フランスにおけるAuto-Entrepreneurのお話

2009年1月より、Jacques Attali による経済の現代化の法に従って、独立自営・会社設立の簡易化のシステムとしてAuto-Entrepreneur のシステムが導入されました。 

下記にて簡潔に解説しますので、詳細は公式サイトにてご覧ください。 公式サイト: www.lautoentrepreneur.fr

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登記手続き等が大変簡略化されたので便利ですが、売り上げ金額に限度がありますから、売り上げの大きなビジネスを最初から狙っている人には向いていません。

限度額:商業80300 € (HT/年)、サービス業32100 € (HT/年)

いずれにせよ、社会保障費・税等がこのシステムで有利に働くのは、上記の売り上げの枠内くらいです。

※注意※ この年間売り上げの上限は働いた日数で換算されますから注意が必要です。 例えば11月1日からスタートすれば年末まで2ヶ月ですからそんなに売り上げは多くないと安心しているとURSSAFのほうから年明けに通知が来て「あなたは Auto-entrepnreneur のシステムは使えません」とやられます。 例えば、11月1日からスタートして許されるのは、サービス業でしたら、32100*61/365=5365 5365ユーロ以内の売り上げということになります。 酷い場合には、12月に初めて、20000ユーロの売り上げのあった人が安心していたら、URSSAFから通知があって、「あなたは Auto-entrepreneur のシステムは使えません」とやられただけではなくて、12月に20000ユーロの売り上げですから、年間に換算すると240000ユーロの売り上げということで、URSSAFの支払い分を請求されたという例もあります。 勿論そんなのは払う必要はありませんが、この上限が働いた日数で換算したものであるという点は忘れがちですから注意が必要です。

 

不当競争防止、あるいは雇用契約等に触れない限りサラリーマンの副業にもこのシステムは使えます。 税制も所得全体に統合することも、あるいはこのシステムだけ源泉徴収の形にすることも出来ます。 サラリーマンで多額の収入があり累進化税率が高い人の副業なら後者の源泉徴収が断然有利です。 この源泉徴収のシステムを選んだ場合、営業開始後3年間は、事業税(taxe professionnelle)が免除されます。

 

Auto-entrepreneurの手続き

商業登記あるいは銀行口座の別途開設などの必要はまったくなく、上記の公式サイトですべてを済ませることが出来ます。 手続きが終わると、SIRET番号とパスワードが与えられます。このSIRET番号が今後のビジネス活動における、あなたのIDとなります。したがって、領収書等すべての営業活動に関する書類に表記することになります。 パスワードは公式のサイトのパーソナル・スペースへ入るのに使います。 このときにインターネットで今後のすべての手続きを済ませるための書類を郵送します。これが郵送の必要な唯一の書類で、そのほかはすべてインターネットで済ませられます。 各四半期に売り上げをインターネットで記入すれば、役所のほうで、社会保障費と税金を計算して、口座より自動引き落とししてくれます。 社会保障費等は、従来のシステムですと、最低支払額があったのですが、このAuto-entrepreneur のシステムですと、売り上げに比例する金額だけですから、売り上げのない四半期には支払額もゼロになりますから、顧客の少ないスタート時には有利です。

 

Auto-entreprise を選べる人

不当競争防止法や雇用契約等に抵触しない限り、サラリーマン、学生、失業者、定年退職者等々すべてに人がこのAuto-entreprise を起業できます。 現在働いている会社の顧客の一部を当てにして起業するなどと言うのは問題が起こります。 一般に公務員の場合にはほかの職につくことは認められていませんから、教育・研修・エキスパートなどの仕事を付随的にやる場合などに限られます。それも関係省庁の許可が必要です。 パートタイムの場合には、関係省庁に報告するだけで済みますが、正規の公務員の場合には、職業倫理委員会の審査が必要でその上兼業できるのは2年以内となっています。

 

どんなビジネスがAuto-entreprise の枠内で出来るか?

 コンサルタント、水道工事、IT技術者、家具なしアパート賃貸等々ほとんどすべてのことがこのAuto-entrepreneur の枠内で出来ます。 ただし、micro-BIC,micro-BNC の税制から除外されているビジネス(不動産業、デブロッパー、機材レンタル、家具なしアパート賃貸等々)、あるいは、被雇用者の形でのみできるもの(俳優、ジャーナリスト等々)あるいは、著作権収入によるもの等々は除外されます。 また、弁護士、医者、Notaire、薬屋等々、認可の要るものも除外されます。

 

免許が必要か?

原則として免許の必要はありません。ただし、パン屋、床屋、車の修理屋、美容師等は、CAPやBEPあるいは3年以上の経験が要求されるものがあります。 また、人に対するサービス(家事手伝い、家庭教師、家内修繕等々)は、各県知事の認可が必要ですが、これは各県の労働監督局を通して比較的簡単に取れます。 ただし、3歳以下の子供、老人あるいは身体精神障害者を対象にするものは簡単ではありません。

 

複数のAuto-entreprises を起業することは可能か?

一人につきひとつのAuto-entreprise しか起業できませんが、業種の違う営業活動をひとつのAuto-entreprise の中ですることは可能です。 例えば、コンピューター機材の販売・修理と食品の販売とカード占い等々を同一のAuto-entreprise の枠内ですることは可能です。

 

失業者がこのシステムを利用する利点は?

