フランスでの貿易の仕組みおよび貿易取引に必要な知識

⑪荷為替取引

 

さて、決済の方法ですが、これは大きく分けて、送金取引と荷為替取引があります。

送金取引は、ごく単純に何らかの方法で送金をして取引することですから、分かりやすいので、以下で荷為替取引について説明します。

 

フランスでの貿易の仕組みおよび貿易取引に必要な知識②貿易代金の決済方法

 

荷為替取引と言うのは、輸出者が輸出によって生じる債権、すなわち輸出した時点では輸入者に対する売掛債権と言う請求権である自分の債権を、為替手形という取立て手形の形にして、その手形を輸出地の銀行と輸入地の銀行を経由して輸入者に対して行使する方法といえます。

 

荷為替手形とは、「荷付き為替手形取引」の簡略化です。勿論荷付きといっても実際に荷がついているわけではなくて、荷を引き取るために必要な書類がついているということです。

輸出者が為替手形(輸入者に支払い義務のある)を振り出すときに、輸出した証拠品といえる船荷証券を添付することを義務付けているわけです。するとそれを確認して、輸入地の銀行で輸入者が為替手形を決済して、銀行からその船荷証券を受け取り、その船荷証券と引き換えに船会社から荷物を受け取ることが出来るというわけです。

したがって、お金を支払うのと引き換えに船荷証券を受け取りますから、輸入者としてもまず安心ですし、輸出者も輸入車が為替の決済をしないうちは貨物が輸入者にわたりませんから、安心といえます。

ただし、L/C, D/P, D/A 等によりリスクの度合いが違います。次にそれを説明します。

まずその前に、荷為替取引に置ける輸出者と輸入者のする基本的な手続きをまとめておきます。

 

(1)輸出者    

*輸入者と輸出契約をする。    

*商品を出荷して輸入者に対する売り掛け債権を取得する。    

*輸入者(あるいは輸入者の銀行)を支払い義務者とする為替手形を振り出す。これにより売掛債権を手形債権として表現したことになります。    

*為替手形に送り状(インボイス)、船荷証券など出荷証拠書類を添付して荷為替手形を作成する。    

*輸出代金取立てのため、荷為替手形を輸出者の取引銀行に持ち込む。輸出者は権利証券である船荷証券に裏書して、船荷証券譲渡の意思を表示する。その際銀行に荷為替手形の買取(手形割引に相当する)を依頼する場合が多い。

 

(2)輸出者の銀行    

*荷為替手形の買取に応じた場合には、輸出者に荷為替手形の代り金を支払い、取立てのため、為替手形と船荷証券に裏書して譲渡の意思を表示して、荷為替手形を輸入者の取引銀行へ送付する。

 

(3)輸入者の銀行    

*輸入者に荷為替手形を提示してその内容を点検させ、為替手形代金の支払いを求める。

 

(4)輸入者    

*為替手形代金を支払って(あるいは引き受けて)送り状、名宛人が輸入者である場合には為替手形、及び輸入者の銀行も裏書した船荷証券などを受領する。輸入者の銀行は輸出者の銀行に為替手形の代り金を支払う(あるいは、引き受けられた旨の通知を送る)。    

*船荷証券に裏書して、船会社に譲渡し、引き換えに商品を受領する。

 

輸出入契約が成立したあとで輸入者が自分の銀行に代金支払いの保証書を発行してもらい、それを輸出者に渡せばお互いにある程度安心してその後の輸出入手続きが進められます。この保証書が信用状 (L/C, Letter of Credit) です。

これにより、これこれこのように出荷され、その証拠書類を為替手形に添付して信用状発行銀行に提出された場合に支払いますと、信用状発行銀行が保証していることになります。

 

ここで注意しなくてはいけないのは信用状はあくまでも支払いの保証書ですから、出荷等輸出入契約の契約を強制するものではないということです。

勿論相手は支払いを求めて輸出を実行しようとすることでしょうが。

いずれにせよ、信用状は、信用状に記載されているとおりに輸出書類の提出があった場合に信用状発行銀行が支払いを保証している問ことです。

このことは裏を返すと、為替手形に添付された証拠書類が信用状の条件どおりに商品を出荷していることを示していれば、何かのエラーで現実に船積みされた商品の数量等が契約と違っていても支払いを拒絶することは出来ないということになります。

