扱ってくれます。 フランス側で輸出入について不明な点は、UBIFRANCEへ相談に行けば色々と相談に乗ってくれます。

海上保険は貨物にかけられる普通の保険ですから分かりやすいのですが、貿易保険は、プラント輸出やD/P・D/A取引など契約の期間が長期に及ぶ大型の取引や、信用状を利用しない輸出の荷為替取引や前払い輸入取引の場合など、あるいは貿易の性質上や相手国の事情上リスクの大きい場合などに、国が貿易振興などのためにリスクを肩代わりする保険です。

 

したがって、海上保険の対象となるのは次のようなものです。

沈没、座礁、強盗、火災、破損、漏損、雨、投げ荷、盗難、抜け荷、衝突、船長と船員の悪行、淡水濡れ、曲がり損、泥土油脂酸汚損、不着、不足、かぎ損、波ざらえ、汗ぬれ、蒸れ損、他の貨物との擦損、ストライキ・暴動・市民騒擾、戦争、ねずみ食い・虫食いなど。

 

貿易保険の対象となるのは次のようなものです。

非常危険・・・貿易などの海外取引で生じる当事者の責めに帰し得ない不可抗力的な危険のことで、為替取引の制限、戦争などにより輸出できなくなるなど、カントリーリスクを構成するような危険。

信信用危険・・・貿易などの海外取引の相手方の責めに帰しうる危険のことで、相手方の破産により輸出や輸入が不可能になるなどして損失を生じさせる危険。

 

こうした保険の条件も輸出入契約の時に、当事者同士が合意して契約条件に書いておくのが普通です。

例えばCIFでしたら、輸出者が船積みの前に保険をかけて、保険会社から保険証券を受領して、荷為替取引の場合でしたら、他の書類と一緒に銀行に持ち込んで買い取りか取立てを依頼します。

 

事故が発生したら

さて、実際に事故が発生してしまったらどうするか? 

事故の発生がわかったらすぐに、その保険証券を発行している保険会社に知らせます。梱包を開いてから商品が破損していたりすることを発見することが多いので、たいていは保険証券に書かれている輸入地の保険代理店に通知することになります。

海上貨物の場合には船会社から荷物を引き取った日から3日以内、航空会社の場合には7日以内、陸送業者の場合には14日以内に求償状 (Claim Notice) を提出するなどの決まりがありますから、乙仲さんにも協力してもらって迅速に手続きをします。

このときに必要な書類は次のようなものです。

保険証券、船荷証券、インボイス、パッキングリスト、貨物受け渡し関係の書類、求償状にたいする船会社等運送会社の返事、サーベイヤーと呼ばれる専門の海事検査人の発行した損害検査報告書など。

 

保険金請求の手続きの流れ

保険会社に対する保険金請求(クレーム)の手続きを下記にまとめておきます。

(1)損害の発生を知った時、電話で次の事項を保険会社に知らせる。    

*保険証券番号    

*船舶あるいは航空機の到着日    

*貨物保管場所    

*貨物の種類および損害の状態

 

(2)通関業者・運送業者へ事故を通知する。    

*通常、通関業者経由、船会社などへ求償状 (Claim Notice) を提出し、その返信状を受け取っておく。    

*求償状の提出期限は、船会社の場合は貨物引取りの日から3日以内、航空会社の場合は7日以内、陸送業者の場合は14日以内となっている。

 

(3)損失の拡大を、防止、軽減するように努める。

 

(4)サーベイヤー(海事検査人)による報告書の作成。    

*保険会社にサーベイヤーの手配が必要であるかどうか聞く(損害の程度が小さい場合には手配が不要のこともある)    

*荷受人立会いの下でサーベイヤーによる損害検査を行い、それに基づき事故調査報告書(サーベイ・レポート)が発行される。

 

(5)保険会社に対して次の書類を提出して保険金の請求をする。    

*保険証券正本    

*船荷証券副本    

*インボイス    

*パッキングリスト    

*貨物受け渡し関係書類正本(デリバリーレコード)    

*運送業者宛の求償状写しとそれに対する返信状    

*サーベイレポートとサーベイ費用支払いの領収書    

*損害保険金計算書

 

(6)保険金を受領する。    

*上記の書類に基づいて保険金が銀行口座に振り込まれる。    

*入金確認後、権利移転書 (Release and Letter of Subrogation) に署名捺印し、保険会社に送付する。

 

貿易保険の概説

次に外国との「取引」によって発生する危険から生ずる損失に備えてかける保険といえる貿易保険について概説します。

輸出契約をして、それにしたがって生産を始めたら、相手国の輸入制限のために輸出が出来なくなってしまったとか、輸出はしたが相手国の外貨制限とか極端な場合にはクーデターで代金の回収が出来なくなったとか色々とあります。こういったリスクに対して政府が保険をしてくれるものです。

自分の国籍の国である必要はありませんから、フランスをベースにしてビジネスをしている場合には、COFACEの方が近くですから便利でしょう。UBIFRANCEでもそういった相談に乗ってくれます。日本の場合には、貿易保険法に基づいて経済産業省が担当しています。

貿易保険には下記のようなものがあります。

 

