フランスでの雇用者・被雇用者と Auto-entrepreneur

営業登録が簡略化された Auto-entrepreneur のシステムが発足してかなり時がたちますが、まだまだ労働許可のない人を Auto-entrepreneur のかたちで使ったり、あるいは社員を雇うよりも Auto-entrepreneur の形にしたほうが URSSAFなどの社会保障費の支払いが安くなると考えて実行している人もいます。

たしかに法の不完全なところをついているため、即違法ではないことも色々とあります。しかし、相手は国ですから、気を付けないとブーメラン的な打撃が大きいので注意が必要です。

以下にいくつかそんな点を扱っておきます。

 

  • 被雇用者が Auto-entrepreneur で営業活動を始める時に、雇用者の許可が必要か?
  • 原則として必要ありません。ただし雇用契約書に、雇用主以外のために働くことをしませんという条項が入っている場合は別です。この場合には雇用主に許可が要ります。 ただしこの雇用主以外のためには働きませんという条項は被雇用者の労働の自由を侵害するために、雇用企業の営業内容上この条項が必要な場合以外は、条項そのものが無効です。  

    したがって問題となるとしたら、雇用者に対して誠実忠実に働くという原則から、雇用者の客になるべく人や会社を横取りしないということです。この点については、問題になると、重大な過失による解雇の対象になります。したがって、解雇の補償金がなくなるばかりか、場合によっては雇用者の側から損害賠償請求されかねません。

     

  • 被雇用者は会社によって貸与されている機材を自分の Auto-entrepreneur の活動に使っても良いか?
  • コンピューター、ソフト、携帯電話等々色々とありますが、これらは原則として被雇用者は私用に使うことは出来ませんから、当然 Auto-entrepreneur の活動のために使うことも出来ません。ただし付随的に使うことは許容されていますから、常識で判断してよいでしょう。 車なども仕事専用に貸与されているものと、被雇用者の役職として与えられているものでは私用に使えるかどうかの判断が違います。したがって、税制や社会保障費の支払い等が違ってきます。こんな場合には、私用で使っている時の事故に保険がきくかを確かめたほうがよいでしょう。

     

  • 雇用者は被雇用者に雇用契約をやめて Auto-entrepreneur として雇用者のために働くことを要求できるか?
  • これが最初に引用した問題のひとつです。雇用者はこうすることによって社会保障費の支払い等を節約できますから、その分被雇用者の収入を増やせるというという議論です。こうして雇用者がそれ以後被雇用者の客となるわけです。

    法的には仕事の内容によっては、合法であることもありますから、その辺はあいまいです。 ただし、被雇用者にとっては労働法上の保護がなくなりますから、顧客関係が即解消されたり、問題が起こったときに、失業保険がきかないといった不利があることを承知しておくべきです。

    雇用者にとっての問題は、URSSAFのコントロールがあった時、URSSAFが雇用関係であると主張してURSSAFの支払い分を過去にさかのぼって要求したり、あるいは、隠蔽された労働として刑事訴訟をするという危険はあります。

    次に被雇用者との関係が悪化した時、被雇用者が不当解雇として労使裁判所へ訴えるということも考えられます。それが通ると被雇用者に対して不当解雇に対する損害賠償を支払わされるばかりか、URSSAFが過去にさかのぼって社会保障費等の未払い分を要求してきます。

    雇用契約の性格を持つものであるかどうかは、メールのやり取りなどで、命令関係があるかどうかなど簡単に分かりますから、ずるはしない方がよいでしょう。 かっての被雇用者が自宅で働いているということは、雇用契約ではないということを示すものではありません。

     

  • 雇用者はパートタイムで人を雇って、その残りを Auto-entrepreneur として使うことは出来るか?
  • 原則として不可能です。また、雇用者は、残業の部分だけを、Auto-entrepreneur として仕事をさせるということも原則として出来ません。

     

  • 採用前の試用期間を Auto-entrepreneur として使うことは出来るか?
  • これも原則として出来ません。

    逆に、Auto-entrepreneur として働いたことのある人を採用する場合に試用期間をおくことはできるか? という疑問が出てきます。これについては、正確な仕事の環境での評価がなされていないのだから、たとえ Autoentrepreneur として仕事の能力をすでに証明していても、試用期間があっても妥当であるという判決も出ています。

     

    ※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。

     


    --フランスでの成功のコツ:ビジネス編TOPへ--



    © 1990-2018 KOKUBO Communication all rights reserved.