信用状には通常次のようなことが書き込まれています。

 

*輸出者名

*輸入者名

*為替手形に記載すべき内容

*為替手形に添付すべき書類

*貨物明細

*出荷期限

*L/C の有効期限

*船積み港

*仕向け港 等々

 

信用状には何種類かありますが、主に使われるのは、取り消し不能・無確認・譲渡不能荷為替信用状 (Irrevocable, Unconfirmed, Not-transferable, Documentary Credit) です。

取り消し不能と言うのは、いったん発行したら、関係者全員の同意なしには取り消すことの出来ないものです。

無確認というのは、発行銀行以外の銀行によって追加の支払い保証がなされていない信用状と言うことで、ほとんどのものがこれです。

譲渡可能というのは、最初の受益者が望めば、その L/C を他の人に譲渡出来ることです。

 

さて、輸出入両者が輸出入代金の支払いは信用状によって行うと決めると、輸入車は自分の銀行に依頼して、信用状の発行をしてもらいます。この場合銀行は信用状を発行するということは、銀行が支払いを保証する事でもあり,輸入者に代わって一時的に立替払いをすることにもなりますから、輸入者に対する与信行為として銀行は当然以来を受けたら実行するかどうか審査します。

 

L/C の発行についての銀行の審査は次の観点から行われます。

*開設依頼人(輸入者)の信用状況(人的・物的信用状況、預金担保など・・・輸入者が始めて L/C の発行を依  頼する場合には、L/C の金額かそれ以上の金額の預金担保を求められることが普通です)

*商品販売先の信用状況、販売代金の決済条件

*輸入契約の妥当性

*輸入商品の市場性

*輸出業者と輸出国の信用状態

*信用状開設期間と決済後の貸し出し期間の妥当性

*外為法上問題がないこと

 

これらのことを審査して信用状を発行すると、電信あるいは郵便で輸出地の銀行へ送付します。 輸出地の銀行は信用状を受け取るとそれを受益者(輸出者)に渡します。これを受け取って輸出者は代金支払いの確約書を受け取ったことになります。

これで一安心ですが、L/C の条件が契約の条件にしたがって書かれているか確認して、間違っている場合には、輸入者に連絡して L/C の内容を変更(アメンド)してもらう必要があります。

信用状 (L/C) を開いて荷が相手から送られてくるまでには銀行との交渉などかなりたくさんの手続きがあるわけですが、その間に何かトラブルがあった時に、その時点での商品の所有権は誰に属するかということを知っておくのは、大切なことです。

輸出地の銀行が荷為替手形の買取を行った場合には、輸出者の振り出した為替手形の支払い義務者に対して、買い取り銀行の手形債権が生じるために、商品の所有権は輸出者から荷為替手形の買い取り銀行から輸入地の銀行、そして輸入車へ移転します。

輸出者が商品を船積みした時点では所有権は輸出者にありますが、荷為替手形を輸出地の銀行が買い取った時点で、輸出地の銀行が譲渡担保権者となり銀行へ所有権が移転します。

さらに荷為替手形が輸出地の銀行から輸入地の銀行(あるいは取立銀行)に送付され、輸入者が取立銀行に荷為替手形代金を支払い、銀行から取立銀行裏書済みの船荷証券を受け取った時に商品の所有権は輸入者に移転します。

ただしこの場合、輸入者が取立銀行から貨物の貸し渡し(トラスト・レシート)を受けた時は、その債務を返済し終わるまでは、商品の所有権は取立銀行に属したままです。

 

上記は国際的な常識の通じる先進国同士の話で、国によっては必ずしも上記のようには権利義務が動かないこともありますから、前もって相手国の事情を知っておくことが大切です。

国内取引でしたら、慣習・法律・裁判制度などがはっきりしていますし、相手も契約不履行などによる信用低下などを考えたらそうそう軽率なことは出来ませんが、国際取引の場合にはそういった物があまり当てに出来ません。裁判や調停もかかる時間や費用を考えたらなかなか現実的には出来ません。その上それらも必ずしも強制力があるものとはいえませんので、トラブルが起こらないように、相手国や相手先のことをよく知ってから、貿易をするべきです。

 


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