(1)普通輸出保険・・・主として輸出貨物の輸出不能による損失を補填するもの。

(2)輸出代金保険・・・プラント等の輸出に関わる船積み後の代金回収不能による損失を補填するもの。

(3)短気総合保険・・・輸出貨物の輸出不能による損失、輸出契約及び仲介貿易契約に関わる代金回収不能による損失を補填するもの。

(4)輸出手形保険・・・船積み後の荷為替手形不渡りによる損失を補填するもの。

 (5)前払輸入保険・・・前払いした輸入貨物受け取り不能による損失の補填をするもの。

(6)仲介貿易保険・・・仲介貿易に関わる船積み後の代金回収不能による損失を補填するもの。

 (7)海外投資保険・・・海外投資先企業の収用、戦争、送金リスク、破産等による損失を補填するもの。

(8)輸出保証保険・・・プラント等の輸出荷関わるボンドが不当に没収された時などによる損失を補填するもの。

(9)為替変動保険・・・プラントなどの輸出に関わる為替差損による損失を補填するもの。

(10)技術提供保険・・・技術等の提供の対価の回収不能による損失を補填するもの。

 

信用状を利用せずに行う貿易取引

次に信用状を利用せずに行う貿易取引について述べます。

貿易というと信用状 (L/C) と思われがちですが、信用状はたしかに安全度の高い取引ですが、信用状発行その他の手続きがかなりコストがかかりますから、リスクが少なければ、信用状を使わずに取引しようと考えるのは大いにあることです。

信用状を使わない取引というと、主には、D/P・D/A取引か、前払いあるいは後払いによる送金取引です。

 

D/P・D/A取引は荷為替取引になりますから、信用状による取引と似ています。

ただ、輸入者の銀行はL/Cを発行していませんから、輸出地の銀行が送ってきた為替手形や船積書類に対して支払い義務がないのです。ですから、輸入者が何らかの理由で積荷の受け取りを拒否したら、当然銀行は支払いをしません。

D/P は "Documents against Payment" の略で「支払い渡し」あるいは「支払い時書類渡し」のことです。詳しくは "Delivery of Documents to Buyer Against Drawee's Payment of Draft" のことです。「手形の名宛人(支払人)が手形を支払うことと引き換えに、船積書類を名宛人に渡すこと」です。

 輸出地の銀行から送られてきた荷為替手形などを輸入地の銀行がバイヤーに検討させて手形代金をバイヤーから受け取って引き換えに書類をバイヤーに渡します。その結果バイヤーは船会社あるいは航空会社から貨物を受け取ることが出来ます。 支払いが行われるまでは、貨物は輸出者あるいは手形買取銀行の所有権のままです。

D/A は"Documents against acceptance" のことで、「引き受け渡し」あるいは「引き受け時書類渡し」のことです。詳しくは、 "Delivery of Documents to Buyer Agasint Drawee's Acceptance of Draft" で、「手形の名宛人(引受人=支払人)が手形の支払いを引き受けることと引き換えに、船積み書類を名宛人に渡すことです。したがって輸入地の銀行でバイヤーがシッパー振り出しの期限付き手形の支払いを引き受けた時に銀行より書類を受け取って積荷を受けとることが出来るものです。

 この引き受けがなされるまでは、貨物はシッパー側の所有ですが、いったん引き受けが行われると貨物はバイヤー側のものとなります。支払いを引き受けるということは、手形上の期日に支払うことを確約して手形上に署名することです。ですから極端なことを言えば、バイヤーは期日に支払える見込みがなくても、支払いの約束をすることによって貨物を受け取ることが出来ることになります。

D/P や D/A の場合にはこうして信用状とは違うリスクがあります。もっと極端な場合には、バイヤーが気が変わったにせよ何らかの理由で支払わなかったり引き受けなかったりすれば、荷物が相手にわたるという損失は避けられても、すでに相手国についてしまった貨物を処理しなくてはいけないという問題が出てきます。値引きしてでも引き取り手を捜すか、現地から再び積み込んで返送させるか、あるいは放棄するかというやっかいな問題を抱えます。

これらのリスクについては、輸出手形保険がありますが、経済産業省の作成している「海外商社名簿」に記載されていて、その信用状態の良否等による格付けがG・A・M・F以上の格付けされていることがこの保険をかけられるために条件になっています。

その格付けの概要は下記のようです。

 

G・・・政府関係機関等および当該機関が100%直接出費した法人

A・・・信用状態が良好なもの

M・・・信用状態は良好であるが、その資産と比較すると、保険引き受け額が過大となっているもの

F・・・信用状態が良好とは認められないもの

C・・・信用状態に不安のあるもの

B・・・破産またはこれに準じる状態にあるもの

P・・・信用調査を行っていないもの

 

送金取引

さらに簡単なのは送金取引です。

買い手か売り手かが相手を信用して貨物を出荷して前払いするか後払いするかという簡便な方法です。

少額の取引に利用されるばかりではなくて、プラント輸出や海外投資などの多額な取引にも利用されています。

現在ではほとんどが受取人の銀行の口座へ振り込むということが多いのですが、銀行振り出しの送金為替手形 (Demand Draft) あるいはマネーオーダー (Money Order) 、キャッシャーズ・チェック (Cashier's Check) などの送金小切手といわれているものを作成してもらって受取人に郵送すると言う方法も、相手国しだいでは使われています。

この方法でやる場合でも、運送に関する各種書類を輸入者へ送らないと、輸入者は貨物が受け取れません。

積荷の時に、コンサイニー(荷受人欄 -- Consignee)が、To Order of Shipper としてB/L が作成されていることが多いのでこのときには、裏書をしてすることが必要です。

CIFの場合には保険証券がありますから、保険証券のオリジナルにも裏書をします。

以上の流れを図示しますと下記のようになります。

 

フランスでの貿易の仕組みおよび貿易取引に必要な知識②貿易代金の決済方法

 


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