第一の方法は、Auto-entrepreneur としての収入が、失業前の収入の70%を超えない場合には、15ヶ月間失業保険をもらい続けることが出来ます。ただし、支払額=(失業保険給付額)-(Auto-entrepreneur 収入) 。

第二の方法は、起業あるいは企業の買収をする失業者への援助(Aide aux chômeurs créateurs ou repreneurs d'entreprise -- Accre)を申請するものです。 これは、Auto-entrepreneur の登記をするときに申請すると、起業せずに失業手当を受けていたときの手当ての半額をまとめて資本金として受け取ることが出来るものです。 失業者によるAuto-entrepreneur の企業の場合には更に、社会保障費が初年度は、通常のAuto-entrepreneur の1/4 、二年目は半分、3年目は3/4 の支払いですみます。

 

Auto-entrepreneur の会計に関する義務は?

 特に複式簿記でやる必要はなく、時の流れに従って、収入と支出を、相手方、金額、収支の内容、収支の方法等を記帳したものを保存すればすみます。 それにしたがって、請求書、領収書等々を10年間保存することになります。 相手方が営業行為をしているものの場合には、正式の2通請求書をつくり1通を保存することにします。 相手方が個人の場合には、15,24ユーロ以下の金額については、請求書を作ることは義務付けられていません。

 

Auto-entrepreneur は自宅で営業することが可能か?

原則として可能です。まず登記に当たっての住所を自宅にすることは常に可能です。 顧客のほうで仕事をする場合(出張美容師、会社での研修指導等々)の場合は常に可能です。 これに反して、自宅で営業をする場合には、アパートの賃貸契約あるいは家主組合の規則で禁止されていないか確認する必要があります。 多くの場合自由業については禁止されていることは少ないのですが、商業活動については禁止されていることがあります。 また、人口200000以上の都市あるいはHauts-de-Seine, Seine-Saint-Denis, Val-de-Marne に住んでいる人の場合には、自宅で顧客を迎えたり商品を受け取ったりする場合には市長の許可が必要です。この場合、1階(rez-de-chaussé) にあるアパートの場合には、この許可を取らなくてもよいことになっています。

 

Auto-entrepreneur の社会保障費の計算方法

単純で、売り上げ(利益ではない)に比例した金額になります。商業12%、サービス業21,3% 、サービス業(自由業)21,3%、自由業18,3% 。

従来のように最低支払い金額がありませんから、スタート時で売り上げの少ないときは大変有利です。

 

社会保障は十分カバーされるか?

サラリーマンあるいは定年退職者が付随的にAuto-entreprise を起業する場合には、Auto-entrepreneur としての社会保障費の支払い義務は生じますが、社会保障等についてはサラリーマンあるいは定年退職者としてのシステムがそのまま適用されます。 Auto-entrepreneur としての活動がメインの場合には独立自営業の社会保障システムが適用されます。したがって、アロカや疾病の給付や払い戻しはサラリーマンのシステムと同じですが、病欠や出産に対する支払金額の計算は変わってきます。

 

老齢年金の新しい積み立ては可能か?

すでに定年退職をしている場合を除いて、基本四半期を積み立てて行きます。売り上げに関係なく四半期は積み立てられますが、各年の4四半期を積み立てるには、売り上げの最低金額があります。 商業24028ユーロ以上 、サービス業13936ユーロ以上、自由業10558ユーロ以上。 これにしたがって老齢年金の計算に加算されますが、この加算の計算のときに、Auto-entrepreneur としての積み立て金額ではなく、普通の独立自営業の積み立て金額との差額を国が援助して支払ったものとして計算されます。 例えば、商業活動の場合で、20000ユーロの売り上げのある場合、上記のように社会保障費は、2400ユーロです。そのうち老齢年金積み立て分が、843ユーロです。この場合、独立自営の積立額は、1343ユーロですから、差額(1343-843=500ユーロ)を国は援助金として補完してくれていることになります。 すでに定年退職している人の場合には、このAuto-entrepreneur としての積立金は、基本老齢年金の金額の計算において考慮されません。また、補助年金については、Auto-entrepreneur としての活動が続く間支払いが停止されます。

 

Auto-entrepreneur の所得の計算

原則として、micro-BIC あるいはmicro-BNC として計算されますから、査定による経費(商業=71%、サービス業=34%)を差し引いた残りが所得とされ、その所得の通常通りに累進課税されます。 ほかに大きな所得があって、この累進化税率が高い人は、このAuto-entreprise の所得だけ源泉徴収にしたほうが有利です。Option pour le versement libératoire de l'impôt sur le revenu このシステムは、Auto-entrepreneur の収入について、月々あるいは四半期ごとに売り上げの1%(商業)、1,7%(サービス業)、2,2%(自由業)を一律に徴収されるものです。

 

Auto-entrepreneur は商業用店舗の賃借が出来るか?

可能ですが、正式の商工業登記(RCSあるいはRMへの登記)をしていませんから、有利な9年契約が自動的な権利としては得られません。これは大家さんとの交渉しだいです。 ただし、Auto-entrepreneur の権利を保持したまま、商工業登記をすることも可能です。そうすれば、有利な9年の商業契約は自動的な権利となります。  


※情報は掲載時点のものです。また、あくまで一般論であり、背景の異なる個別のケースでは該当しない場合もあります。最新の情報やお客様のケースにあった情報につきましてはお問合せください。


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